ビュースルーコンバージョンとは?仕組みや評価のポイント、媒体別の確認方法を解説|ウェブ部

ビュースルーコンバージョンとは?仕組みや評価のポイント、媒体別の確認方法を解説

ディスプレイ広告

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當流谷 圭

ビュースルーコンバージョンー_アイキャッチ画像

ディスプレイ広告や動画広告など、クリックされにくい広告施策の効果を正しく評価するためには、クリック数だけに頼らない指標を用いることが重要です。

その代表的な指標が「ビュースルーコンバージョン」(VTC)です。

本記事では、ビュースルーコンバージョンの仕組み、計測ルール、評価時の注意点、さらに具体的な分析・活用方法や媒体別の確認手順などを詳しく解説します。

ビュースルーコンバージョンとは

ビュースルーコンバージョン(VTC:View Through Conversion)とは、広告が表示されたもののクリックに至らなかったユーザが、「別の経路からコンバージョンに至った場合」にカウントされる数値です。

例えば、あるユーザがニュースサイトを閲覧中、広告枠に動画広告が表示され、その動画を見ましたがクリックはしませんでした。5日後に、検索エンジンで先日の動画広告で見た商品のECサイトにアクセスし、商品を購入(コンバージョン)しました。このコンバージョンはビュースルーコンバージョン(VTC)として計上されます。

ブランド認知や想起を促すバナー広告や動画広告は、できるだけ多くのユーザに広告を表示して商品・サービス・ブランドをユーザに覚えてもらい、興味を持ってもらうことに重点が置かれるため、ユーザが広告を「クリックしたかどうか」に関係なく、「広告が表示された後にコンバージョンに至ったか」という観点での評価も必要となります。

ビュースルーコンバージョンという指標があることで、広告の「表示」がコンバージョンに対してどのように貢献したかを把握できます。

ただし、ビュースルーコンバージョンとしてカウントされても、コンバージョンしたユーザが実際に広告を見たとは限らない点には注意が必要です。

注意点について詳しくは、「ビュースルーコンバージョンを評価する際の注意点」で説明しています。

ビュースルーコンバージョンの説明図

図1. ビュースルーコンバージョンの図式化

 

クリックスルーコンバージョンとの違い

ビュースルーコンバージョンと似た指標として、クリックスルーコンバージョン(CTC:Click Through Conversion)があります。

クリックスルーコンバージョンは、「広告をクリックしたユーザ」がコンバージョンに至った場合にカウントされます。

クリックスルーコンバージョンの説明図

図2. クリックスルーコンバージョンの図式化

 

クリック後にユーザが離脱した場合でも、「7日以内」「30日以内」など一定の条件に基づいて計測されます。

クリックスルーコンバージョンは、リスティング広告など、「クリックされること」の重要性が高い広告の評価に活用されることが多い指標です。

対してビュースルーコンバージョンは、ディスプレイ広告など、「ユーザに広告が表示されること」の重要性が高い広告で活用されます。

 

ビュースルーコンバージョンの仕組み

ビュースルーコンバージョンの計測は通常、コンバージョン計測用の「タグ」によって行われます。

Google広告のコンバージョンタグや、Meta広告のMetaピクセルなど、コンバージョン用のタグをWebサイトに設置することで、ビュースルーコンバージョンの計測が可能になります。

タグによって広告の表示履歴と、ユーザのコンバージョン情報が紐付けされることで、ビュースルーコンバージョンとして測定される仕組みです。

ビュースルーコンバージョンの仕組みの図式化

図3. ビュースルーコンバージョンの仕組みの図式化

 

コンバージョン計測用のタグにはCookieが利用されているため、一部ブラウザやアプリでは「Cookie規制」によって正確な計測が困難になる場合もある点には注意が必要です。

何をもって「表示された」と定義するか、また広告表示から何日後までのコンバージョンを紐付けるか(=アトリビューションウィンドウ)は、媒体によって異なり、それぞれ次のとおりです。

 

媒体 計測期間 ビューの定義
Google広告 1日~30日 画面内に広告の 50% 以上が 1 秒以上表示された場合(ディスプレイ広告)
Meta広告 1日 広告が初めて画面に表示されたとき
Yahoo! 広告 1日 画面内に広告の 50% 以上が 1 秒以上表示された場合(ディスプレイ広告)

計測期間については、外部の広告運用ツールなどを活用すれば、表にある日数以外の期間を使用することも可能です。

 

ビュースルーコンバージョンの計測ルール

データの重複を避けるため、ビュースルーコンバージョンの計測では、一般的に次のようなルールが適用されます。

・直前に表示された広告のみをカウントする
・クリックスルーコンバージョンを優先してカウントする

例えば、1件のコンバージョンに対して、過去に複数回の広告表示があった場合、直前に表示された広告のみビュースルーコンバージョンとしてカウントされます。

ビュースルーコンバージョンの計測ルール1

図4. ビュースルーコンバージョンの計測ルール①

 

また、表示された広告をクリックせず離脱し、その後、別の広告をクリックしてコンバージョンに至った場合には、ビュースルーコンバージョンは計測されず、クリックスルーコンバージョンが優先して計測されます。

ビュースルーコンバージョンの計測ルール1

図5. ビュースルーコンバージョンの計測ルール②

 

ただし、この計測ルールは、同じ広告プラットフォームなど「重複を検知できるケース」でのみ適用されます。

そのため、Google広告とMeta広告間など異なる広告プラットフォームでは、重複してカウントされる可能性がある点に注意が必要です。

データの重複については、SEOなど広告とは別の経路からの重複にも気を付ける必要があります。

広告管理ツールなどを利用して、複数の経路からのコンバージョンを一元管理することで、データの重複を避けることが可能です。

 

ビュースルーコンバージョンを評価する際の注意点

ビュースルーコンバージョンを評価する際には、次の4つの点に注意する必要があります。

・ユーザが広告を実際に見たとは限らない
・広告とは関係ないコンバージョンが含まれる可能性がある
・計測期間を適切に設定する
・データが重複する可能性がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

ユーザが広告を実際に見たとは限らない

ビュースルーコンバージョンとして計測された場合でも、必ずしも「ユーザが広告を見た」とは限らない点に注意が必要です。

ユーザの目の動きまでは計測できないため、広告が表示されてもユーザが実際に広告に注目したのかどうかは分かりません。

つまり、ビュースルーコンバージョンには、「広告を視認していないのにコンバージョンに至った」というケースも含まれている可能性があるということです。

そのため、ビュースルーコンバージョンだけでなく、クリックスルーコンバージョンなどほかの指標も含めて、総合的に広告を評価することが大切です。

 

広告とは関係ないコンバージョンが含まれる可能性がある

ビュースルーコンバージョンには、広告を実際に見たものの、「コンバージョンとの因果関係がない」ケースも含まれる可能性があります。

「広告を見た」というだけでは、それがコンバージョンの理由になっているかどうか断定できません

広告の内容は忘れていて、ほかの原因で購入・申し込みなどに至った場合でも、ビュースルーコンバージョンとして計測されます。

クリックスルーコンバージョンと比べて、ビュースルーコンバージョンは「広告との因果関係が明確ではない」と認識しておきましょう。

 

計測期間を適切に設定する

「広告との因果関係が明確ではない」というビュースルーコンバージョンの弱点を解消するためには、計測期間(アトリビューションウィンドウ)を適切に設定することが重要です。

計測期間を長くし過ぎると、本当に広告の影響によるコンバージョンかどうか、データの信頼性が低下します。

逆に計測期間が短過ぎても、計測すべきコンバージョンを逃してしまい、広告を過小評価することになりかねません。

商材の特性なども考慮して、適切な計測期間を決めることが大切です。

一般的には「1日~数日」の短い期間に設定しますが、例えば不動産や自動車など、高額で検討期間が長い商材の場合は期間を長めに設定することも検討しましょう。

 

データが重複する可能性がある

1件のビュースルーコンバージョンに対して、同時にクリックスルーコンバージョンなど別のコンバージョンもカウントされ、データが重複する可能性がある点にも注意が必要です。

例えば、広告が表示された後、検索エンジンから自然検索でWebサイトにアクセスして購入に至った場合、広告のレポートでは「ビュースルーコンバージョン1件」、SEOのレポート上でも「自然流入のコンバージョン1件」と、1つの購入に対して2件のコンバージョンがカウントされてしまう可能性があります。

そのため、複数の流入経路のコンバージョンデータを一元管理できるツールなどを使用して、できるだけデータの重複を避けることが大切です。

 

ビュースルーコンバージョンの活用方法

ビュースルーコンバージョンは、広告の分析・評価にどのように活用できるのでしょうか。

主な利用シーン・活用方法として、次の4つが挙げられます。

・ブランディング・認知度アップを狙う広告の評価
・クリックされていない広告の評価
・ユーザ行動の分析
・媒体ごとの効果比較

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

ブランディング・認知度アップを狙う広告の評価

ブランディング・認知度アップを狙う広告施策の分析において、ビュースルーコンバージョンは重要な指標の1つです。

ディスプレイ広告や動画広告など「潜在層向け」に適した広告は、クリック数の獲得よりもブランド・サービスなどの「認知度向上」を目的に配信することがあります。

そういったブランディング・認知度アップを狙う広告を評価するには、ユーザに広告が表示されることで、どのような効果があったかを計測することが大切です。

この点を評価する指標として、ビュースルーコンバージョンを活用できます。

 

クリックされていない広告の評価

「あまりクリックされていない広告」の善し悪しを評価する際にも、ビュースルーコンバージョンを参考にできます。

一般的に、クリック率(CTR)が低い広告は、配信をやめたり、広告クリエイティブを修正したりすることが多いですが、ビュースルーコンバージョンを見ることで、クリックされなくても購入や資料請求などにつながっている可能性がないかを確認することができます。

クリック率が低くてビュースルーコンバージョンが多い広告クリエイティブについて、「認知度向上には有効だが、コンバージョン誘導には課題がある」などの示唆が得られます。

ビュースルーコンバージョンを活用することで、クリック数だけでは判断できない広告の間接的な貢献度を把握でき、適切な改善方針の検討がしやすくなります。

 

ユーザ行動の分析

ビュースルーコンバージョンは、ユーザ行動の分析にも活用できます。

例えば、「モバイルで広告を閲覧 → PCでコンバージョン」といったデバイスをまたいだユーザ行動を、ビュースルーコンバージョンを見ることで可視化することが可能です。

広告接触からコンバージョンまでのユーザ行動を総合的に分析し、適切なカスタマージャーニーを計画するために、ビュースルーコンバージョンを活用できます。

 

媒体ごとの効果比較

広告媒体ごとの効果を比較する際にも、ビュースルーコンバージョンを参考にできます。

例えば、Google広告・Yahoo!広告・Meta広告を並行して運用しているケースで、それぞれクリックスルーコンバージョンで評価した結果が似ている場合、ビュースルーコンバージョンも使って比較することで、より効果が出ている媒体を判断する材料になります。

「どの媒体や配信面で表示された広告がユーザの目に留まりやすく、間接効果が出やすいか」といった評価の判断材料にすることが可能です。

ビュースルーコンバージョンを加味することで、媒体ごとの間接的な貢献度まで含めた総合評価が可能になり、より精度の高い媒体選定や予算配分につなげられます。

 

【媒体別】ビュースルーコンバージョンの確認方法

次の3つの媒体について、それぞれビュースルーコンバージョンを確認する方法を解説します。

・Google広告
・Meta広告
・Yahoo! 広告

 

Google広告のビュースルーコンバージョンの確認方法

メニューで「キャンペーン」を選択して「表示項目」をクリックし、表示される項目から「表示項目を変更」を選択します。

Googleのビュースルーコンバージョン確認方法1

 

「キャンペーンの表示項目を変更」の一覧にある「コンバージョン」をクリックします。

Googleのビュースルーコンバージョン確認方法2

 

次に「ビュースルーコンバージョン」にチェックを入れて、下部の「適用」をクリックしましょう。

Googleのビュースルーコンバージョン確認方法3

 

これでレポートに「ビュースルーコンバージョン」の列が追加され、数値を確認できるようになります。

Googleのビュースルーコンバージョン確認方法4

 

 

Meta広告のビュースルーコンバージョンの確認方法

「広告マネージャ」にアクセスして、「列: パフォーマンス」をクリックし、表示される項目から「アトリビューション設定を比較」をクリックします。

Meta広告のビュースルーコンバージョンの確認方法1

 

 

「アトリビューション設定を比較」の詳細設定が表示されるので、「表示から1日間」にチェックを入れ、右下の「適用」をクリックしましょう。

Meta広告のビュースルーコンバージョンの確認方法2

 

これで「アトリビューション設定」の列に、ビュースルーコンバージョンなど「アトリビューション設定を比較」で設定した指標が表示されます。

Meta広告のビュースルーコンバージョンの確認方法3

 

 

Yahoo! 広告のビュースルーコンバージョンの確認方法

管理画面で、ビュースルーコンバージョンを確認したいキャンペーンを選択し、「表示項目」をクリックします。

Yahoo! 広告のビュースルーコンバージョンの確認方法1

 

次に「表示項目を編集」をクリックしましょう。

Yahoo! 広告のビュースルーコンバージョンの確認方法2

 

「コンバージョン」カテゴリから「ビュースルーコンバージョン数」にチェックを入れて、下部の「適用」をクリックします。

Yahoo! 広告のビュースルーコンバージョンの確認方法3

 

これでレポートに、ビュースルーコンバージョンの列が追加され、数値を確認できるようになります。

Yahoo! 広告のビュースルーコンバージョンの確認方法4

 

まとめ

ビュースルーコンバージョンは、ディスプレイ広告などクリック率だけでは評価しにくい広告を評価するために重要な指標です。

通常のクリックスルーコンバージョンと合わせて評価を行うことで、広告戦略を多角的に評価できます。

ただし、「ユーザが広告を見ていない可能性がある」などの注意点も踏まえて評価することが大切です。

コンバージョンの「重複カウント」にも注意する必要があり、複数の広告媒体を運用している場合には、データを一元管理できる運用ツールの導入が求められます。

「広告効果を正確に把握したい」「設定に不安がある」などの場合には、広告運用サポートの実績が豊富な弊社メディックスへ、お気軽にご相談下さい。

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記事監修者

當流谷 圭

株式会社メディックス Digital advertising officer

2007年、株式会社メディックスに新卒で入社して以来、18年以上デジタルマーケティングの最前線で活躍。
広告運用領域を中心に大規模案件を担当し、運用改善だけではなく、LTVを加味した運用設計など、ROAS・ROI改善も得意とする。
現在は、Digital advertising officerとして運用型広告の研究や、AI活用推進組織を運営。
趣味は、生き物の飼育(爬虫類と蟻)。

略歴

2007
株式会社メディックスに新卒入社
2018
Google主催の「Premier Partner Event | Tokyo2018」で機会学習について講演(国内代理店で唯一)
その他、セミナー登壇多数

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