2025年後半から2026年にかけて、Google アナリティクス 4(以下GA4)の進化が止まりません。
これまでアクセス解析ツールという認識が強かったGA4ですが、今やサイト内外のデータを統合し、ビジネスの意思決定を支えるマーケティングハブへと役割を変えつつあります。
特に注目を集めているのが、主要SNS広告との自動連携と、分析AIの実装です。
「これで分析が楽になる!」「広告の費用対効果がすぐに確認できる」と期待しているマーケターの方も多いと思います。しかし、これらの最新機能を使いこなすためには、絶対にクリアしておかなければならないある条件があります。
それは、足元のデータ計測が正しく行われていることです。
本記事では、2026年時点のGA4最新機能を紹介しつつ、それらを最大限に活用するために今すぐ見直すべき計測設定の6つの落とし穴について解説します。
・2026年時点のGA4最新機能(非Google媒体自動連携や分析AI)の概要
・最新機能の成果を左右するデータの質の重要性
・クロスドメインやパラメータ設定など、今すぐ見直すべき計測設定の6つの落とし穴と対策
目次
GA4は分析ツールからマーケティングハブへ
まずは、2026年2月現在(※執筆時点)、GA4で何ができるようになったのか、その進化のポイントをおさらいしましょう。
非Google広告媒体との自動連携が解禁
これまでGA4で広告コストや成果を管理しようとすると、Google広告以外は手動集計など手間のかかる作業が必要でした。
しかし、2025年のアップデートにより、Meta(Facebook/Instagram)、TikTok、Pinterest、Snapといった主要SNS広告媒体とのデータ連携が可能になりました。
これにより、各媒体の管理画面を行き来することなく、GA4上でクロスチャネルでのコスト管理や成果分析が統合的に行えるようになります。
さらに、「もし予算配分を変えたら成果はどうなるか?」といったクロスチャネルでのシナリオ分析も可能になり、媒体を横断した最適な予算アロケーションをGA4上でシミュレーションできるようになりました。
分析AI(Analytics Advisor)の登場
もう一つの目玉が、AIによる分析支援機能Analytics Advisorです。
これは、チャット形式(自然言語)でGA4に問いかけるだけで、データの増減理由を分析してくれたり、改善案を提案してくれたりする機能です。
先週と比べてコンバージョンが減った原因は?といった質問に対し、AIが膨大なデータから答えを導き出してくれる未来が、すぐそこまで来ています。
(※執筆時点では、Googleアカウントの言語が英語設定のユーザー向けに先行リリースされています)
データの質が分析結果を左右する
最新機能の話を聞くと、すぐにでも導入したくなりますが、ここで立ち止まって考えてほしい言葉があります。
Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたら、ゴミしか出てこない)
これはデータ分析の世界でよく使われる格言です。いくらAIが高性能でも、いくら便利な連携機能があっても、インプットされるデータが間違っていれば(Garbage In)、そこから導き出される分析結果やAIの提案もまた間違ったものになってしまいます(Garbage Out)。
例えば、コンバージョン数が実際の半分しか計測できていなかったら?AIは成果が出ていないと誤認し、広告予算を縮小しましょうという間違った提案をしてくるかもしれません。
最新機能を宝の持ち腐れにしないため、あるいは誤った経営判断を避けるために、まずは足元の計測環境を見直す必要があります。
ここからは、多くの企業が見落としがちな6つの落とし穴を紹介します。
最新機能を無駄にしないための6つの落とし穴
【穴1】そもそもキーイベントは計測できているか?

コンバージョン(キーイベント)設定なんて、基本中の基本だろうと思われるかもしれません。しかし、意外と設定できていないケースが多いです。
コンバージョン(キーイベント)設定ができていないと、広告連携してもせっかくのCPAを確認することができません。
また、注意したいのがカウント方法の設定です。GA4では、コンバージョンをカウントするタイミングを以下の2つから選べます。
- イベントごとに1回(推奨):ユーザーが操作するたびにカウント
- セッションごとに1回:同一セッション内では1回のみカウント
例えば、ユーザーが何度も資料請求ボタンを押した場合、イベントごとなら押した回数分、セッションごとなら1回としてカウントされます。
自社のKPIに合わせて適切に設定されていないと、管理画面の数値と実態が乖離し、AIが分析するデータとしても不適切になります。
【穴2】クロスドメイン設定漏れで流入元が消滅

例えば、本体サイトのドメイン(例:www.aaa.co.jp)と、カートやフォームのドメイン(例:www.bbb.com)が異なる場合、クロスドメイン設定が必要です。
この設定に不備があると、ユーザーがドメインをまたいだ瞬間に、それまでの流入元情報(広告経由など)がリセットされてしまいます。
その結果、コンバージョン直前の流入元情報が「自社サイトのドメイン(Referral)」に上書きされてしまい、「広告を出しているのに、GA4上では広告経由の成果がゼロ」という事態に陥ります。これでは正しい広告評価は不可能です。
なお、サブドメイン(例:www.aaa.co.jpとsub.aaa.co.jpのような関係性)の場合はクロスドメイン設定は不要です。
【穴3】URLが変わらないフォームの計測漏れ

フォームなどで特に注意が必要なのが、画面遷移してもURLが変わらない作りになっているケースです。
例えば、「入力画面」→「確認画面」→「完了画面」と進んでも、ブラウザ上のURLは「/inquiry」のまま変わらないという状態です。
この場合、GA4で単純に「/inquiry」到達をキーイベント(コンバージョン)として設定してしまうと、「入力画面」に到達しただけでコンバージョンとしてカウントされてしまいます。
実際には申し込み完了まで至っていないユーザーもすべて成果として計上されるため、管理画面上では成果が実態よりも大幅に「かさ増し」されるという乖離が生まれます。
正しい数値を計測するためには、バーチャルページビューという設定を行います。
完了画面に到達したタイミングで「/inquiry_comp」といった仮想のURL情報をGA4に通知する仕組みです。これによって初めて、「入力画面到達」ではなく「完了画面到達」のみを正確に計測できるようになります。
【穴4】UTMパラメータの表記ゆれ

SNS広告連携を成功させるための最大の関門がここです。
GA4と広告媒体を連携させる際、カギとなるのがURLに付与するUTMパラメータです。
SNS広告とGA4のデータを連携させる場合、一番重要なのは、管理画面の設定とパラメータの値を完全一致させることです。
- パラメータではMetaとしているのに、管理画面の設定ではFacebookとなっている。
- パラメータではFecabookだが、管理画面ではfacebook。
これらはシステム上別物として扱われるため、データが正しく突合されません。
連携前には、社内のパラメータ運用ルールを厳格に統一することが必要です。
【穴5】Eコマース計測の欠落

これはECサイトや同様のサイトにおいて必須となってくる設定です。購入完了数や売上金額は計測できていますか?
どの広告が貢献しているのかを判断するためには金額データが不可欠です。
AIに正しい投資判断をさせるためにも、Eコマース設定(購入完了数や購入金額の取得)の実装を強く推奨します。
【穴6】決済サイトの参照元除外漏れ

ECサイトでよくあるのが、PayPayやクレジットカード決済などの外部決済画面へ遷移し、決済完了後に自社サイトへ戻ってくるパターンです。
ここで参照元除外設定を行っていない場合、GA4は直前の流入元=決済サイトをコンバージョンの貢献元として記録してしまいます。
本来評価されるべき広告や検索の成果が、決済サービスの成果になってしまいます。
外部決済を利用している場合は、必ずそのドメインを除外リストに登録しましょう。
まとめ:ツールが進化するほど人間の設計力が問われる
GA4の機能は2026年も進化を続け、AIによる自動化や効率化はますます進んでいくでしょう。
しかし、その便利さを享受できるのは、正しいデータという土台を持っている企業だけです。
機能が自動化されても、データの品質管理や計測設計は、人間にしかできない仕事です。
AIや連携機能を使ってみたいと思ったら、まずは一度管理画面を開き、今回ご紹介した6つの落とし穴に陥っていないか、セルフチェックを行うことから始めてみましょう。
※本記事で紹介した機能や仕様は、執筆時点(2026年2月)の情報に基づいています。