【Tableau】もう複数ダッシュボードは不要!パラメータの作成と使用方法|ウェブ部

【Tableau】もう複数ダッシュボードは不要!パラメータの作成と使用方法

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はじめに

「売上の集計軸を“受注日”と“出荷日”で切り替えたい」「月次だけでなく日次でも実績を見たい」…このような要望に応えるために、似たようなダッシュボードを何枚も作成していないでしょうか?
分析の切り口が少し違うだけでダッシュボードが増えていくと、管理が煩雑になるだけでなく、見る側にとってもどれが最新で正しい情報なのか分かりにくくなってしまいます。
この課題を解決するのが、Tableauの**「パラメータ」**機能です。パラメータを使いこなせば、ユーザー自身がダッシュボード上で分析軸を自由に切り替えられるようになり、1枚のレポートで多角的な分析が可能になります。
この記事では、実際の売上レポートで使われている事例を基に、パラメータの基本的な仕組みから、より実践的な活用方法までを分かりやすく解説します。

パラメータとは?

Tableauにおけるパラメータとは、ひと言でいえば「ユーザーが任意の値を選択できる“箱”」のことです。この“箱”に何を入れるかによって、計算式の結果や表示するデータを動的に変更することができます。
パラメータの仕組みは、以下の3ステップで成り立っています。
1. パラメータを作成する(入力の箱を用意):
まず、「日付粒度」や「表示指標」といった、ユーザーに選択させたい項目のリストを持つパラメータを作成します。これがダッシュボード上ではドロップダウンリストやスライダーとして表示されます。
2. 計算フィールドを作成する(処理のルールを定義):
次に、作成したパラメータの値を参照する計算フィールドを作ります。IF文やCASE文を使い、「もしパラメータで“A”が選ばれたら、この計算をしなさい」といったルールを定義します。
3. ビュー(可視化)に反映させる:
最後に、この計算フィールドをグラフの軸やフィルターとして使用します。これにより、ユーザーがパラメータを操作すると、連動してグラフや表が変化するレポートが完成します。
言葉だけでは少し分かりにくいかもしれませんので、具体的な事例を見ていきましょう。

出荷/受注の切り替え × 開始日/終了日の設定

売上分析で頻繁に登場するのが、「受注日基準で見るか、出荷日基準で見るか」という論点です。パラメータを使えば、これを1つのグラフで簡単に切り替えられるようになります。

Step1: 「日付選択」パラメータの作成

まず、”出荷日”と”受注日”という2つの文字列をリストに持つパラメータを作成します。これを[日付選択パラメータ]と名付けます。

Step2: 日付を切り替える計算フィールドの作成

次に、このパラメータと連動する計算フィールド[日付]を作成します。式は非常にシンプルです。

IF [日付選択パラメータ] = “出荷日”
THEN [出荷日]
ELSE [受注日]
END

 

この計算フィールド[日付]は、パラメータの選択に応じて、「出荷日」のデータを返したり、「受注日」のデータを返したりします。

Step3: 日付範囲パラメータとフィルターの設定

さらに、分析対象期間をユーザーが自由に設定できるように、[開始日パラメータ]と[終了日パラメータ](データ型:日付、許容値:範囲、ステップサイズ:1日)を作成します。

 

そして、フィルター用の計算フィールドを以下の計算式で作成します。

[日付] >= [開始日パラメータ] AND [日付] <= [終了日パラメータ]

 

そして[開始日パラメータ]と[終了日パラメータ]を表示したうえでこの計算フィールドをフィルターに入れ、「真」を選択すると完成です。ダッシュボード上では、ユーザーは「出荷日か受注日か」を選んだ上で、カレンダーから自由に「開始日」と「終了日」を指定して、グラフを絞り込むことができるようになります。

前月実績を並べて比較する

パラメータは、単純な表示切替だけでなく、動的な比較分析にも威力を発揮します。ここでは、選択した「対象月」に対して、常に「前月の実績」を横に並べて表示する方法を解説します。

Step1: 「対象月」パラメータの作成

[対象月パラメータ] (データ型:日付、許容値:範囲、ステップサイズ:1月)を作成します。

Step2: 「当月売上」と「前月売上」の計算フィールド作成

次に、このパラメータの値に応じて売上を出し分ける2つの計算フィールドを作成します。

IF DATEDIFF(‘month’, [日付], [対象月パラメータ]) = 0
THEN [売上]
END

DATEDIFF関数は2つの日付の差を計算します。ここでは日付とパラメータで選択した月の差が「0ヶ月」の場合、つまり当月の場合のみ売上を返します。

IF DATEDIFF(‘month’, [日付], [対象月パラメータ]) = 1
THEN [売上]
END

同様に、日付とパラメータの月の差が「1ヶ月」の場合、つまり前月の場合の売上を返します。

Step3: 表への配置

あとは、この2つの計算フィールド[当月売上]と[前月売上]を表計算のメジャーバリューに並べて配置するだけです。ユーザーがダッシュボードで「対象月」を切り替えるたびに、表の数値が自動で更新され、常に当月と前月の比較が可能になります。
この応用で、DATEDIFF(‘year’, …)を使えば、前年同月の実績比較も簡単に実現できます。

 

ただし、ディメンションに日付を入れたままだと上記の動画のように横並びでは表現できませんので、あくまでもディメンションに日付以外のものが入っている際のみ使える点に注意しましょう。

5. 最後に

今回は、Tableauのパラメータ機能について、基本的な仕組みから実践的な活用例までをご紹介しました。
パラメータを使いこなすことで、レポートの数を大幅に削減できるだけでなく、ユーザー自身がデータを深掘りしていくことが容易になります。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、今回ご紹介した「表示の切り替え」や「期間比較」は非常に応用範囲の広いテクニックです。ぜひ、ご自身のレポートにも取り入れて、より価値のあるインタラクティブなダッシュボード作成に挑戦してみてください。

 

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