Criteo広告は、ユーザのサイト内行動履歴に基づいてパーソナライズされた広告を自動生成し、高い成果をあげている広告媒体の1つです。
特にECサイトとの相性が抜群で、国内の大手ECサイトの多くが導入している実績もあります。
しかし、その仕組みや配信面、始めるまでの流れについて詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
「Criteo広告ってよく聞くけどどういう仕組み?」
「Criteo広告を配信してみたいが、どんな特長があるのだろう?」
といった疑問をお持ちの方はぜひ、最後までお読みください。
目次
Criteo広告とは?
Criteo広告とは、1度Webサイトを訪れたユーザのサイト内での行動履歴(閲覧した商品やカートに入れた商品など)に基づいて、パーソナライズされた広告を自動生成するダイナミックリターゲティング広告が代表的な広告配信サービスです。
独自の人工知能をベースにしたアルゴリズムと高性能エンジンによる配信で高い成果をあげており、国内のECサイト売上高上位100社の内、85%に導入されています。
次の画像のように、ECサイトを閲覧した後にほかのサイトを見ていると、自分が閲覧していた商品の広告が表示された経験がある人も多いのではないでしょうか。
引用:広告ギャラリー(Criteo)
ECサイト以外にも、求人サイトや不動産サイトなど、取扱商品数が多いサイトと相性が良いです。
参照:「0から学ぶCriteo広告」~の概要とQ&Aを特別公開(Criteo)
Criteo広告の仕組み
Criteo広告がどのようにパーソナライズされた広告を配信しているのか、仕組みを説明します。
Criteo広告では、サイト内に埋め込んだタグでユーザが閲覧した商品の情報を取得し、データフィードの情報元に該当する商品、または関連する商品をバナーに表示しています。
例えば、アパレルECサイトで、「バッグA」を閲覧していたら、「バッグA」や、同じカテゴリの「バッグ」の商品をレコメンドするイメージです。
このように、ユーザの閲覧履歴に基づいてバナーを生成することで、パーソナライズされた広告配信を実現しています。
Criteo広告の特長
Criteo広告の特長は、大きく3つあります。
パーソナライズされた広告を配信できる
繰り返しになりますが、Criteo広告の特長の1つは、ユーザに合わせてパーソナライズされた広告を配信できることです。
一般的なディスプレイ広告では、すべてのユーザに共通の画像でしか訴求できません。
Criteo広告では、ユーザが実際に興味を持っている商品に合わせた広告で訴求できるため、高い費用対効果が期待できます。
AIによる最適化精度が高い
ダイナミックリターゲティングが配信できるメディアはCriteo以外にもありますが、CriteoはAIによる最適化精度が高いことが特長です。
Criteoは、2012年のYahoo!JAPANとの業務提携を契機に、日本市場での導入が進みましたが、まだAIが普及していない頃からAIを強みとしたサービス展開をしていて、AIの技術に長けています。
AIによる最適化精度の高い主な機能は、入札、クリエイティブ、レコメンドの3つです。
サイトの訪問履歴や商品の閲覧履歴などのユーザ行動や、CriteoショッパーグラフというCriteoの保有するデータベースの情報を活用して、広告の効果が最大化されるように入札、クリエイティブ、レコメンドをAIが最適化して配信をします。
参照:ショッパーグラフ(Criteo)
Yahoo!など国内主要メディアに掲載できる
Criteo広告では、Yahoo!Japanをはじめとする、様々なメディア、ネットワーク、SNSと接続をしていて、朝日新聞DIGITAL、tenki.jp、食べログ、Facebookなど日本の多くの主要メディアに掲載することができ、多くのユーザへリーチすることが可能です。
Yahoo広告からの出稿以外で、Yahoo!Japanへ配信できる広告メディアは限られているため、Criteoを活用するメリットの1つといえます。
なお、Criteoの提携業者については次の一覧で紹介されています。
参照:当社の提携業者(Criteo)
Criteo広告の事例
実際に、MedixでCriteo広告と、Criteo以外のダイナミックリターゲティング広告を並行配信をした際の、売上の結果を紹介します。(業種:アパレルEC)
Google動的リマーケティング広告や、RTBhouseでの配信と比べ、Criteoが最も多くの売上を創出できていて、Criteo広告の効果の大きさが伺えます。
Criteo広告の効果を高めるポイント
Criteo広告の効果を高めるためには、計測タグとデータフィードの最適化が重要です。
それぞれ説明します。
計測タグ
計測タグには、「誰が、いつサイトに訪問して、どんな商品を閲覧して、購入した」という、ユーザの検討行動を取得する役割があります。
Cirote広告では、計測タグを通じて取得したデータを活用して、AIが広告の最適化を行います。そのため、なるべく多くのデータを正確に取得することが、広告の配信精度を高めることにつながります。
Criteoの計測タグは、トップページ、商品ページ、カートページなど、サイトの階層ごとに設定方法が異なります。
一部のタグを設置するだけでも広告の配信は可能ですが、効果を高めるため、可能な限りすべての階層に計測タグを設定しましょう。
参照:すべてのCriteo Tagイベントとパラメータ(Criteo ヘルプ)
データフィード
データフィードとは、自社の商品一覧(データ)をCriteoのフォーマットに合わせて加工し、供給(フィード)する仕組みのことです。
次の表のように、商品データを一覧化したものをイメージするとわかりやすいと思います。
Criteo広告では、ユーザごとに最適化された広告を配信をするために、データフィードを活用しています。
例えば、商品Aを閲覧したユーザに対して、商品Aを閲覧していたという情報を取得するために、タグを通じて「商品ID」を取得します。そのタグで取得した「商品ID」と、データフィード内の「ID」を照らし合わせることで、ユーザが閲覧していた商品を特定し、レコメンド配信を行うという仕組みです。
データフィードの情報は、主にクリエイティブとレコメンド精度の2つに影響し、広告の効果に関わってきます。
それぞれデータフィードとどう関係するのか、説明します。
・クリエイティブ
AIで自動生成されるバナーのクリエイティブは、データフィードに記載されている商品名や画像、価格などの情報を活用して自動生成されます。
そのため、データフィードの情報は、クリエイティブを意識した内容にする必要があります。
商品名などはバナーのサイズによっては途切れてしまうため、重要な訴求は商品名の前半に記述するなど、クリエイティブを意識したデータフィードにする必要があります。
・レコメンド精度
広告で表示される商品は、データフィードのカテゴリ情報をもとに選択されます。
そのため、商品のカテゴリ情報をユーザの検討軸に合わせた設定にすることは、レコメンド精度を高めることにつながります。
Criteo広告のターゲティング
Criteo広告は、ダイナミックリターゲティングが有名ですが、ダイナミックリターゲティング以外にもターゲティングが豊富に用意されています。
種類 | 広告メニュー | 詳細 |
Retargeting |
Retargeting | 1度Webサイトに訪れたことのあるユーザ |
Prospecting (プロスペクティング) |
Similar Audience | アカウント単位での類似拡張 |
Customizable (カスタム) |
Lookalike Audience | ユーザ単位での類似拡張 |
RDAC Audience | 楽天データを基にした配信 | |
Commerce Audience | 購買データを基にした配信 | |
Persona Audience | ペルソナを基にした配信 | |
Location Audience | 位置情報を基にした配信 | |
Event Audience | 1度Webサイトに訪れたことのある一部のユーザ | |
顧客リスト | 顧客リストへの配信 |
表にあるように、ターゲティングは、リターゲティング・プロスぺクティング・カスタムの3つに分かれ、それぞれ「どのような人物をターゲットとする広告なのか」で使い分けます。
・リターゲティング:広告主のサイトに1度でも訪問経験のあるユーザに対しての広告
・プロスペクティング:顧客になる見込みが高く、サイトへの訪問経験がないユーザに対する広告
・カスタム:時間・年齢・場所など、条件を自由に組み合わせられる広告
よく使われるのは、リターゲティングやプロスペクティング、カスタムの「Lookalike Audience」などです。
このうち「Lookalike Audience」は、既存顧客に類似したユーザに広告を発信でき、弊社の実績でも高い効率で顧客を獲得できているケースが多いです。
Criteo広告のフォーマット
Criteo広告と言えば、Dynamic Adsと呼ばれるレコメンド形式のフォーマットが有名ですが、Dynamic Ads以外にも様々な広告フォーマットがあります。
1つずつ紹介します。
Dynamic Ads
Dynamic AdsはCriteoの代表的なフォーマットで、1つのバナーに複数の商品を表示させることが可能です。
データフィードを活用するため、詳細な商品データに基づいたクリエイティブを、ユーザごとにパーソナライズして配信できます。
また、バナーデザインが豊富な点も特長です。
オプションも含めて約17兆とおりのパターンがあり、広告表示されるたびにバナーが自動で生成されます。
Adaptive Ads
引用:広告ギャラリー(Criteo)
アダプティブ広告は、複数の商品を持っていない単一商材でも、Criteo広告を活用したい場合におすすめのフォーマットです。
データフィードを用意しなくても、広告文、イメージ画像、ロゴなどの広告素材を用意するだけで配信することができます。
レスポンシブ型の広告で、入稿した広告素材を元に、様々な広告枠に最適な形で配信され、多くのリーチを期待できます。
Showcase Ads(ショーケース広告)
引用:広告ギャラリー(Criteo)
ショーケース広告は、製品カタログと画像・動画を組み合わせて配信されるフォーマットです。
ダイナミック広告では、商品のレコメンドが訴求の中心となりますが、ショーケース広告ではレコメンドに加えて画像などを一緒に訴求できることが特長です。
セールなどのキャンペーン訴求や、サービスのメリット訴求など、商品以外にも訴求したい軸がある場合におすすめです。
Rich Media(リッチメディア)
引用:広告ギャラリー(Criteo)
リッチメディアは通常のバナーと異なり、バナーをスクロールしたり、カウントダウンを表示したり、通常の静止画では表現できない見せ方ができるフォーマットです。
インタラクティブな広告配信ができるため、ブランド認知目的の配信でおすすめです。
動画広告
動画広告は、動画素材を配信できるフォーマットで、Criteoの最適化エンジンを活用して視聴完了しやすいユーザに最適化することができます。
インストリーム、アウトストリーム、縦型ビデオのフォーマットで配信することができ、数千の豊富な配信先へ配信することができます。
静止画
引用:デジタル広告フォーマット(Criteo)
Criteo広告では、動的なバナーだけではなく、静止画のバナーを配信することもできます。
Criteoを活用したいものの、クリエイティブのレギュレーションが厳しく、レスポンシブ形式の広告を配信できない場合に有効です。
ただし、静止画は入稿したサイズの広告枠にしか配信できないため、レスポンシブ形式で配信できる場合は、アダプティブ広告の活用を検討しましょう。
Criteo広告の出稿条件
Criteo広告を新規で配信、または配信を一定期間以上停止していて再度配信する場合は、広告主のサイトに対して審査があります。
Criteoの審査には次の条件をクリアする必要があるため、確認しておきましょう。
- 予算が50万円以上である
Criteoは予算50万円以上の広告のみ申し込みが可能です。
また、最低予算である50万円を使い切らないうちに、配信を停止することはできません。
契約後は、50万円分の広告配信を行う必要があるため、予算はあらかじめ確保しておきましょう。 - サイトへの最低訪問数をクリアしている
Criteoを配信するには、広告主のサイトが最低訪問数をクリアしている必要があります。
具体的には、1日1,500以上、もしくは月間40,000以上です。
どちらかをクリアできない場合は、Criteo広告を利用できないため注意しましょう。
Criteoが禁止するコンテンツ
Criteoでは、次のような商品・サービスの広告は配信できません。
・嫌がらせまたはヘイトスピーチ
・アダルトコンテンツ
・欺瞞的、虚偽の、または誤解を招く製品/サービス
・違法または法的に問題のある行為、および不正な、あるいは搾取を目的としたコンテンツまたは行為
・知的財産権侵害、著作権侵害、偽造品
・ショッキング/攻撃的なコンテンツ
・銃器および兵器
・薬物
・子ども向けサイト
・出会い系
・安全でないコンテンツ
上記に関連する広告と判断されると、掲載不可となるため、注意しましょう。
また、次のコンテンツを掲載するためには、Criteoから承認を得る必要があります。
・オンライン薬局
・薬物療法およびヘルスケア製品
・アルコール
・ギャンブル
・タバコ
・超能力、占星術、占い
・金融商品/サービスおよび保険サイト
引用:Criteo広告ガイドライン(Criteo)
Criteo広告の配信までの流れ
Criteo広告は、配信するまでにサイトの審査、データフィードや計測タグの設置など、必要な工程が多いため、配信開始までに1ヶ月から2ヶ月ほどかかります。
配信したいタイミングから逆算し、前もって準備を進めましょう。
配信までに必要な工程について、説明します。
サイト・商品の審査・申込
配信する商品がCriteoのガイドラインに反していないか、また、出稿条件でも触れたように、サイトの訪問者数(UU)が1日1,500以上、もしくは月間40,000以上という条件を満たしているかなど、審査が行われます。
審査通過後、申込を進めます。
データフィードの作成
アカウント開設後は、配信するデータフィードの審査が必要なため、Criteoの仕様に沿ってデータフィードを用意します。
データフィードは最新の状態に維持する必要がありますので、自社でデータフィードを出力するシステムを開発するか、DFOツールと呼ばれるデータフィード最適化ツールを活用することで、工数を押さえてデータフィードを用意することができます。
ロゴの用意
バナーに表示されるロゴとリンク先を用意します。
ロゴのデータ形式は、ai、eps、psdのいずれかで用意します。
計測タグの設定
最後に計測タグを設定します。
Criteoの計測タグは、ページ階層に応じて次の7種類あります。
・訪問タグ
・ホームページタグ
・一覧ページタグ
・商品詳細タグ
・カート追加タグ
・カートタグ
・コンバージョンタグ
すべてを設置しなくても配信はできますが、効果を高めるために、可能な限り設定しましょう。
参照:すべてのCriteo Tagイベントとパラメータ(Criteo ヘルプ)
まとめ
本記事では、Criteo広告の仕組み、特長、効果を高めるポイント、ターゲティング、広告フォーマット、そして出稿条件と配信までの流れを、網羅的に解説してきました。
Criteo広告の最大の強みは、ユーザ1人ひとりの行動履歴に基づいたパーソナライズ広告を配信できる点にあります。
また、Yahoo! JAPANをはじめとする国内の主要メディアへ広告掲載できる点も大きなメリットです。
Criteo広告は、特に多くの商品を取り扱うECサイトや求人サイト、不動産サイトなどと相性が良く、高い費用対効果を目指せる広告配信サービスです。
本記事で解説した内容を参考に、Criteo広告の導入や運用改善を行ってみましょう。