ショッピング広告(P-MAX・PLA)の入札戦略を、「CV最大化」「tCPA(目標コンバージョン単価)」で運用したらROASが低下して困った、という方もいるのではないでしょうか。
機械学習は、コンバージョンの”件数”にフォーカスするため、購入ハードルの低い低単価商品の掲載に予算が偏り、CPAは改善しても平均顧客単価が下がってしまう(結果的にROASの改善に繋がらない)ということが起こりえます。
弊社クライアントのコスメECのA社では、この商品単価の幅を商品フィードのカスタムラベルに応用することで、ROASを前後比較で+27%改善しました。
本記事では、この施策の背景となる課題から、カスタムラベルを使った具体的な分割方法、実績データ、そして施策が機能した理由までを順に解説します。
ぜひ、最後までご覧ください。
・高単価商品はCPAが高くなるが、単価差によりROASが改善するメカニズム
・一定金額未満と一定金額以上の実績比較(ROAS・ATV・CPA)
・単価に幅のある商材で、価格帯別分割運用が効果的な理由
目次
ショッピング広告(P-MAX・PLA)で、低単価商品に予算が偏るのはなぜか
価格帯の異なる商品を同一のキャンペーン・グループで配信すると、Googleのアルゴリズムは、コンバージョン数を最大化しやすい低・中価格帯の商品に予算を集中させるケースがあります(入札戦略による)。
その結果、高単価商品は十分な予算・露出を得られず、事業として重点的に売りたい商品ラインのROAS最大化を阻害する可能性があります。
入札戦略を決めるポイント
ショッピング広告の入札戦略を「CV最大化」「tCPA(目標コンバージョン単価)」で運用すると、コンバージョンの件数が優先され、ROASが低下する可能性があります。
そのため、入札戦略を決める際は「売れ行き商品が平均顧客単価に対して低すぎないか」という視点で見ることをおすすめします。
・商品単価に大きな差がなく、顧客単価の変動が少ない ▶ CV数の最大化・tCPA
・商品単価にばらつきがあり、ユーザー・季節によって顧客単価に差がある ▶ CV値の最大化・tROAS
今回の施策(フィードのカスタムラベルを用いた価格帯分割配信)
今回事例を紹介するA社では、千円台のアイテムから数万円のプレミアムスキンケアまで、幅広い価格帯の商品を取り扱っています。
そこで、入札戦略をtROASにし、商品フィードのカスタムラベルを用いて高単価商品(定期商品など平均顧客単価以上のアイテム)を「注力商品」と定義し、専用の広告グループに切り出して配信する施策を実施しました。
カスタムラベルとは
Google Merchant Centerの商品フィードに設定できる、商品を任意の基準でグループ分けするための「タグ」のような機能です。
通常の商品データ(商品名やカテゴリなど)とは別に、価格帯、粗利益、季節性、売れ筋度合いといった自社独自のルールに基づいて、最大5つまで自由にラベルを付与することができます。
このカスタムラベルを用いることで、Googleのシステムに対して「どの商品がどのグループに属しているか」を明確に指示できるようになります。
参照:ショッピング広告でカスタムラベルを使用する |Google広告 ヘルプ
カスタムラベルで分割することのメリット
① 広告グループ分割によるアルゴリズムの分離
1つのキャンペーン・広告グループでまとめて運用していると、入札戦略によっては目標を達成しやすい低単価商品に予算が偏りがちです。
高単価グループを切り分けることで、GoogleのAIが高単価商品を適切に評価・配信する環境を整えることができます。
② カスタムラベルによる柔軟な商品定義
フィードのカスタムラベルを活用することで、価格ベースのセグメントを管理できます。
ラベル単位で配信する商品を登録できるため、多品種の場合は商品一つ一つを管理画面で登録する必要がなく、入稿・運用上も効率的です。
価格ごとのカスタムラベルの分け方
今回は、ECサイト全体の「平均顧客単価」を基準値とし、次の2つに分類しました。
| 定常グループ (※平均顧客単価未満) |
平均顧客単価未満の商品。従来からの運用グループ。 |
| 注力商品グループ (※平均顧客単価以上) |
平均顧客単価以上の商品。今回切り出した高単価注力グループ。 |
フィードのカスタムラベルの値列に価格判定の値(フィードルール)を付与し、カスタムラベルを条件として広告グループを分割します。
これにより、商品の価格帯別に目標ROASを独立して設定できます。

フィードのカスタムラベル設定・管理を効率化するなら、メディックスのフィード広告マネジメントサービス「M-Feed」の活用もご検討ください。
M-Feedは、国内最高峰のツールによるフィード生成の自動化と、プロの運用技術を組み合わせたサービスです。M-Feedの3つの特長①フィード作成を全自動化
カスタムラベルの付与・更新をノンプログラミングで実装。システム部門への依頼や外注コストが不要になります。
② 商品単位の詳細分析
計測・解析ツールと連携し、フィード内の商品ごとの広告効果をより精緻に分析できます。
③ プロの運用技術で効果最大化
ツールだけでは対応しきれない、ターゲット層の心理や市場トレンドを踏まえた人的サポートで成果を向上させます。
なぜ高単価商品のROASが改善するのか
高単価商品を入札戦略「tROAS」で運用する際のポイントは、「CPA(コンバージョン単価)は高い傾向にあるが、それ以上に平均顧客単価が高い場合は、結果的にROASが高められる」という構造にあります。
| 定常グループ (※平均顧客単価未満) | 注力グループ (※平均顧客単価以上) |
| ・平均顧客単価(ATV):1.0(基準) ・ROAS:1.32 ・CPA:1.0(基準) |
・平均顧客単価(ATV):約1.7倍 ・ROAS:1.68 ・CPA:約1.3倍 |
注力グループは、CPAが定常グループより約1.3倍高い一方、平均顧客単価(ATV)は約1.7倍高くなっています。
単価差がCPA差を大きく上回るため、結果としてROASは1.32 → 1.68と改善しました。
この構造を一言で表すと「CPAは高くなるが、単価差がそれを上回る」ということです。単価に幅のある商材では、この価格帯別分割の効果が特に顕著に表れます。
実績データ(集計期間全体)
各広告グループの主要指標は次のとおりです。
※数値は概算です
| 指標 | 定常グループ (平均顧客単価未満) |
注力グループ (平均顧客単価以上) |
差分(注力−定常) | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| コスト(万円) | 約790万 | 約280万 | − | 予算比率 74%:26% |
| コンバージョン数 | 約1,850件 | 約500件 | − | 件数は定常が多い |
| CPA(円) | 1.0(基準) | 約1.3倍 | +約1.3倍 | 高単価の方が高い |
| 平均顧客単価(ATV)(円) | 1.0(基準) | 約1.7倍 | +約1.7倍 | ATV上昇幅がCPA上昇幅を上回る |
| ROAS | 1.32 | 1.68 | +0.36 | 高単価の方がROAS良好 |
本施策は比較前後で時期性があり、単純な前後比較では改善幅を明確に数値化しにくい側面もあります。
ただし、高単価グループが狙い通りのROAS水準を達成できており、施策の方向性は正しかったという判断で、継続運用の決定となりました。
Q&A:よくあるご質問
Q. P-MAXでキャンペーンを分割する際の注意点は?
A. キャンペーンを分割すると学習データが分散され、初期の機械学習に時間がかかる可能性があります。
そのため、学習期間を確保できるか、十分なコンバージョン数が見込めるか等を確認してから実施することをお勧めします。
Q. どの程度の価格差があれば実施すべきですか?
A. 具体的な金額基準はありませんが、取り扱う商品の価格帯に「数倍」の開きがある場合、低単価商品に予算が寄ってしまう可能性が高いため、今回の手法が効果的です。
Q. メンテナンスの手間はかかりますか?
A. 新しく商品データを追加する際も、フィードルールを決めていれば商品価格に応じて自動でラベリングがされる※ため、特に設定を変える必要はありません。
商品の価格が変わったとしても、カスタムラベルの値はルールに沿って自動で反映されるため、定期的なメンテナンスは最小限で済みます。
※M-Feedなど、フィード最適化ツールを使う前提。ツールがない場合は手動でラベリングが必要。
まとめ:単価に幅のある商材は価格帯で分割して運用する
ショッピング広告(P-MAXを含む)を運用する際、価格帯の幅が広い商材では一括運用のままにしておくと低単価商品に予算が集中するリスクがあります。
今回の事例が示すのは次の構造です。
- フィードのカスタムラベルを活用して価格帯別にグループを分割する
- 高単価グループはCPAが高くなるが、単価差がそれを上回ることでROASが改善する
- それぞれのグループにあった目標値・評価軸で独立して運用することで最適化が進む
コスメ・美容カテゴリをはじめ、単価幅が大きい商材を扱うEC案件では、ぜひ価格帯分割配信を検討してみてください。
メディックスでは、フィード設計からP-MAXの広告グループ設計、ROASの改善まで、EC案件のショッピング広告をトータルでサポートしています。
価格帯の幅広いラインナップをお持ちのブランドなど、ぜひお気軽にご相談ください。
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