「Instagram広告の効果改善をしたい」
「Instagram広告で、複数の商品を一度に紹介できる方法はないか」
とお考えではありませんか?
そんな課題を解決してくれるのが、Instagramのカルーセル広告です。
本記事では、Instagramのカルーセル広告の基本的な仕組みから設定方法、成功させるためのポイントまで、実践的な内容を分かりやすく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
目次
Instagramのカルーセル広告とは?
Instagramのカルーセル広告は、1つの広告枠内で最大10個の画像や動画を順番に表示できる広告フォーマットです。
カルーセル広告では、複数のクリエイティブを用いることで、通常の単一画像広告では伝えきれない、商品の詳細情報や複数商品の魅力をストーリー性を持って効果的に訴求することができます。
基本的な仕組み
カルーセル広告は先に述べたように、1つの広告で2~10枚の画像や動画を横にスライドすることで表示できるフォーマットです。
カルーセル広告では、1枚1枚の画像や動画を「カード」と呼び、ユーザは画面を左右にスワイプするか、デスクトップでは矢印ボタンをクリックすることで、次のカードを閲覧できます。
各カードにはそれぞれ、見出し、説明文、外部リンクを設定でき、共通のCTA※を1つ設置できます。
※CTA:「Call to Action」の略で、ユーザに具体的な行動を促すためのボタン。「詳しくはこちら」「購入する」「もっと見る」などの行動を促すフレーズから1つ選択可能。
そのため、例えば1枚目では商品概要を紹介し、2枚目では詳細スペックを、3枚目では実際の使用シーンを、といったように段階的に情報を提供することが可能です。
また、各カードで異なる商品を紹介し、それぞれ別の詳細ページのリンクを設定できるため、ECサイトでの活用にも適しています。
▼カルーセル広告(フィード)の配信イメージ
引用:Facebook広告ガイド(Meta)
他の媒体のカルーセル広告との違い
Instagram以外でも、カルーセル形式の広告を配信できるプラットフォームはいくつかあります。
もし、ほかのプラットフォームですでにカルーセル広告を配信している場合、素材を転用できる可能性もあるため、違いも含めて概要を把握しておきましょう。
カルーセル広告を配信できるプラットフォームと、その違いは次のとおりです。
プラットフォーム | 枚数 | 複数リンク | 動画素材 | 自動最適化 |
2~10枚 | ○ | ○ | ○ | |
2~10枚 | ○ | ○ | ○ | |
Google広告(デマンドジェネレーションキャンペーン) | 2~10枚 | × ※YouTube・Gmail面のみカードごとにリンクを指定可能 |
× | × |
X広告 | 2~6枚 | × | ○ | × |
LINE広告 | 2~10枚 | × | × | × |
Instagramのカルーセル広告には、ほかのプラットフォームにはない、カードの並び順の自動最適化機能があります。
自動最適化機能では、各カードのパフォーマンスを基に、ユーザに対して最も効果的な順序で表示されるよう、AIによって自動的に順番が調整されます。
カードが順不同で表示されるとうまく機能しない場合(ストーリー性がある広告など)は、手動で順序を設定して固定することも可能なので、使い分けましょう。
Instagramのカルーセル広告の配信面
Instagramのカルーセル広告の配信面は、次の4箇所です。
・フィード
・発見タブ
・ストーリーズ
・リール
引用:Facebook広告ガイド(Meta)
各配信面の特長を簡単に説明します。
フィード
ユーザが最も頻繁に閲覧する場所で、通常の投稿と同じ形式で広告が表示されるため、自然な形でユーザの注意を引くことができます。
発見タブ
ユーザが新しいコンテンツや情報を探している状況で、ユーザが興味を持ちそうな広告を表示することができます。
ストーリーズ
24時間で消える短時間コンテンツとして人気が高く、フルスクリーン表示により没入感の高い広告体験を提供できます。
リール
短尺動画コンテンツとして、エンターテイメント性の高い広告展開ができます。
実際の配信ではこれらの配信面のうち、広告の目的やターゲット設定、クリエイティブの内容などに基づいて、最も効果が高いと判断された場所に自動で配信されます。
Instagramのカルーセル広告のメリット
Instagramのカルーセル広告には、従来の単一画像広告にはない、カルーセルならではのメリットがあります。
ここでは、3つのメリットを紹介します。
複数商品を紹介しやすい
カルーセル広告は、1つの広告で複数の商品を紹介できるため、特に、ECサイトや小売業者にとっては非常に有効です。
各カードで異なる商品を紹介し、それぞれに個別のリンクを設定することで、商品に興味を持ったユーザをスムーズに商品詳細ページに誘導できます。
ファッションブランドであれば、新作コレクションの複数アイテムを1度に紹介し、ユーザが気に入った商品があればすぐにアクセスしてもらう、といった活用ができるでしょう。
台湾向けのレディースファッション通販サイトBAI*白媽媽では、カルーセル広告を商品カタログ風に仕立て配信した結果、単一画像のリンク広告と比べて3倍のクリックがあり、クリック単価は30%、顧客獲得単価は10%下げることができた、という事例もあります。
引用:https://www.facebook.com/business/news/JA-carousel-examples(Meta)
ストーリー性のある広告展開ができる
カルーセル広告は、複数のカードを使って連続性のあるストーリーを展開でき、商品の背景や製造過程、使用シーンなどを分かりやすく伝えることで、ユーザの商品への理解が深まります。
また、例えば、1枚目で問題提起を行い、2枚目で解決策を提示し、3枚目で実際の使用効果を見せるといった構成により、ユーザの感情に訴えかけるような広告も作成できます。
このストーリー性は、ブランドの価値観や魅力を伝える際にも有効で、商品単体の紹介だけでなく、その商品が生まれた経緯や開発者の想い、社会に与える影響などを視覚的に表現することで、ユーザのブランドへの関心を高め、より身近に感じてもらう効果も期待できます。
費用対効果を最適化できる
カルーセル広告は、1つの広告枠で複数のメッセージや商品を展開できるため、個別に広告を配信するよりもコストパフォーマンスが高くなることが多いです。
10商品の広告を配信したい場合、単一の画像広告であれば、広告を10個作成する必要がありますが、カルーセル広告なら1つの広告で済むため、純粋な配信コストを大幅に削減できます。
Instagramのカルーセル広告の注意点
カルーセル広告には多くのメリットがある一方で、把握しておきたい注意点もいくつか存在します。
これらの注意点を事前に理解し、必要に応じて対策しましょう。
制作コストと管理の手間がかかる
カルーセル広告は、複数の画像や動画が必要になるため、単一の画像広告と比較して制作コストがかかります。
複数のクリエイティブを準備するために、撮影、デザイン、編集などの工程が増加し、結果として制作費用が高額になる可能性があります。
また、広告配信後の管理では、複数のカードのパフォーマンスを個別に分析し、効果の低いクリエイティブを特定して改善する作業が発生するため、手間が増えるかもしれません。
これらの要因を考慮し、制作・運用体制を事前に整備することが重要です。
複数枚設定しても最後まで見てもらえない可能性がある
多くのユーザは、最初の1〜2枚のカードしか見ずに次のコンテンツに移ってしまう傾向があり、せっかく制作したカルーセル広告も、全ては見てもらえない可能性があります。
特に、1枚目のインパクトが弱い場合や、内容に一貫性がない場合には、ユーザの興味を維持することができず、離脱の要因となります。
そのため、カルーセル広告では、各カードが独立しても価値を提供できるよう設計し、特に重要な情報は前半に配置する戦略的な構成が必要になります。
Instagramのカルーセル広告作成のポイント
効果的なカルーセル広告を作成するためには、ユーザの行動パターンとプラットフォームの特性を理解した戦略的なアプローチが必要です。
カルーセル広告で成果を出すためには、視覚的インパクト、一貫性のあるストーリー展開、そして各カードの最適化という3つの核となる要素があります。
それぞれの要素を具体的に解説します。
1枚目のカードでユーザの興味を引く
カルーセル広告において、ユーザがカードをスワイプして続きを見るかどうかは、1枚目のカードにかかっています。
その判断は、最初の数秒でなされるため、1枚目のカードには視覚的インパクトと明確なメッセージが不可欠です。
また、1枚目だけで完結するのではなく、「続きが気になる」と思わせる工夫も必要です。
例えば、「3つの秘密を公開」「ビフォーアフターを見せます」といったテキストや、画像の一部を意図的に隠して続きを想像させる構成などが効果的です。
さらに、ターゲットユーザが抱える具体的な悩みや関心事を冒頭で提示することで、自分ごと化を促し、より深い関心を引き出すことができます。
一貫性のあるストーリー展開で、広告を最後まで見てもらう
1枚目のカードでユーザの興味を引いた後は、論理的かつ自然な流れでストーリーを展開することが重要です。
各カードが独立していながらも、全体として1つの完結した物語を形成するよう設計する必要があります。
効果的なストーリー展開としては、問題提起→解決策の提示→具体的な効果→行動促進の流れや、商品紹介→使用シーン→顧客の声→購入方法といった構成が挙げられます。
視覚的な一貫性も重要で、色調やフォント、画像のトーンなどを統一することで、ブランドイメージを強化し、ユーザに安心感を与えることができます。
また、1枚のカードに情報を詰め込みすぎないように情報量をコントロールし、ユーザが無理なく次のカードに進めるよう、各段階で適度な満足感と次への期待感を同時に提供する、絶妙なバランスを保つことが、最後まで見てもらうための鍵となります。
各カードに最適なURLを設定する
カルーセル広告の、各カードに異なるリンク先を設定できる、という利点を最大限に活かすため、各カードの内容と関連性の高いページのリンクを設定し、ユーザの期待に正確に応えましょう。
また、カードの内容と遷移先の関連性のほかにも、ユーザの検討段階に応じてリンク先を最適化することも効果的です。
認知段階のユーザには詳細情報ページや比較ページへ、検討段階のユーザには商品ページやレビューページへ、購入意欲の高いユーザには直接購入ページやカート追加ページへと、それぞれの心理状態に最も適したページに誘導することで、ユーザのアクションをスムーズに引き出すことができます。
カードの枚数を適切に設定する
Instagramのカルーセル広告では、最大10枚のカードを設定できますが、多ければ多いほど良いというわけではありません。
適切な枚数は、伝えたいメッセージの内容、ターゲットユーザの関心度、そして商品やサービスの特性によって異なります。
一般的に、人間の認知能力と注意持続時間を考慮すると、3〜5枚程度が最も効果的とされています。
シンプルな商品紹介であれば2〜3枚、複数商品の比較や詳細なストーリー展開が必要な場合は5〜7枚、包括的なブランド紹介やカタログ的な用途では8〜10枚といったように、目的に応じて調整しましょう。
重要なのは、各カードが明確な役割を持ち、冗長になりすぎないことです。
また、A/Bテストを通じて最適な枚数を見つけることも有効で、最初は少ない枚数から始めて、ユーザの反応を見ながら段階的に調整して最適な枚数を見つけましょう。
Instagramのカルーセル広告の設定方法
Instagramのカルーセル広告は、通常のInstagram広告を作成する手順とほとんど変わらず、次のステップで作成できます。
①「+作成」からキャンペーンを新規作成
新規キャンペーンを作成すると、広告セットの配置でAdvantage+配置(配置の自動化)がオンになるため、Instagramのみの配信にしたい場合や、配信面を指定したい場合は「手動配置」にチェックを入れ、Instagramを選択しましょう。
②広告の設定画面で、フォーマットからカルーセルを選択
③リンク先やカードの画像/動画、メインテキストやCTAを設定し、公開
2枚~10枚の画像や動画をアップロードし、各カードに個別の見出し、説明文、リンク先URを設定しましょう。
すべての設定が完了したら、プレビューで内容を確認し、問題がなければ広告を配信開始します。
Instagramのカルーセル広告の入稿規定
Instagramのカルーセル広告を制作する際は、Meta広告の定める入稿規定を遵守する必要があります。
入稿規定は次のとおりです。
項目 | 詳細 |
ファイル形式 | <画像> JPG、PNG <動画> MP4、MOV、GIF |
アスペクト比 | 1:1または4:5 |
解像度 | 1,080 x 1,080ピクセル以上 |
サイズ | <画像> 最大30MB <動画> 4GB |
動画の長さ | 1秒~2分 |
メインテキスト | 半角125文字以内 ※これ以上も入力はできるが、表示が途切れる可能性がある |
Meta広告の仕様変更と併せて、入稿規定も頻繁にアップデートされているため、定期的に最新の情報をMeta公式サイトで確認することをお勧めします。
参照:Facebook広告ガイド(Meta)
まとめ
Instagramのカルーセル広告は、複数の画像や動画を活用することで、ストーリー性のある広告展開や複数商品の同時紹介ができ、単一画像広告よりも効果的なアプローチができます。
また、Instagram独自の最適化機能でカードの順番が自動で調整される、というメリットもあります。
カルーセル広告作成のポイントも参考にしながら、ブランドや商品の魅力を最大限に引き出せる広告を作成しましょう。