RTB Houseとは?特長やCriteoとの違い、導入方法などを解説|ウェブ部

RTB Houseとは?特長やCriteoとの違い、導入方法などを解説

アドテクノロジー

更新日:

(公開日:

  • Facebook
  • x
  • LINE

既存のリターゲティング広告では獲得できないユーザ層への訴求や、より精密なターゲティングによるROI向上を求める企業が増える中、注目を集めているのがRTB Houseです。

RTB Houseは、世界で初めてディープラーニング(深層学習)を100%活用した広告配信プラットフォームで、高精度なパーソナライズが特長です。

本記事では、RTB Houseの基本概念から特長、Criteoとの違い、導入方法、広告効果を最大化するためのポイントまで、RTB Houseについて網羅的に解説します。

RTB Houseでの配信に興味のある方や、詳しく知りたい方はぜひ、ご参考ください。

RTB houseとは?

RTB Houseは、2012年にポーランド・ワルシャワで創業された、ディープラーニング(深層学習)技術を活用したダイナミックリターゲティング広告配信サービス(DSP※)を提供する企業です。

世界で初めてディープラーニング(深層学習)に基づいた広告入札エンジンを独自開発した企業として知られていて、現在では世界30カ国、85カ所以上の拠点でサービスを提供しています。日本でも、2018年にRTB House Japan株式会社が設立されました。

RTB Houseは、従来のリターゲティング広告とは異なり、人工知能による高度な学習機能を駆使して、ユーザの行動パターンやコンバージョンの可能性を精密に予測します。

この技術により、一般的な広告配信では見逃されていたようなユーザに対しても効率的にアプローチが可能です。

※DSP:「Demand Side Platform(デマンド サイド プラットフォーム)」の略語で、インターネット広告における広告効果の最大化を目的としたサービスのこと。必要な設定を行えば、DSPが広告枠の買い付けから配信までを自動で行ってくれる。

▼関連記事

【5分で分かる】DSPとは?仕組みや代表的なツールを紹介

 

ディープラーニング(深層学習)とは

RTB Houseの強みであるディープラーニング(深層学習)とは、人間の脳神経細胞の仕組みを模倣した人工知能技術の1種です。

この技術の最大の特長は、人の手を借りずに機器やシステムがデータの中から特長やパターンを自動的に見つけ出し、学習できることにあります。

多層のニューラルネットワーク※を用いることで、従来の手法では捉えきれなかった複雑な情報の中から特長を見つけ出し、深く学習することが可能になります。

現在では自動運転技術、音声認識、画像解析など身近な技術に活用されており、医療分野ではがん細胞の発見において人間の医師を上回る精度を実現するケースも報告されています。

RTB Houseの広告配信においては、ユーザの閲覧履歴、滞在時間、購買行動、デバイス情報など200,000を超えるシグナルを同時に解析し、各ユーザに最適化された広告を動的に生成します。

※ニュートラルネットワーク:人間の脳の仕組みを模倣して作られた、情報処理のための数学モデル

 

マシンラーニング(機械学習)との違い

CriteoやGoogleで使用されているマシンラーニング(機械学習)は、ディープラーニングと同様にAI(人工知能)の分野に属しますが、学習の仕組みに根本的な違いがあります。

マシンラーニングでは、人間があらかじめデータの特徴を定義し、その特徴に基づいてシステムが学習を行います。

例えば、「このクリエイティブはCTRがいい」「このユーザはコンバージョンしやすい」など、人間が判断したデータの特徴を機械に学習させることで、配信の効率が上がります。

一方、ディープラーニングは、マシンラーニングの進化系という位置づけで、システムが自動的にデータから特徴を抽出し学習します。

人間による特徴の指定が不要で、より細かく複雑なパターンを発見できるため、マシンラーニングよりも高い精度での予測や判別が可能になります。

次の表に両者の違いを簡単にまとめているので、ご参考ください。

 

マシンラーニング
(機械学習)
ディープラーニング
(深層学習)
利用している広告プラットフォーム Google、Criteo、Metaなど RTB House
特徴の定義 データの特徴を人間が定義し、機械にインプットすることで学習する。結果から自動調整が可能。 機械自身が膨大なデータから、特徴を定義し、学習、調整全て自動で行う。
学習に必要な期間 ディープラーニングより短い 機械が1から判定するため、長くなる傾向
予測や判断の精度 高い マシンラーニングより高い

 

RTB Houseの特長

RTB Houseでの広告配信のメリットとなる、4つの特長を紹介します。

1.ディープラーニングによる高精度なパーソナライズ

RTB Houseの最大の強みは、ディープラーニングAIを100%使用した高精度なパーソナライズ機能です。

一般的なマシンラーニングでは、80程度のシグナルを処理するのに対し、RTB Houseのディープラーニングでは200,000以上のシグナルを同時に解析します。

そのため、ユーザの行動履歴、商品閲覧パターン、滞在時間、クリック行動など、あらゆるデータを統合的に学習し、ユーザの状態や行動を的確に予測したレコメンド配信が可能です。

RTB Houseによると、ディープラーニングによるレコメンドを使用した広告は、ディープラーニングを使用しなかったキャンペーンに比べ、最大41%の商品推奨効率を発揮しています。

世界的にも、100%ディープラーニングエンジンを採用している媒体はRTB Houseのみであるため、独自の強みと言えるでしょう。

 

2.プライバシー保護と広告効果を両立するターゲティング

ユーザのプライバシー保護の観点から3rd Party Cookieの廃止が進む中、RTB Houseはブラウザベースのプライバシー保護技術(例:GoogleのPrivacy Sandbox)との連携をいち早く進め、業界でも数少ないProtected Audience API(旧:FLEDGE)※の実運用実績を持つ企業です。

また、広告の配信先として、RTB HouseはSafariブラウザへの配信をほとんど行っていないため、ITP(Intelligent Tracking Prevention)による影響も最小限に抑えています。

RTB Houseは、Cookie規制が強化される中で、独自の技術によって効果的なターゲティングを維持し、プライバシー保護と広告効果の両立を実現しています。

※Protected Audience API(旧:FLEDGE):Googleが提唱するクッキーレス時代の広告ターゲティング技術の1つで、簡単に言うと、ユーザーの行動履歴(たとえばECサイトで見た商品)に基づいた広告配信を、ブラウザ内で完結させる技術(ユーザーのデータが外部に漏れない)

 

3.広告クリエイティブの自動最適化

RTB Houseは、バナーや動画などのクリエイティブにおいても、ディープラーニングによる自動最適化が活用されています。

人間の手では到底できない、数千パターンのテストと最適化が自動で行われることで、ユーザの関心に応じた配色や構成、訴求などをダイナミックに変更し、クリックやコンバージョンの最大化を図ることができます。

 

4.様々なユーザファネルに対応

RTB Houseは、購入(Conversion)ファネルへのリターゲティング配信が中心にありつつ、認知(Awareness)、興味・検討(Consideration)の段階にあるユーザへも対応したフルファネル配信が可能です。

従来のリターゲティング広告が主に既存訪問者をターゲットとしていたのに対し、RTB Houseでは、様々なデータから「顧客になる可能性の高い新しいユーザ」を見つけて配信できるため、新規獲得に向けた広告配信も可能です。

また、サイト来訪ユーザの情報を学習し、よりコンバージョンしやすいユーザを見つけて配信することもできるため、認知拡大・新規ユーザー獲得から購入促進、収益の最大化まで一貫して活用できる、という強みがあります。

 

RTB Houseの配信面

RTB Houseは、国内外の大規模な媒体ネットワークを通じ、国内のインターネットユーザ全体の92%以上にリーチできるほど様々な配信面があります。

Googleの広告ネットワークをはじめ、Yahoo!Japanやmsn、ameba、cookpadなど、主要なWeb・アプリに幅広く配信可能です。

▼主要な配信面の例

主な配信面

 

配信デバイスについては、パソコンやスマートフォンはもちろん、スマートテレビやゲーム機など多様なデバイスに対応しているため、ユーザがどのような環境でインターネットを利用していても効果的な広告配信が可能です。

RTB Houseの配信面は他の広告媒体と重複する部分もありますが、独自のディープラーニングアルゴリズムにより、同じ配信面であっても異なるユーザや商品、クリエイティブで訴求を行います

そのため、他媒体ではコンバージョンしないと判断されたユーザに対しても、RTB Houseでは高い成果を期待できる点が大きな特長です。

なお、RTB Houseはプライバシー保護の観点から、Safariブラウザへの配信は一部を除いて行っていません。

 

RTB Houseの費用・課金形式

RTB Houseでは、dCPC(Dynamic Cost per Click)型という、ユーザに広告がクリックされる時点で、入札価格がAIにより最適化される課金方式がとられています。

dCPC型は、配信量を確保しやすく、学習期間の短縮も期待できるというメリットがあります。
※成果保証型であるCPA/ROAS課金は、2023年4月以降廃止されています。

RTB Houseの最低出稿金額は月額50万円からとなっていて、月間30万UU以上のサイトが導入の目安となります。

詳しい配信条件は「RTB houseの配信条件」で解説します。

 

Criteoとの違い

ダイナミックリターゲティング広告の代表的なサービスであるCriteo(クリテオ)と、RTB Houseにはどのような違いがあるのでしょうか。
次の3つの観点から解説します。

・学習基盤
・ターゲティング
・リーチ範囲

 

学習基盤

Criteoがマシンラーニング(機械学習)を基盤としているのに対し、RTB Houseはマシンラーニングの進化系とされるディープラーニング(深層学習)を採用しています。

「マシンラーニング(機械学習)との違い」で解説したように、マシンラーニングでは人間があらかじめ定義した特徴に基づいて学習を行いますが、ディープラーニングでは機械が自動的にデータから特徴を抽出し、学習・調整を行うため、情報量がマシンラーニングより圧倒的に多く、より人間の意思決定を理解し将来の動きを予測することができます

しかし、その分ディープラーニングの方が学習期間を長く要する傾向があります。

 

ターゲティング

Criteoは、1度Webサイトや広告と接触したユーザに対して再アプローチをするリターゲティングが中心です。

商品の詳細ページを閲覧したが購入に至っていないユーザや、カートに入れたまま放置しているユーザに対して広告を表示することで行動を促すなど、基本的には短期コンバージョンに最適化しています。

一方、RTB Houseは、ディープラーニングを活用することでコンバージョンしたユーザと類似しているユーザを予測でき、潜在層にむけた配信も可能です。

認知から興味・検討、購入までフルファネルでサポートされている点がCriteoとの違いです。

 

リーチ範囲

CriteoとRTB Houseでは、配信アルゴリズムが異なります。そのため、リーチする範囲や配信タイミングもそれぞれで、コンバージョンの重複は少ないです。

他媒体の広告で接触がなく、RTB Houseのみを経由して発生したコンバージョンが43.75%だったという配信データもあり、CriteoとRTB Houseは、ユーザを奪い合う競合関係というよりも相互補完の関係にあることが分かります。

Criteoでコンバージョンしないと判断されたユーザでも、RTB Houseでは獲得できる、またはその逆もあるため、両媒体を併用することで全体のコンバージョンを最大化できるでしょう。

Criteo広告について詳しくは次の記事をご参考ください。

 

▼関連記事

Criteo広告とは? 仕組みや配信面など特長を徹底解説!

 

RTB Houseの配信条件

RTB Houseで広告を配信するには、配信の品質やAIの学習データ量を確保する目的から、次の条件を満たす必要があります。申し込む前に確認しておきましょう。

・サイトのユニークユーザ数が50万/月以上(ファッションECの場合:20万UU/月以上)
・NG業界でないこと
・最低出稿金額:Net50万円/月~
※注意※初動3ヵ月を経過した後、月50万円に満たない場合は「掲載停止 or 最低50万円請求が発生」となる
・Criteoでの広告配信を実施していること
・CPA:月間CV数 × 1% × 目標CPA = 50万以上
・ROAS:月間CV数 × 1% × 平均購入単価 ÷ ROAS目標 = 50万以上
※以上は掲載可否の目安であり、実際には個別の審査となります。

 

RTB Houseの配信方法(導入ステップ)

配信条件を満たしていることが確認できたら、次の4ステップで導入を進めましょう。

配信ステップ

 

  1. お申込み
  2. 配信準備
    タグの実装では、サイト訪問ユーザの商品閲覧・購入データを取得するために、RTB Houseの発行するタグコードをサイトのHTMLに埋め込みます。
    フィードとは、商品を表示するクリエイティブ生成のためのCSVファイルで、RTB Houseから提供されるフォーマットに従って商品情報を入力します。
    バナーについては、RTB House社がデモバナーを作成するため、内容を確認して問題無ければそのバナーで掲載します。修正したい部分があれば、その点を指摘し修正してもらうことが可能です。
    アカウント・キャンペーン設定も基本的にはRTB House側で行いますが、掲載開始日・終了日などの希望がある場合は、その旨をメールで連絡します。
  3. 配信開始設定
  4. 配信開始(KPIと照らし合わせて運用)
    最終確認・配信開始では、すべての設定内容を確認した後、RTB Houseに配信開始を依頼し、実際の広告配信がスタートします。
    配信開始後は、ディープラーニングによる学習期間として1-3ヶ月程度を見込んでおく必要があります。

 

RTB Houseの広告効果を高めるポイント

RTB Houseのディープラーニング技術を最大限に活用するために、次の3つのポイントを意識して運用しましょう。

AIが学習しやすい環境の整備

RTB Houseのディープラーニングエンジンが効率よく学習するためには、十分なデータ量の確保が不可欠です。

データフィードには、商品情報を可能な限り詳細に記載し、ユーザ行動データを取得できるようタグも実装しましょう。

また、商品カテゴリごとにキャンペーンを分割せず、1つのキャンペーンで運用することで、より多くの情報をもとにした学習を促進できます。

コンバージョンユーザのデータを蓄積するため、初期段階では積極的な予算投入も検討する必要があります。

 

AIの学習期間を他媒体より長めにとる

ディープラーニングは、従来のマシンラーニングと比較して複雑な分析を行うため、学習に必要な情報が多くなり、その分学習期間も長めにとる必要があります。

サイトの月間UU数やCV数によって異なりますが、最低でも1-3ヶ月の学習期間が必要です。

この期間中は理想的なCPA/ROAS目標よりも現実的な数値設定を行い、学習の促進を優先することが重要です。急激な目標変更や予算削減は学習を妨げてしまうため控えましょう。

 

ほかの媒体やDSPと併用する

RTB Houseは、他媒体との併用により真価を発揮するプラットフォームです。

特に、Criteoなどのマシンラーニングベースの媒体と組み合わせることで、それぞれが捉えられなかったユーザ層への訴求が可能になります。

配信面の重複を懸念する必要はなく、異なるアルゴリズムによってそれぞれ異なるユーザにアプローチするため、売上の食い合いではなく相加効果が期待できます

予算配分については、各媒体の効率を見ながら動的に調整し、全体最適を図ることが重要です。

 

まとめ

RTB Houseは、ディープラーニング技術を活用した次世代のダイナミック広告配信サービスです。

従来のマシンラーニングベースの広告配信とは一線を画す高精度なターゲティングや最適化機能により、他媒体では獲得できないユーザ層への効果的なアプローチを実現します。

導入にあたっては月間30万UU以上、最低出稿金額50万円などの条件がありますが、適切な準備と運用により高いROIを期待できます。

特に、CriteoやGoogle広告などの既存媒体との併用により、全体の広告効果を最大化できる点は多くの企業にとって魅力的な選択肢となるでしょう。

MEDIXではRTB HouseやCriteoの導入・運用支援も行っております。お気軽にご相談、お問い合わせください。

 

【監修者情報】
RTB House Japan株式会社
〒141-0031東京都品川区上大崎
2-15-19 MG目黒駅前ビル
https://www.rtbhouse.com/jp/

■お問い合わせ先
contact.jp@rtbhouse.com
RTB Houseは2012年にポーランドで創業された会社です。
CEPらがDeep Learning(深層学習)を元に広告配信のアルゴリズムを開発し、今に至ります。
2012年という年はDeep Learning元年とも呼ばれ、初めてDeep Learningの技術を使って猫の絵を判別できた年でもありました。RTB Houseは広告配信における各要所にそのDeep Learningの技術を使用しています。
現在では世界44か国にオフィスを構え、日本法人は2018年2月にオフィスを開設。
ラストクリックでも計測できることや、CPA/ROASを保証できることから、昨年の日本法人開設以降、多くの広告主様に導入いただき、現在では取り扱いアカウントは100を超えるまでになりました。

  • Facebook
  • x
  • LINE

WEBマーケティングの成果を上げたい方へ

ウェブ部の運営団体である「株式会社メディックス」は、WEBマーケティングに関するコンサルティング及び代理店サービスを提供しております。
メディックスは成果を上げるために、以下の点にこだわります。

  • 徹底的な顧客理解
  • ユーザー視点でのプランニング
  • マーケティングパートナーとしてのビジネススタンス

ウェブ部の内容に少しでも興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせください。


ご相談・お問い合わせはこちらから

関連記事

キーワードから記事を選ぶ