インプレッションシェアとは?確認方法や損失率の改善方法について解説|ウェブ部

インプレッションシェアとは?確認方法や損失率の改善方法について解説

ディスプレイ広告
インプレッションシェア_アイキャッチ

Web広告を運用する中で、「自社の広告があまり表示されないが、表示機会のうちどれくらいは表示できているのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

そんな時に確認すべき指標がインプレッションシェアです。

本記事では、インプレッションシェアの基本的な概念から確認方法、インプレッションの損失を改善する方法まで、網羅的に解説します。

ぜひ、最後までご覧ください。

インプレッションシェアとは?

インプレッションシェアとは、Web広告の配信において、広告が表示可能だった合計回数のうち、実際に広告が表示された回数の占める割合を示す指標です。

例えば、広告の表示できる機会が500回あり、そのうち350回で自社の広告が表示された場合、インプレッションシェアは70%となります。

残りの30%は、予算不足や競合他社との競争に負けたことなどが原因で、表示機会を逃したことを意味しています。

この指標により、設定したターゲットや予算の範囲内でどれだけの表示機会を獲得できているかを把握でき、予算配分の最適化、競合分析、キャンペーンの改善点発見など、自社の広告の分析に活用できます。

 

インプレッションシェアの計算方法

インプレッションシェアは、Google広告やYahoo!広告の管理画面上で確認できますが、次の計算式で算出されています。

インプレッションシェア(%)= 実際の表示回数 ÷ 表示可能だった合計回数 × 100

「表示可能だった合計回数」は、広告プラットフォーム側がターゲット設定、承認状況、品質など、多くの要因を考慮して見積もっています。

 

検索広告のインプレッションシェア

検索広告におけるインプレッションシェアは、特定のキーワードで検索が発生した際に、自社の広告が表示された割合を示します。

Google広告やYahoo!広告などの主要な媒体では、検索結果ページの「最上部」や「上部」といった掲載位置別や、キーワードのマッチタイプ「完全一致」のみのインプレッションシェアが確認でき、より詳細な分析が可能です。

 

▼検索結果ページの「最上部」と「上部」

検索広告のインプレッションシェア

ディスプレイ広告のインプレッションシェア

ディスプレイ広告のインプレッションシェアは、ディスプレイネットワーク全体で表示可能だった回数に対する実際の表示回数の割合です。

Google広告のディスプレイネットワーク(GDN)の場合、YoutubeやGmailなど200万以上のサイトがあり、Yahoo!広告のディスプレイネットワーク(YDA)の場合、Yahoo!ニュースやYahoo!天気のほか、様々な提携パートナーへ配信の機会があります。

検索広告と比較して表示機会が多様で範囲が広いため、ターゲティングの精度がインプレッションシェアに大きく影響します。

 

なぜインプレッションシェアが重要なのか

インプレッションシェアは、競合他社との競争力を比較でき、予算配分や広告の見直しが必要かどうかの判断に活用できます

インプレッションシェアが高い場合、同じターゲットに対して配信する広告の中で、自社の広告が優位に立っていることを意味し、逆に低い場合、何らかの理由で広告を表示できていないことを示しています。

インプレッションシェアが低い場合、インプレッションの損失原因を分析することで、効率的な改善に役立てることができます。

 

インプレッションシェアの損失率

インプレッションシェアの損失率とは、広告が表示可能だった回数の総数に対して、表示されなかった回数の割合です。

この損失率を分析することで、なぜインプレッションシェアが100%に達していないのか、その具体的な原因を特定することができます。

インプレッションシェアの損失は、主に予算による損失広告ランクによる損失のいずれかに分類され、管理画面上で確認できます。

 

インプレッションシェアと損失率の関係

引用:インプレッションシェアとインプレッションシェア損失率について【検索広告】(Yahoo!広告 ヘルプ)

 

それぞれ、損失してしまう原因について解説します。

 

予算による損失

予算による損失は、設定している日予算の不足が原因で発生します。

例えば、設定した日予算を1日の早い時間帯で使い切ってしまった場合、残りの時間帯では広告が表示されなくなります。

また、予算制限により1日を通してインプレッション配信が抑制される場合もあります。

この状況では、本来であれば表示されるべき広告が、予算の制約により表示機会を逃していることになります。

 

広告ランクによる損失

広告ランクによる損失は、広告ランクが競合他社と比較して低いことによって発生します。

広告ランクとは、入札単価と品質スコアをかけ合わせて算出される指標で、オークションでの掲載順位を決定する重要な要素です。

 

掲載順位の決まり方

  • 入札単価
    入札単価では、1件のコンバージョンをいくらで獲得したいか、などの目標獲得単価を設定します。AIによる自動入札が主流ですが、手動で設定することもできます。
  • 品質スコア
    次の3つの項目を基に、1~10の数値で示される広告の品質を示す指標です。

推定クリック率(広告が表示された際にクリックされる確率)
過去の運用実績で判断される

広告の関連性
検索キーワードと広告文で判断される

ランディングページの利便性
リンク先のページの内容と検索キーワードとの関連性や、ページの操作性で判断される

入札単価が低かったり、品質スコアが競合他社より低いと、インプレッションの損失につながります。

 

インプレッションシェアの目安

インプレッションシェアの適切な目安は、広告の種類や業界、競争環境によって異なりますが、一般的には、検索広告で60%から80%程度、ブランド名や商品名での指名検索の場合は90%程度が理想的とされています。

インプレッションシェアは、高ければ高いほど良いと思う方もいるかもしれませんが、実際には、費用対効果が最も高い状態を目指して、獲得効率の高いキーワードやターゲットでのインプレッションシェアを優先的に向上させることが重要です。

 

インプレッションシェアの改善方法

インプレッションシェアの改善方法は、損失の原因によって異なります。

予算による損失なのか、広告ランクによる損失なのかを把握し、それぞれに適した改善策を講じることが重要です。

 

予算による損失

予算の調整

予算による損失率が高い場合、キャンペーンの1日の予算を増額することが、最も直接的な解決策となります。

予算調整を行う際は、急激な予算変更によって入札戦略や配信パターンに予期しない影響を与えることがないよう、1度に大幅な増額を行うのではなく、現在の予算の20%から30%程度ずつ増加させ、その効果を検証してから次の調整を検討すると良いでしょう。

 

キーワード・ターゲティングの見直し

予算による損失率が高く、予算の増額は難しい場合、現状のコストを削減して予算を確保する、という方法もあります。

獲得効率の良いキーワードやターゲットへの配信へリソースを集中することで、限られた予算を効率的に利用できます。

広告とより関連性の高いユーザに絞って配信することで、品質スコアの向上も同時に期待できますが、獲得が見込まれる配信も減ってしまう点には注意が必要です。

 

広告ランクによる損失

品質スコアの改善

広告ランクによる損失は、広告ランクを構成する品質スコアを改善することが効果的です。

品質スコアは、広告の関連性、推定クリック率、ランディングページの利便性の3要素から成り、それぞれに適した改善施策が必要です。

まず、広告の関連性向上のためには、キーワードと広告文の一致度を高めることが重要なため、検索語句に含まれる主要なキーワードは広告見出しや説明文に含めるようにしましょう。

また、広告表示オプション(サイトリンク、コールアウト、構造化スニペットなど)を積極的に活用することで、広告の情報量と関連性を向上させることも有効です。

関連記事:【全11種類】広告表示オプションとは?各オプションの特長や表示されない理由を徹底解説

次に、推定クリック率の向上のためには、実際のクリック率を上げる必要があるため、ユーザがクリックしたくなるような広告見出しや説明文を作成することが必要です。

最後に、ランディングページの利便性向上のためには、ページの読み込み速度の向上、モバイル対応の強化、コンテンツの関連性向上、ユーザビリティの改善などを通じて、ユーザファーストなランディングページにすることが重要です。

これらの要素を1つずつ見直し、着実に品質スコアを改善することで、広告ランクを上げることができるでしょう。

 

インプレッションシェアの確認方法

各広告プラットフォームの管理画面で、インプレッションシェアを確認する方法を紹介します。

Google広告

Google広告では、キャンペーン単位、広告グループ単位、商品グループ単位(ショッピング キャンペーンの場合)、キーワード単位でインプレッションシェア(損失率も含む)を確認できます。
手順は次の通りです。

  1. 管理画面のキャンペーン一覧(または、広告グループ一覧、商品グループ一覧、キーワード一覧)画面で、「表示項目」を開き「表示項目を変更」をクリックGoogle広告_表示項目の選択
  2. 表示項目の選択画面で、「すべての列」を開き、「競合指標」をクリックGoogle広告_インプレッションシェアの選択
  3. 確認したいインプレッションシェアの指標を選択し「適用」

インプレッションシェアの損失率(予算)についてはキャンペーン単位でのみ確認可能です。
また、ディスプレイキャンペーンの場合は、ディスプレイインプレッションシェアとディスプレイインプレッションシェア損失率が確認できます。

 

Yahoo!広告

Yahoo!広告では、キャンペーン単位、広告グループ単位、キーワード単位でインプレッションシェア(損失率も含む)を確認できます。

手順は次の通りです。

  1. 管理画面のキャンペーン一覧(または、広告グループ一覧、商品グループ一覧、キーワード一覧)画面で、「表示項目」を開き 「表示項目を編集」をクリックYahoo!広告_表示項目を編集
  2. 「インプレッションシェア」から、確認したいインプレッションシェアの指標を選択し「適用」
    Yahoo!広告_インプレッションシェアの選択

Yahoo!広告では、パフォーマンスレポートを作成し、インプレッションシェアを確認することもできます。

また、Yahoo!広告のインプレッションシェアは前日分のデータから利用可能で、リアルタイムでの確認はできません。

データの更新タイミングや計算方法については、Google広告と若干の違いがあるため、両プラットフォームを併用している場合は、それぞれの特性を理解して分析しましょう。

 

インプレッションシェアを見る際の2つのポイント

インプレッションシェアは、自社の競争力が分かる重要な指標ですが、どの程度を目標とするべきかや、他の指標との関係性を把握した上で活用しましょう。

 

100%を目指さなくてよい

インプレッションシェア100%の達成は、必ずしも最適な目標ではありません。

100%を達成するためには、非常に高い入札額や大幅な予算増加が必要となる場合が多く、その結果として広告の費用対効果が悪化する可能性があります。

特に競争の激しい市場やキーワードにおいては、わずか数%のシェア向上のために、大幅なコスト増加が必要となることがあります。

このような状況では、限られた予算をより効率的に活用できる、他の施策に注力することが賢明です。

また、ブランド名などの指名検索を除いては、90%を超えるインプレッションシェアを維持することは現実的でない場合が多いです。

 

他指標とのバランスをとる

インプレッションシェアの改善を目指す際は、常に他の重要指標とのバランスを考慮する必要があります。

コンバージョン率、クリック率、コンバージョン単価、ROIなどの指標との兼ね合いを見ながら、全体的なパフォーマンス向上を図りましょう。

例えば、インプレッションシェアを向上させるために入札額を大幅に引き上げた結果、コンバージョン単価が目標値を大きく上回ってしまっては本末転倒です。

また、質の低いインプレッションを大量に獲得してもコンバージョンにつながらないため、量と質のバランスを慎重に評価する必要があります。

 

インプレッションシェアの改善事例

トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、近年、ユーザの情報探索行動のあり方が多様化していてることに目をつけ、広告配信の際は特定の「段階」にのみ接点をもつのではなく、多様化する人々のニーズに合わせて広く接点をもつ方針を決めました。

具体的には、検索広告においてブランド名や特定の車種名を含んだキーワードではなく「SUV かっこいい」「SUV 人気」といった車型を含む一般的なキーワードを選定し、Google 広告の自動入札機能「目標インプレッション シェア」を用いて、ターゲット層に効率よく広告を配信しました。

その結果、個別にクリック単価を設定した配信と比べて、マーケティング強化対象だった若年層の男性に対して、同じ予算で 2 倍以上多く表示され、「インプレッションシェア」も、手動入札を100とした場合に、自動入札は141と大幅に増加させることができました。

インプレッションシェアを改善することで、目標の達成につながった好事例と言えます。

参照:検索広告の新たな可能性──目標インプレッション シェアの導入で潜在顧客の態度変容へ:トヨタ自動車(Think With Google)

 

まとめ

インプレッションシェアは、広告運用において競争力と機会損失を把握するための重要な指標です。

インプレッションシェアを活用することで、予算配分の最適化、競合分析、改善施策の優先順位付けなど、戦略的な広告運用が可能になります。

ただし、インプレッションシェアの向上は手段であって目的ではありません。

常にその他の指標や目標との整合性を確認し、他の重要指標とのバランスを保ちながら、総合的な広告パフォーマンスの向上を目指しましょう。

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