Instagram広告では、様々なターゲティング項目を設定できます。
効果的に運用するには、利用できるターゲティングの種類を把握して、適切に使い分けることが大切です。
本記事では、Instagram広告で利用できるターゲティングについて、設定できる条件の種類や設定方法、設定のポイントなどを詳しく解説します。
目次
Instagram広告のターゲティングの特長
ほかの広告媒体と比較したInstagram広告のターゲティングの特長として、次の3点が挙げられます。
・Metaのデータを利用できる
・自社データを利用できる
・AIによる自動ターゲティングができる
それぞれ詳しく解説します。
Metaのデータを利用できる
Instagram広告のターゲティングの大きな強みは、大手SNSを運営するMeta社ならではの、膨大なユーザデータを使用できるという点です。
Meta社の運営するSNSには、Facebook、Messenger、Audience Networkがありますが、特にFacebookは、利用者も多く実名登録制で、職業・学歴など多くの情報を登録できるため、ユーザにまつわる詳しいデータが蓄積されています。
Instagram広告は「Meta広告マネージャ」と呼ばれるFacebook広告と同じプラットフォームで配信でき、Facebookのデータとも連携したターゲティングが可能です。
Instagram・Facebook両方の膨大なデータを使った精度の高いターゲティングにより、効率的な広告配信ができます。
自社データを利用できる
Instagram広告では、「カスタムオーディエンス」の機能で、自社(広告主)の保有するユーザデータをかけ合わせたターゲティングも可能です。
例えば、自社のWebサイトにアクセスしたことがあるユーザや、顧客リストに登録されているユーザなどのデータを使って、Instagram上から該当するユーザを探してアプローチする(もしくはターゲットから除外する)といった設定が可能です。
この機能は、すでに接点のあるユーザに対して再度広告を配信する「リターゲティング」などに活用できます。
AIによる自動ターゲティングができる
Instagram広告では「Advantage+ オーディエンス」と呼ばれる機能を利用することで、AIによる自動ターゲティングが可能です。
設定をオンにするだけの簡単操作で使用できるため、手動で設定する手間を省きつつ、精度の高いターゲティングを行えます。
Advantage+ オーディエンスの使い方やメリットについて、詳しくは次に解説します。
Instagram広告でターゲティングを行う2つの方法
Instagram広告ではAIが自動的にターゲティングを行う「Advantage+ オーディエンス」と、手動で設定する「広告のリーチをさらに限定(旧:元のオーディエンスオプション)」の2種類のターゲティング方法があります。
2つの方法の違いを詳しく解説します。
Advantage+ オーディエンス
Advantage+ オーディエンスは、成果が見込めるとAIが判断したユーザに対して自動的にターゲティングを行う機能です。
手動でターゲットを絞り込む場合、成果が見込めるすべてのユーザをターゲットに含められるとは限りません。ユーザの傾向が常に変化していることもあり、「ターゲットから除外したユーザ」の中に、成果が見込めるユーザが存在する可能性は常にあるといえます。
Advantage+ オーディエンスを使うことで、成果が見込めるユーザをAIが自動的に検索してターゲティングしてくれるので、ターゲットを絞り込み過ぎることによる機会損失を避けることができます。
Advantage+ オーディエンスを使う場合でも、AIへの「提案」として手動でのターゲティング条件を加えることも可能ですが、提案が必ず反映されるとは限りません。
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広告のリーチをさらに限定(手動設定)
手動でターゲティングを行いたい場合は、「広告のリーチをさらに限定(参考:図①)」から設定します。
手動のターゲティングでは、AIによる自動的なターゲット拡張が行われないため、広告の配信先を細かく設定できます。
例えば、法律・規約などの制限があって「絶対に広告を配信したくないユーザ層」がある場合には手動設定が適しています。
手動で設定できる詳しいターゲティング項目は、次に解説します。
Instagram広告のターゲティング種類一覧
Instagram広告のターゲティングには、大きく分けて次の3種類があります。
・コアオーディエンス
・カスタムオーディエンス
・類似オーディエンス
それぞれの特長・設定できるターゲティング項目などを詳しく解説します。
コアオーディエンス
コアオーディエンス(コアターゲット)は、主に「Meta社の保有するデータ」を使った基本のターゲティング設定です。
InstagramやFacebookのアカウントに登録されている年齢・性別などのデータを活用してターゲティングを行います。利用できるターゲティング項目は次のとおりです。
項目 | 内容 |
所在地 | ユーザの国・都市・地域を選択できます。特定の地域からの半径で指定することも可能です。 |
年齢 | ターゲットとするユーザの年齢層を指定します。13~64歳の1歳刻み、もしくは「65歳以上」を選択可能です。ただし18歳未満のターゲットを含める場合、性別など一部のターゲティング項目を設定できなくなります。 |
性別 | 男性・女性もしくはすべての性別から選択します。 |
言語 | ターゲットとする地域で話されている一般的な言語とは「異なる言語を話す人」をターゲットとする場合に設定します。例えば日本語を話す人をターゲットとしたい場合、ターゲットの地域として「日本」を指定すれば言語のターゲティングは不要です。 |
詳細ターゲット設定 | 上記の項目に加えて、さらに詳しいターゲティングを行う場合に使用します。設定項目は次のとおりです。
・クリックする広告 |
出典:新規オーディエンスへのリーチについて | Metaビジネスヘルプセンター
上記の項目を基準に、条件に当てはまるユーザだけに広告を配信するだけでなく、あてはまるユーザに広告を配信しない「除外設定」も可能です。
カスタムオーディエンス
カスタムオーディエンスは、自社のWebサイトにアクセスしたユーザなど、主に「自社の計測したデータ」を使ったターゲティングです。
大きく分けて次の2種類のデータを基準としたターゲティング設定ができます。
・【自社のデータ】:自社のWebサイトや実店舗で計測したユーザの行動データ
・【Metaのデータ】:自社のInstagramアカウントで投稿した動画に反応したユーザなど、Metaのサービス上で自社が公開しているコンテンツに対するユーザの行動データ
「自社のデータ」の設定項目は次のとおりです。
項目 | 内容 |
ウェブサイト | 自社のWebサイトの特定のページにアクセスしたユーザをターゲットとして設定できます。 |
アプリアクティビティ | 「カートに追加」「レベル達成」など、アプリで特定のアクションを行ったユーザをターゲットとして設定できます。 |
カタログ | 商品の「閲覧」「カート追加」「購入」などのアクションを行ったユーザをターゲットとして設定できます。 |
カスタマーリスト | 自社の保有する顧客データ(名前・メールアドレスなど)と一致するかどうかでターゲティングを行います。 |
オフラインアクティビティ | 実店舗での購入・電話注文・予約などオフラインでの行動データに基づくターゲティングを設定できます。 |
「Metaのデータ」では次の項目を設定できます。
項目 | 内容 |
動画 | 自社が投稿した動画を見たユーザをターゲットとして設定できます。 |
リード獲得フォーム | Metaサービス上で資料請求などの申込フォームを作成できる「リード獲得フォーム」でのユーザのアクションを基準にしたターゲティングができます。 |
インスタントエクスペリエンス | Metaサービス上でランディングページを作成できる「インスタントエクスペリエンス」でのユーザのアクションを基準にしたターゲティングができます。 |
ショッピング | Facebook・Instagramのショッピング機能での商品の閲覧・購入・保存などのユーザのアクションを基準にしたターゲティングができます。 |
Instagramアカウント | 自社のInstagramアカウントのフォローなどのアクションを基準にしたターゲティングができます。 |
イベント | Facebookの「イベント」機能に対するユーザの回答内容や、いいね!などのアクションを基準にしたターゲティングができます。 |
Facebookページ | 自社のFacebookページでのユーザのアクションを基準にしたターゲティングができます。 |
Facebook上の出品 | Facebook上で個人間売買ができる「マーケットプレイス」でのユーザのアクションを基準にしたターゲティングができます。 |
カスタムオーディエンスについても、条件に当てはまるユーザに広告を配信しない「除外設定」が可能です。
類似オーディエンス
類似オーディエンスは、基準となるオーディエンス(ソースオーディエンス)との類似するユーザをターゲットに設定する方法です。
どの程度まで類似するユーザをターゲットとするか、「マッチ率」を1~10%の範囲で指定できます。割合が高いほどマッチ率が高くなりますが、その分ターゲット範囲が狭くなり、逆に低くするとターゲット範囲が広くなります。
Instagram広告でよくあるターゲティング戦略の例
様々あるターゲティング項目を、実際の広告運用でどのように活用すれば良いのでしょうか。
よくあるターゲティング戦略の例として、次の3つを紹介します。
・地域によるターゲティング
・職業・学歴によるターゲティング
・リターゲティング
それぞれどのような用途・目的で活用できるのか、詳しく解説します。
地域によるターゲティング
コアオーディエンスで設定できる「地域」のターゲティングは、Instagram広告配信において使われる頻度の高いターゲティング設定の1つです。
地域密着型のイベントや実店舗への集客などでは、広告を配信する地域を絞り込むことで遠方のユーザに配信されることを避け、広告のコストパフォーマンスを高めることができます。
求人広告でも、勤務地へのアクセスが良いエリアにターゲットを絞ることで、応募に至る可能性の高いユーザに対して広告を配信できます。
職業・学歴によるターゲティング
コアオーディエンスの「詳細ターゲット設定」では、職業・学歴の利用者データを使用したターゲティングができます。
これはBtoB商材や求人広告など、ユーザの職業・専門分野を絞りたい場合に有効なターゲティング設定です。
例えば、「決定権を持つ管理職のユーザにBtoB商材の広告を配信したい」「募集する職種の経験者を募集する求人広告を配信したい」といった場合に活用されています。
リターゲティング
自社のWebサイトを訪問したユーザなど、すでに接点のあるユーザをターゲットとする「リターゲティング」も、よくあるターゲティング戦略の1つで、カスタムオーディエンスから設定できます。
例えば、EC業界では自社のECサイトのユーザデータを連携させて、「商品をカートに入れたまま離脱したユーザ」に対して広告を配信して購入を促したり、「商品を購入したユーザ」へのアップセル・クロスセルを促したりといった施策がよく行われます。
Instagram広告のターゲティング設定の方法・手順
続いて、Instagram広告のターゲティングを手動で設定する手順を詳しく見ていきましょう。
デフォルトでは、「Advantage+ オーディエンス」がオンになっています。
コアオーディエンスの設定手順
コアオーディエンスは広告セットを作成する際に設定します。
まず、デフォルトでオンになっている「Advantage+ オーディエンス」をオフにする必要があります。
広告セットの「 オーディエンス」の項目で「広告のリーチをさらに限定」をクリックします。
次に表示されるポップアップから「設定を切り替える」を選択しましょう。
これでAdvantage+ オーディエンスがオフになる(手動設定に切り替わる)ので、「地域」「年齢」「性別」「詳細ターゲット設定」「言語」などコアオーディエンスの各項目を設定します。
カスタムオーディエンスの設定手順
カスタムオーディエンスは、手動設定に切り替えた際の設定画面にある「カスタムオーディエンス」の項目で設定します。
既存のカスタムオーディエンスを選択する、または新規で作成します。
新規で作成する場合は、新規作成のプルダウンから「カスタムオーディエンス」を選択します。
データソースの一覧が表示されるので、設定したいソースを選択し、「次へ」をクリックします。
次にデータソースごとに必要な設定項目が表示されるので、必要事項を入力していくことで、カスタムオーディエンスの作成・設定ができます。
類似オーディエンスの設定手順
類似オーディエンスも、カスタムオーディエンスの設定画面から設定を行います。
「既存のオーディエンスを検索」から類似オーディエンスを選択する、または新規で作成します。新規で作成する場合は、新規作成のプルダウンから「類似オーディエンス」を選択します。
類似オーディエンスの設定画面が開くので、次の項目を設定します。
・類似オーディエンスのソースを選択して下さい:基準となるオーディエンスを選択、もしくは新規作成する
・ターゲット地域を選択:ターゲットとするユーザの国・地域を選択する
・オーディエンスサイズを選択:マッチ率(類似度)を設定。(1~10%)
設定後、「オーディエンスを作成」することで、新規の類似オーディエンスの作成・設定ができます。
Instagram広告のターゲティング設定の注意点・ポイント
Instagram広告のターゲティング設定では、次の4つのポイントを押さえておくことが大切です。
・Advantage+オーディエンスを積極的に活用する
・オーディエンスのボリュームに注意する
・効果分析・改善を繰り返す
それぞれ詳しく解説します。
Advantage+ オーディエンスを積極的に活用する
Instagram広告は基本的に、自動でにターゲティングを最適化する、Advantage+オーディエンスを活用することで成果が出やすくなります。
特に最初のうちは、どのようなターゲットが良いか分からないことも多いため、手動で設定すると機会損失につながる可能性もあります。
「配信されると困るユーザ層がある」など特別な事情がない限りは、基本的にAdvantage+オーディエンスを活用するのがおすすめです。
オーディエンスのボリュームに注意する
ターゲットを絞り込み過ぎて、オーディエンスのボリュームが必要以上に小さくならないように注意しましょう。
ターゲティングを細かく設定してオーディエンスを絞り過ぎると、十分な広告配信量を確保できず、成果が出にくくなってしまいます。
ただし、オーディエンスが大き過ぎると成果につながらないターゲットにも広告が配信されてしまい、無駄なコストが発生しやすくなります。オーディエンスのボリュームが適正な範囲になるよう調整することが大切です。
効果分析・改善を繰り返す
Instagram広告に限った話ではないですが、運用型広告で成果を上げるには、配信して放置するのではなく、配信結果を元に常に分析・改善を繰り返すことが重要です。
広告のクリック率・コンバージョン率などのレポートをチェックして、クリエイティブやターゲティング設定に改善すべき点がないか分析しましょう。
効果の出ていないクリエイティブを差し替えたり、ターゲティングを変更したりなどして調整を繰り返すことで、効果を高めていくことができます。
まとめ
Instagram広告のターゲティングでは、Metaのデータを使った精度の高いターゲティングや、AIによる自動ターゲティングが可能で、簡単に効果的なターゲティングを利用できる仕組みがあります。
Instagram広告のターゲティングについて、「そもそもどのターゲットを狙えば良いか分からない」など、運用方法でお悩みの際には、代理店などの専門家にご相談することをおすすめします。
弊社メディックスでは、Instagramを含むMeta広告の正規認定パートナーとして、ターゲティングを含む運用全般についてのサポートをご提供しています。
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