目次
はじめに
この記事ではKARTEを利用したN1分析から、どのような示唆を得て、どのように施策を実施したのかを事例を交えながらご紹介します。
今回扱うのは求人サイトを例とした内容ですが、分析の進め方や考え方は業界を問わず通じるのものかと思いますので、ぜひご覧ください。
改めて「N1分析」とは
N1分析とは特定の顧客1人をピックアップし、分析をする手法のことです。
アクセス数やCV数(コンバージョン数)、CVRを見たり、ペルソナを設定をするのではなく、実在するユーザー1人を分析します。
インタビューを行う場合もありますが、今回の記事ではKARTEを利用したユーザー1人の行動分析を「N1分析」として取り上げます。
KARTEで行うN1分析の手法については、下記の記事に詳細を記載していますので、こちらも合わせてご覧ください。
分析と課題抽出
・流入キーワードと流入後の遷移率やCVRを確認
今回事例として取り上げるサイトは専門的な職種に特化した求人サイトです。
「サイト来訪後のCVRが低い」ことが課題としてあり、特に検索エンジンから自然来訪しているユーザーの応募率について、KARTEを導入して改善を図るねらいがありました。
そこで、自然検索で流入しているユーザーの入口となっているページがどこなのかを、まずはGA4で確認。どの入口にどの程度ユーザーが集まっており、さらにそこからのフォーム到達率や応募完了率(CVR)がどうなっているかを整理しました。
その結果、入口ページとしては下記のような傾向があることがわかりました。
次に、ユーザーがどのようなキーワードで流入しているかを確認。
トップページはサイト名や運営企業名で検索して来訪するユーザーがほとんどでした。
記事ページや求人ページに関しては、「モノづくり」「在宅ワーク」などのキーワードで来訪しており、サイトを決めて来訪したのではないことがわかります。
ここまで見えてくると、入口別に実施すべき施策は変える必要があるとイメージ出来てきます。
トップページ → CVRが良いのでここにユーザーを集める。さらにCVRを高められないかを考える。
求人詳細 → ユーザーボリュームがそれなりにあるが直帰率が高いので、直帰を回避してサイト利用をしてもらう方法を考える。
コンテンツ記事 → 多くのユーザーがいるものの、CV貢献がほぼできていない状態なので少しでも離脱を
・ユーザーの行動を分析して課題を発見
ここまでの情報を踏まえつつ、KARTEでN1分析を実施し、ユーザーを入口別に数人ピックアップし、実際の行動を見ていきます。
各入口ページ別に「ゴールに到達した人」「到達しなかった人」をそれぞれ見ていきます。
ユーザーリストや行動チェーンといった機能を使いつつ、ユーザーストーリー(1人1人の行動履歴)を確認していきます。
このあたりの詳しい方法については下記をご覧ください。
今回の事例で目立った特徴が見られたのは、トップページから流入しているユーザーでした。
トップページから流入して応募を完了しているユーザーは、想定よりもかなりスムーズに求人にたどり着き応募していることがわかりました。
さらに細かく見てみると、応募ユーザーのほとんどはトップページに存在している都道府県別に求人を絞り込めるリンクを踏んでいることがわかりました。その後自分の望む条件に絞り込んで、うまく求人にたどり着いています。
逆に、応募をしていないユーザーは、エリアでの絞り込みなどを行わないまま検索を行っており、一覧ページだけを何度も見て離脱していっている傾向がありました。
実際に一人ひとりを見ていくことで、具体的にどのような検索行動を行っているのかを把握することが出来ます。
N1分析を経て以下のような方向性が考えられるようになりました。
● 応募をしているユーザーは検索の仕方をある程度把握していて、自分の求人にスムーズにたどり着く。
● 応募をしていないユーザーは検索の絞り込みがうまく言っておらず、一覧ページの閲覧回数が多くなりがち。
⇒上記のような状況を改善するため、すべてのユーザーが応募ユーザーの行動に近づくよう、KARTEでユーザー行動を補助をするような接客を作成する。
実際に実施した施策
これまでの分析内容を踏まえて実施した施策は以下の2つ
1. トップページで「まずは都道府県で絞って検索をすること」の訴求
2. 都道府県で検索したユーザーに対して、検索頻度の高い「求人の特徴」で絞り込めるポップアップの表示
それぞれ具体的にどういった施策を作成したかは以下のとおりです。
1,トップページで「まずは都道府県で絞って検索をすること」の訴求
表示箇所:トップページ
表示形式:ポップアップ(メッセージのみの表示でリンクはなし)
表示イメージ
トップページで都道府県エリア表示時にメッセージを表示。検索の第一歩として都道府県で検索することを促しました。
2,都道府県で検索したユーザーに対して、検索頻度の高い「求人の特徴」で絞り込めるポップアップの表示
表示箇所:求人一覧ページ(都道府県で絞り込んだ状態)
表示形式:ポップアップ
表示イメージ
都道府県で絞り込んだ求人一覧ページ上に絞り込み条件を表示。
クリックをすると、現在の検索条件に加えて求人の特徴を絞り込んだ一覧が表示されるようになる。
ユーザーが自ら検索条件などを設定する手間を省くねらい。
施策実施の結果
特に求人の特徴で絞り込みを促す接客については、大きな反応が見られた。
1,トップページで「まずは都道府県で絞って検索をすること」の訴求
⇒未実施と比較して若干の応募率の向上が見られた。
2,都道府県で検索したユーザーに対して、検索頻度の高い「求人の特徴」で絞り込めるポップアップの表示
⇒クリック率が最大で月間10%超。未実施と比較して応募率が倍以上となる効果が見られた。
ある程度データが溜まった段階で、2の施策についてはさらに分析を行い、表示する特徴を変更してのテストや、表示形式を埋め込みにしてのテストを行い最適化を図りました。
実施した施策については効果の有無に限らず、繰り返し改善をしていくことが重要になります。
施策に反応した人を再度N1分析してみるのも、面白い傾向を探し出せたりするのでおすすめです。
まとめ
N1分析からヒントを見つけて実施した施策についてご紹介しました。
求人サイトの事例ではありますが、今回の事例は業界を問わず応用できるものかと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、今回はトップページ流入者への施策でしたが、記事コンテンツに流入した人の施策なども実施実績がありますので、改めて別の機会にご紹介できればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!