多くの企業がInstagramのリール広告を利用して、認知度向上や売り上げ促進を実現しています。
配信にあたっては、「他の配信面と何が違うのか」「どんなメリットがあるのか」など、基本的な特長を確認しておきたいところです。
本記事では、Instagramのリール広告について、他の配信面と比較したメリット・デメリットや出し方、効果的な運用のポイント、事例などを解説します。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
Instagramリール広告とは
Instagramリール広告は、Instagramの短尺動画「リール」の間に差し込まれる動画広告です。
リール広告は、ユーザが通常のリール動画をスワイプしていく合間に溶け込むように表示されます。ユーザは通常のリール投稿と同様に、リール広告に対しても「いいね」「コメント」などのアクションが可能です。
このようにリール広告は、Instagramでリールを楽しむユーザの視聴体験を妨げないような形で自然に表示できるため、不快感を与えにくいという特長があります。
▼リール広告のイメージ
引用:Meta広告マネージャの目的のアップデート | Meta for Business
リール広告のフォーマットの種類
リール広告は、フィードやストーリーズなどの配信面と同様に、次の4種類のフォーマットで配信できます。
広告の内容や戦略に応じて使い分けましょう。
広告フォーマットの種類 | 特長 |
動画 | 縦型の短い動画形式の広告。最大15分。 |
画像 | 1枚の画像(静止画)に音楽・エフェクトなどを付けて表示する広告。 |
カルーセル | 最大10枚の画像(静止画)と、音楽・エフェクトなどを組みわせて表示する広告。画像ごとにそれぞれ異なるリンクを設定できる。複数の商品紹介などに活用される。 |
コレクション | カバーとなる動画もしくは画像(静止画)と、横にスクロールできる3つの画像を組み合わせた広告。カバーをクリックすると、動画や画像を組み合わせた「インスタントエクスペリエンス」と呼ばれるページに遷移する。 |
各フォーマットの入稿規定について、詳しくは本記事の「Instagramリール広告の入稿規定」をご参照下さい。
Instagramリール広告のメリット
Instagramリール広告には、次に挙げる3つのメリットがあります。
- 全画面で没入感のある表現ができる
- ユーザに不快感を与えにくい
- 新しいコンテンツを探しているユーザに表示できる
それぞれ詳しく解説します。
全画面で没入感のある表現ができる
リール広告は縦型のフォーマットでスマホ画面の全体に表示されるため、没入感のある表現ができる点がメリットです。
全画面ではない広告の場合、通常の投稿など他の情報が同時に表示されるため、ユーザの注意が広告以外に向きやすくなります。
リール広告は全画面で自社の広告のみを表示でき、他の情報に注意が向いてしまうリスクを減らしつつ、全画面でインパクトのある広告を配信できます。
ユーザに不快感を与えにくい
リール広告は通常の動画に溶け込む形で表示されるため、不快感を与えにくいというメリットもあります。
例えば、YouTubeのインストリーム広告は、視聴している動画を「中断」する形で広告動画が表示され、ユーザに不快感を与えてしまうことがあります。
この点リール広告は、スワイプしながら次々に表示されていく動画の中の1つとして広告動画が表示されるため、「動画の視聴を中断されている」といった不快感を与えるリスクを避けられます。
新しいコンテンツを探しているユーザに表示できる
「何か面白いものはないか」と新しいコンテンツを探しているユーザに表示できることも、リール広告のメリットです。
リールを見るユーザは、フィードやストーリーズのように、フォローしているユーザの投稿を見るのが目的でなく、自分の興味のある「新しいコンテンツを探している」状態です。
そのため、ユーザにマッチする広告を掲載できれば、最後まで見てもらいやすいです。
Instagramリール広告のデメリット
上記のとおりInstagramのリール広告には多くのメリットがありますが、次のようなデメリットもあります。
効果の出る動画を作るノウハウが必要
リール広告は、単に商品やサービスを紹介する動画を流せば成果が出るわけではありません。
ユーザは次々と動画をスワイプして視聴するため、一瞬で指を止めさせ、興味を引くための専門的なノウハウが求められます。
例えば、最初の1〜2秒で「面白そう」「自分に関係ありそう」と思わせる構成力や、ユーザを飽きさせないカット割り、効果的なテロップやBGMの活用などです。
ノウハウがないまま広告を配信すると、誰にも見られずにスキップされ続け、広告費が無駄になってしまう可能性があります。
効果的な動画を自社で制作するには学習コストや時間がかかり、外部に依頼するにも相応の費用が必要となる点がデメリットと言えるでしょう。
Instagramリール広告で成果を出すためのポイント
Instagramリール広告で成果を出すためには、次のポイントを意識することが大切です。
- 縦型フォーマットで動画を作成する
- ⾳声ありの前提で作る
- 重要なメッセージはセーフゾーン内に収める
- 3秒で興味を引くコンテンツを作る
それぞれ詳しく解説します。
縦型フォーマットで動画を作成する
Instagramリール広告で使用する動画は縦型で制作することが推奨されています。
縦型だけでなくアスペクト比「4:5~1.91:1」の範囲で設定できますが、9:16の縦型で制作することで、効率的に注目を集めることが可能です。
横型やスクエア型で撮影された動画を、縦型に切り取って使用することも可能ですが、できれば縦型に特化したクリエイティブを制作することで、より没入感を高め、リール広告の特性を活かすことができるでしょう。
⾳声ありの前提で作る
Instagramリール広告のクリエイティブは「音声あり」で作るのが基本です。
音声なしの動画・画像だけでも広告を入稿できますが、音楽・ボイスオーバー・サウンドエフェクトなどを付けて「音声あり」で制作することで、効果を高めやすくなります。
Meta公式サイトに掲載されているデータによると、音声ありの縦型動画広告は、音声なしの場合と比較して、コンバージョン率が3%高いことが分かっています。
参照:リール動画へ反応を増やすには、音楽とボイスオーバーが効果的 | Meta for Business
あらかじめ無料の音楽やサウンドエフェクト素材が用意されているので、音声素材を用意しなくても、簡単に音声ありのクリエイティブを制作することが可能です。
重要なメッセージはセーフゾーン内に収める
Instagramリール広告では、動画・画像の上に「いいね」ボタンやCTAなどのUIが重ねて表示されるため、テキストやロゴなど⼤事なメッセージが重ならないように注意しましょう。
大事な情報は「セーフゾーン」と呼ばれる範囲に収めることで、UIと重ならないようにすることが可能です。
セーフゾーンは下図のとおりで、最上部から約14%、両側の約6%、最下部から約35%(広告に免責情報を含める場合は約40%)の内側のことです。
Meta広告マネージャで動画を編集する際には、「セーフゾーンのガードレール」をオンにすることで、セーフゾーンの範囲を確認できます。
参照:ストーリーズ広告とリール動画広告のテキストオーバーレイとセーフゾーンについて | Metaビジネスヘルプセンター
3秒で興味を引くコンテンツを作る
Instagramリール広告は、デメリットでも述べたように簡単にスキップできてしまいます。再生開始後3秒以内に興味を引くような広告を制作することが大切です。
次のような動画コンテンツは、ユーザの興味を引き付けやすいとされているため、参考にしてください。
動画コンテンツの内容 | 例 |
Q&A | 商品のストーリーをQ&A形式で紹介する。 |
開封 | 開封動画など楽しいストーリーテリングで商品を紹介する。 |
ビフォー‧アフター | 商品・サービスを使うメリットをビフォー‧アフター形式で表現する。 |
リスティクル | 長い動画を、理解しやすいよう分割する。 |
チュートリアル | 知識やコツを伝えたり、複雑な物事を分かりやすくしたりする。 |
写真のまとめ投稿 | ビートに合わせたスライドショー形式で、複数の写真を紹介する。 |
参考:リール広告のクリエイティブのベストプラクティス | Meta Blueprint
Instagramリール広告の出し方
Instagramをリール広告を出稿する手順は次の3ステップです。
- キャンペーンの新規作成
- 広告セットの設定
- 広告の作成
順を追って説明します。
1. キャンペーンの新規作成
まず、Meta広告マネージャのトップページにある「+作成」をクリックしましょう。
キャンペーンの目的を選択するメニューが表示されるので、任意の項目を選択して「次へ」をクリックします。
今回は「認知」を選択した場合を解説します。
キャンペーン設定画面で「キャンペーン名」などの詳細を入力して、「次へ」をクリックしましょう。
2. 広告セットの設定
広告セット作成の画面に移るので、「広告セット名」や「パフォーマンスの目標」など、各項目を設定します。
広告セットの設定項目にある「配置」で「Advantage+ 配置(推奨)」、または「手動配置」の配置で「Instagramリール」を選択します。
設定が終わったら「次へ」をクリックして広告の作成に進みましょう。
3. 広告の作成
広告の作成画面に移動するので、「広告名」「リンク先」など各項目を設定します。
「広告設定」では、広告のフォーマットを選択できます。「シングル画像または動画」「カルーセル」「コレクション」のいずれかを選択します。
「クリエイティブ」では、選択したフォーマットに必要な画像・動画・テキストなどのクリエイティブを入稿します。入稿規定については次の「Instagramリール広告の入稿規定」を参照下さい。
広告の作成が完了したら、右下の「公開する」をクリックして完了です。これで審査が完了すれば、リール広告の配信がスタートします。
Instagramリール広告の入稿規定
Instagramリール広告のクリエイティブを制作する際には、動画・画像のサイズなど入稿規定を把握しておきましょう。
Instagramリール広告のフォーマットごとに推奨される解像度や、入稿できる画像の枚数、対応ファイル形式は次のとおりです。
項目 | 動画 | 画像 | カルーセル | コレクション |
解像度(推奨) | 1,440 x 2,560px | 1,440 x 2,560px | 1080 x 1080px以上 | 1080 x 1080px以上 |
アスペクト比 (推奨) |
9:16 | 9:16 | 9:16 | 【カバー】9:16 【商品画像】1:1 |
アスペクト比 (最小~最大) |
4:5~1.91:1 | 4:5~1.91:1 | 4:5~1.91:1 | 【カバー】4:5~1.91:1 |
動画の最大長さ | 15分 | – | – | – |
画像枚数 | – | 1枚 | 2~10枚 | 【カバー】1枚 【商品画像】3枚 |
最大ファイルサイズ | 【動画】4GB | 【画像】30MB | 【画像】30MB | 【動画】4GB 【画像】30MB |
ファイルタイプ | 【動画】 MP4・MOV |
【画像】 JPG・PNG |
【画像】 JPG・PNG |
【動画】MP4・MOV・GIF 【画像】JPG・PNG |
Instagramリール広告の事例
Instagramのリール広告を活用した企業の成功事例として、次の2社を紹介します。
- 日産
- コカ・コーラ
日産
自動車メーカー日産では、スペインのキャンペーンにおいて見込み顧客を獲得し、商品の認知度を高めるためにFacebookとInstagramのリール広告を導入しました。
日産スペインでは従来、Facebook・Instagramの「フィード」「ストーリーズ」に動画広告を配信していましたが、リール広告は未導入でした。
リール広告の導入効果を測定するため、従来のクリエイティブと、リール広告ありのクリエイティブの効果を比較。その結果、リール広告ありのクリエイティブの方が「広告想起率が+5.3%」「ブランド認知度が+4.5%」と、従来のクリエイティブよりも高い成果が出ることが分かりました。
出典:日産スペイン:Facebook広告のケーススタディ | Meta for Business
コカ・コーラ
世界的な飲料会社コカ・コーラ カンパニーでは、サウジアラビアに住むZ世代の若者に対する認知度を高めるために、中東でのキャンペーンにおいてInstagramのリール広告を導入しました。
若者が旅行・音楽ライブなどを楽しみながらコカ・コーラ製品を楽しむ様子など、「楽しさ」「ターゲットからの共感」「自然さ」を意識した動画広告を配信しました。
広告のCTAボタンからはコカ・コーラのWebサイトに遷移でき、そこから音楽プラットフォーム「Coke Studio」や、コカ・コーラが音楽スポンサーを務める音楽フェスティバルのチケットが当たるキャンペーンなどの情報を得られる仕組みです。
キャンペーンの結果、広告想起率が+6.3%上昇し、18~24歳の広告想起率については+19%上昇させることに成功しています。
出典:コカ・コーラ カンパニー 中東: Facebook広告のケーススタディ | Meta for Business
これらの事例からも、リール広告は広告想起率やブランド認知度の向上に有効であることがわかります。
まとめ
リール広告は、全画面で没入感のある表現ができ、ユーザに不快感を与えにくいなどのメリットのある広告フォーマットです。
また「新しいコンテンツを探しているユーザ」に表示できることから、認知度向上や新規フォロワー獲得などの効果が期待できます。
ただし簡単にスキップできるというデメリットがあるため、冒頭の3秒で興味を引くコンテンツを制作するなど、スキップされない動画制作のノウハウが必要です。
ノウハウに不安がある場合には、広告代理店など専門家の相談を受けることで、SNS広告の利用が初めての企業でも手軽に導入できます。