Looker Studioの使い方:上級者編 ~パラメータ機能の活用ユースケース~|ウェブ部

Looker Studioの使い方:上級者編 ~パラメータ機能の活用ユースケース~

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はじめに

Looker Studioの「パラメータ機能」は、静的なレポートを、閲覧者が自ら操作し対話できる「動的な分析ツール」へとレベルアップさせる強力な機能です。

この機能を使えば、閲覧者はレポートに用意された変数(パラメータ)の値を自由に変更し、その結果をリアルタイムでビジュアライゼーションに反映させることができます。これにより、分析者は多様な視点を提供し、閲覧者は自身の仮説をその場で検証できるようになります。

ここでは、パラメータの真価を発揮させるための、具体的で実践的な4つの活用ユースケースを深掘りして解説します。(ユースケースにて紹介するデータはサンプルとなります。)

ユースケース1:未来を予測する「What-if シナリオ分析」

パラメータが最も輝く活用法が、この「What-if(もし〜だったら?)」分析です。将来の目標や外部環境の変化といった不確定要素をパラメータとして定義し、ビジネスインパクトを瞬時にシミュレーションします。

【具体例:広告予算と目標CPAの最適点を探る】

マーケティング担当者は、常に予算と成果のバランスに頭を悩ませています。パラメータを使えば、その最適点をインタラクティブに探るダッシュボードを構築できます。

レポートでの見せ方: レポート上に「予算増減率(%)」と「目標CPA」の入力ボックス(またはスライダー)を設置。その下に、「予測コンバージョン数」と「予測売上」のスコアカードを配置します。

得られる効果: 閲覧者は「もし来月の予算が10%増えたら?」「もし目標CPAを500円引き上げたら?」といった仮説を、パラメータの数値を変更するだけで即座に検証できます。これにより、単なる結果報告ではない、次のアクションに繋がる戦略的な議論をデータを見ながら行うことが可能になります。

ユースケース2:万能グラフを作る「指標・分析軸の動的切り替え」

「売上も利益も、セッション数も見たい」「商品カテゴリ別だけでなく、地域別やチャネル別でも確認したい」といった要望に応えるため、下イメージのように一つのグラフにいくつもの指標のデータを出力していませんか? パラメータを使えば、1つのグラフを閲覧者の見たい切り口に動的に変化させることができます。

【具体例:1つの時系列グラフであらゆるKPIを可視化】

レポートでの見せ方: 時系列グラフの上部に「表示指標」と「表示単位」のプルダウンメニューを設置。グラフの指標には選択された指標を、ディメンションには選択された時間軸を設定します。

得られる効果: レポートの省スペース化はもちろん、閲覧者は同じグラフ上で複数の指標や時間軸を比較検討できるため、異なるKPI間の相関関係や、短期・長期のトレンドといった、より深いインサイトを得やすくなります。能動的にデータを探索する体験は、閲覧者のデータへの関与度を格段に高めます。

ユースケース3:分析を深化させる「動的データセグメンテーション」

固定的なセグメント(例:「購入回数3回以上」)では、分析の切り口が限定されてしまいます。パラメータを使い、セグメントの定義自体を閲覧者が変更できるようにすることで、より柔軟で深い分析が可能になります。

【具体例:優良顧客の定義をインタラクティブに探る】

パラメータの値を変更させるとセグメントの定義も変化するため、データも異なるものが出力されます。

得られる効果: 分析者は「優良顧客の定義をもう少し広げたら、対象者は何人になるか?」「逆に厳しくした場合、どんな顧客が残るのか?」といった検証をその場で実行できます。データに基づいたペルソナ設計や、ターゲットを絞ったマーケティング施策の立案に絶大な効果を発揮します。

ユースケース4:施策効果をシミュレーションする「動的LTV予測」

ECサイトやサブスクリプションビジネスにおいて、LTV(顧客生涯価値)は最も重要な指標の一つです。パラメータを活用し、LTVを構成する要素(顧客単価、購入頻度など)を変動させ、施策のインパクトをシミュレーションするダッシュボードを作成します。

【具体例:顧客単価・購入頻度の改善インパクトを試算】

LTVは一般的に「平均顧客単価 × 平均購入頻度 × 平均継続期間」で計算されます。マーケターは、この各要素を改善する施策(単価アップ施策、リピート促進施策など)を打ちます。このダッシュボードでは、それらの施策が成功した場合のLTVへの影響を予測します。

(前提として、データソースに「実績LTV」「実績顧客単価」「実績購入頻度」「平均継続期間」が集計されているとします)

レポートでの見せ方: 「平均単価の改善率(%)」と「購入頻度の改善率(%)」を操作するスライダーを2つ設置。 その下に、「実績LTV」「予測LTV」「LTV改善インパクト(金額)」の3つのスコアカードを並べて表示します。

得られる効果: 「クロスセル施策で客単価がもし5%上がったら、全体のLTVはいくら増えるのか?」「リピート促進施策で頻度が10%改善した場合のインパクトは?」といった、施策の投資対効果(ROI)を議論するための具体的な数字をその場で試算できます。

これにより、「単価を5%上げる」ことと「頻度を3%上げる」ことのどちらがビジネスインパクトが大きいかを定量的に比較でき、リソースをどの施策に集中すべきか、データドリブンな意思決定が可能になります。

まとめ

これらのユースケースはほんの一例です。パラメータの真価は、計算フィールドとの組み合わせによって無限に広がります。ぜひ、あなたのレポートにパラメータを取り入れ、データとの対話を始める第一歩を踏み出してください。

 

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