動画広告の効果を最大化するには? メリットや失敗しないPDCAのポイント4選|ウェブ部

動画広告の効果を最大化するには? メリットや失敗しないPDCAのポイント4選

ディスプレイ広告

動画広告の市場は年々拡大していて、企業のマーケティング活動において重要な役割を担っています。

しかし、成果を上げるためには、単に動画広告を作成するだけではなく、適切にクリエイティブのPDCAサイクルをまわして最適化していく必要があります。

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動画広告の効果を高めたいが、何から見直せばいいのかわからない
クリエイティブのPDCAがうまくまわせない…

動画広告の活用を検討しているマーケターの方や、すでに動画広告を活用している方で、上記のような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、動画広告の市場動向や、動画広告の効果・メリット、クリエイティブの効果を最大化するために押さえておきたいPDCAのポイントについて詳しく解説します。

また、動画広告の種類や特長、主な媒体などは下記の記事で解説しています。

動画広告の基本から押さえたい方はこちらをご確認ください。
関連記事:【2025年】動画広告とは?主な媒体や種類、運用のポイントを解説!

 

動画広告の市場動向

市場規模の推移

株式会社サイバーエージェントが調査したデータによると、動画広告の市場額は順調に右肩上がりで成長しており、2024年は7,249億円(昨年対比115.9%)に到達しました。

また、2025年に8,408億円、2028年には1兆1,471億円まで達すると予測されており、スマートフォン普及率の向上や通信環境の進化に伴い、動画広告の市場規模は今後もさらに拡大していくと考えられます。

動画広告市場推計・予測グラフ

引用:株式会社サイバーエージェント|サイバーエージェント、2024年国内動画広告の市場調査を実施

 

メディア×年代╱性別ごとの利用率

市場が伸びている動画広告において、メディアごとの利用者の傾向が気になった方もいるのではないでしょうか。

総務省が調査したデータによると、動画広告における主要なメディアのうち、LINE・Youtubeは年齢や性別を問わず、利用率が高いため、幅広いユーザにアプローチすることが可能です。特にLINEは、すべての年代において85%以上が利用しており、高い普及率を誇ります。

一方で、Instagram・TikTok・X(旧Twitter)は、10代・20代の利用率が高い傾向にあり、若い世代へのアプローチに強みがあります。

引用:総務省|令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書

動画広告に期待できる効果・メリット

動画広告に期待できるメリットは、主に3つです。

・静止画よりも伝えられる情報量が多い
・態度変容を促すことができる(アクションにつながりやすい)
・今まで広告に反応しなかったユーザに対してアプローチできる

それぞれ詳しく解説します。

 

1.静止画よりも伝えられる情報量が多い

動画広告は、視覚だけではなく聴覚からも豊富な情報を伝えることができるため、静止画の広告やテキスト広告よりも効率的に情報を伝えることができます。

人間の認知機能の約9割は、視覚と聴覚が占めているとも言われており、動画広告を利用することでその両方にアプローチできるため、情報がユーザに響きやすいでしょう。

 

2.購買に貢献しやすい、アクションにつながりやすい

動画広告と静止画広告の成果の違いを調査したデータによると、動画の方が静止画よりもコンバージョン率が高くなる傾向がわかりました。

視覚や聴覚を通じて伝えられる情報量が多いため、ユーザの理解度や購買意向を高め、コンバージョン率を引き上げることが期待できると考えられます。

静止画よりも動画の方がコンバージョン率が高い(金融業界)

静止画よりも動画の方がコンバージョン率が高い(ファッション業界)

引用:デジタル広告の新たなクリエイティブ指針(RC総研)

 

また、別の調査では、SNS広告経由で商品を購入した人のうち、55.9%が動画広告を経由し、画像広告を経由した人は20%未満という調査結果もあります。この調査からも、動画広告の方が画像広告よりも、ユーザに情報が効果的に伝わり、購買意欲を搔き立てていることが分かります。

引用:SNS広告の購買行動に関する調査(株式会社リンクアンドパートナーズ)

 

3.今まで広告に反応しなかったユーザにアプローチできる

動画広告と静止画広告を同条件で配信した調査データによると、クリックが重複しているユーザは全体のわずか3.7%でした。この結果から、動画広告と静止画広告では、反応するユーザが大きく異なることがわかります。

動画広告と静止画広告のクリックユーザの違い

引用:デジタル広告の新たなクリエイティブ指針(RC総研)

 

そのため、もし静止画広告しか配信していなかった場合は、動画広告もあわせて活用することで、これまで反応していなかった新規のユーザにアプローチすることができます。

しかし、静止画広告と動画広告のどちらかだけに注力して配信するのではなく、両フォーマットを活用することで、アプローチできるユーザを広げ、より網羅的にクリックやコンバージョンの獲得が見込めます。

配信結果を見ながら、それぞれのフォーマットでPDCAをまわして、効果を高めていきましょう。

 

動画広告の効果を最大化するために必要なこと

動画広告は、クリエイティブを制作して1発目で効果を最大化できるものではありません。

静止画のクリエイティブと同様に、継続的にPDCAをまわして「クリエイティブの最適化」を行い、そこからさらに「効果の最大化」を実現できるクリエイティブに育てていくことが重要です。

しかし、クリエイティブのPDCAをいざ進めようとすると、本来の目的を忘れてしまったり、目先の検証作業に気をとられてしまったりなど、当初の狙いから外れていくケースも少なくありません。

では、なぜ多くの広告主やマーケターが、動画広告のPDCAをまわすことに「失敗」してしまうのでしょうか。

 

動画広告のPDCAが失敗する理由

動画広告におけるPDCAが失敗してしまう理由は、事前設計が十分にできていないことに尽きます。

たとえば、よくあるケースとして、下記のような計画を立てたことはないでしょうか。

  • スケジュールを決める
    例:いつまでに結果を振り返って、いつまでに次のクリエイティブの内容を決めるかを計画する
  • 運用方針を決める
    例:同じターゲティングで、動画を〇本平行配信する

このように、スケジュールや運用方針を定める方は多いのですが、これだけだと事前設計が十分とは言えず、ほぼ100%失敗してしまいます。

では、「十分な事前設計」にするために、どのようなポイントを押さえておく必要があるのでしょうか?次の章にて4つのポイントを詳しく解説します。

 

効果を最大化するために、押さえたいPDCAのポイント4選

ポイント①検証する要素を明確にする

1つ目のポイントは、動画クリエイティブを要素分解して、どの要素を検証するのか明確にすることです。そして、その検証要素だけを変更した動画を複数本用意して配信します。

要素分解とは?

動画クリエイティブは、次の3つの要素から構成されています。

・訴求内容:動画の冒頭で視聴者に訴えかける事柄(主に冒頭5秒以内で展開される)
・コピー:ボディーコピーによるサービス内容や商品の解説
・デザイン:動画全体のトンマナ

動画クリエイティブの要素分解

注意すべき点は、この3つの要素を同時に検証するのではなく、優先順位を決めて、1つ1つ順番に検証することです。もし、1つの動画クリエイティブに複数の検証要素を盛り込んでしまうと、効果の良し悪しを判断する時に、どの要素が要因になったのかが曖昧になってしまいます。そのため、次の動画クリエイティブの制作において、何を活かせばいいのか分からず、PDCAが上手くまわらない一因となります。

1つの動画クリエイティブで検証する要素は1つまでに絞り、それぞれの要素に特化した効果検証を行うことで、分析・評価判断やネクストアクションの策定が格段にやりやすく、スピーディになります。

 

ポイント②適切な優先順位で検証する

2つ目のポイントは、優先順位を決めて要素を検証することです。

その際、どのように優先順位を決めるべきか悩む方も多いと思いますが、効果改善の期待値が高い要素から検証することをおすすめします。

具体的には、下記の順番です。

1.訴求内容 > 2.コピー > 3.デザイン

それぞれ解説します。

 

1.訴求内容

まず、検証の優先度が最も高い要素は、訴求内容です。

その理由は、動画は冒頭5秒以内(※)がパフォーマンスを大きく左右するからです。最初のわずかな時間で、ターゲットに「この動画で何を伝えたいか」を、的確に届けることが大切です。

LINEヤフー株式会社が調査したデータによると、動画広告を視聴したユーザで「3~5秒以内に興味を引く」と回答したユーザと「5秒以内に何の訴求か分からない」と回答したユーザでは、「ブランド認知」や「購入意向」などの態度変容に大きな効果差が生じる結果がでました。

興味喚起の有無による効果の平均比較

引用:Yahoo! JAPANが考える「動画広告」の4原則(LINEヤフー株式会社)

 

この結果から、冒頭の5秒でユーザの興味を引き付け、「何を訴求した広告か」が理解できる動画クリエイティブにすることが効果を左右することがわかります。

そのため、訴求内容を優先的に検証し、勝ち訴求をいち早く見つけることが重要です。

※縦長動画などスワイプすることが特長となる媒体では、0.5~1秒以内です。

 

2.(ボディ)コピー

「訴求内容」の検証によって勝ち訴求を見つけた後は、訴求に合わせて「コピー」部分の検証に入りましょう。

サービスや商品の魅力や詳細を伝える動画のボディ部分で、ユーザにどのような内容を伝えれば、より効果的なのかを検証します。

例えば、商品やサービスの実績を訴求したい場合、

・〇年連続No.1
・累計〇万人が利用
・累計〇万本以上の売上

など、いくつかのパターンが考えられます。訴求内容と同じように、複数のコピーパターンを制作し、どのようなメッセージであれば、最もユーザに響くのかを検証しましょう。

 

3.デザイン

最後に、デザインの検証を行います。

・かわいい系
・シンプル
・スタイリッシュ
・イラストメイン
・実写メイン

など、様々なデザインを配信し、ユーザがメッセージをより理解しやすいデザインはどれかを検証します。

これまで説明した「1.訴求内容→2.コピー→3.デザイン」を検証フローに落とすと、下記の図のようなイメージです。

検証フローの図

このように、要素1つ1つを順を追って検証し、様々なバリエーションを配信することで、クリエイティブの摩耗による効果の低下を防ぎながら、勝ちクリエイティブを組み立てることができます。

 

ポイント③目的に応じて評価指標を定め、正しい評価を行う

動画広告の効果検証を進めていると、

「CTRは高いがCVRが低い」
「CVRは高いがCPAが高い」
「CV数は少ないが、CPAは低い」

など、一部の指標が良いが、そのほかの指標は悪いため、クリエイティブの良し悪しを判断しにくいケースに出くわすことが多々あります。

検証ごとに異なる指標で効果を判断してしまうと、最適化の遠回りとなってしまいます。このPDCAではこの指標で効果判断を行うと、事前に決めることが重要です。

それでは、判断軸にする指標はどのように定めるべきでしょうか?

難しく考える必要はなく、「追いかけている効果」に直結する指標を判断軸にするだけでOKです。

そしてどの検証においても、その軸がぶれないように測定することが最も重要です。

例えば下記のようなイメージです。

・「CV最適化」:CV数を増やしたいため、CVRもしくはCV数で判断する。
・「CPA最適化」:CPAを改善させたいため、CPAもしくはCVR・CPCで判断する。
・「Click最適化」:Clickを増やしたいため、CTRもしくはClick数で判断する。

CV最適化で配信しているのにも関わらず、CTRやCPCなど直接的に関係しない指標まで判断軸に入れてしまうと、何が良かったのかが明確にならないので避けてください。

 

ポイント④仮説を立てて次回検証分のクリエイティブを制作する

効果が悪かったのであれば、どの要素がどういった理由で悪かったのか、効果が良かったのであれば、どの要素がどういった理由で良かったのか、それぞれ言語化しておくことが大切です。

言語化を怠ってしまうと、悪かった部分をどのように修正すればよいのか、良かった部分をどのようにアップデートすればよいのか、など次のアクションの策定ができなくなります。

また、効果が良かったからといって言語化を省いてしまうと、前回の検証においては効果が良かったけれど、次の検証では効果が悪くなってしまった場合、なぜそうなったのか?に対する考察が難しくなるので、各検証ごとに、忘れずに言語化することを徹底するとよいでしょう。

 

動画広告のPDCAのまわしかた

要素分解と優先順位でもお伝えしましたが、実際の検証フローは下記6ステップです。

この6ステップを順番に進めていくことで、勝ちクリエイティブが完成します。

STEP1:【検証】訴求(冒頭5秒以内)から検証を開始
STEP2:【分析】配信結果を分析し、勝ち訴求を確定
STEP3:【検証】コピー(動画ボディ部分)の検証を開始
STEP4:【分析】配信結果を分析し、勝ちコピーを確定
STEP5:【検証】デザイン(動画トンマナ)の検証を開始
STEP6:【検証】配信結果を分析し、勝ちデザインを確定

ただし、勝ちクリエイティブはいずれ摩耗してくるため、次の勝ちクリエイティブの発掘していく必要があります。

そのため、 1本の勝ちクリエイティブに依存するのではなく、新しく訴求を考え直し、再度上記6ステップを踏み、絶えず検証を進めることをおすすめします。

 

動画広告のPDCAにおける注意点

ただし、PDCAを回す間は、一時的なパフォーマンス低下が考えられます。2回目以降のPDCAは、検証クリエイティブと並行して前のテストで確定した勝ちクリエイティブを配信することで、一定のパフォーマンスを維持しながらテストを実施するとよいでしょう。

また、動画広告のPDCAにおけるよくある落とし穴として、「勝ちクリエイティブと検証クリエイティブのパフォーマンス比較にはあまり意味がない」という点にも注意が必要です。

検証クリエイティブは、あくまでこれから勝ちクリエイティブに育てていくものなので、よほど優れたクリエイティブでない限り、初っ端から勝ちクリエイティブよりも良いパフォーマンスを発揮することは難しいと考えられます。

そのため、勝ちクリエイティブと検証クリエイティブの効果差を比較するのではなく、勝ちクリエイティブは広告全体のパフォーマンス維持を目的に配信しながら、検証クリエイティブのPDCAをまわしていくとよいでしょう。

 

まとめ

動画広告は、豊富な情報量を伝えることができ、ユーザの理解度や購買意向を高める効果があります。

しかし、1発で広告効果の高い動画クリエイティブを制作することは難しく、静止画のようにPDCAをまわして勝ちクリエイティブに育てていくことが大切です。

そのためには、検証要素を明確にして、適切な優先順位で検証を進めていくとよいでしょう。また、CTRやCVR、CPAなど複数の指標を無暗に追ってしまうと良し悪しの判断が難しくなるため、追うべき指標を定めて、正しく評価を判断していくことも重要です。

動画広告を実施してみたものの、効果が上がらず悩んでいるマーケターの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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