昨今、通信環境が改善されたことやプラットフォーム(NetflixやAmazonプライムなど)が増えたことが影響し、モバイルで動画を見る環境が整い始めたことで国内動画広告市場が大きく成長しています。
サイバーエージェント(オンラインビデオ総研)とデジタルインファクトの調査では、2022年には5,497億円、2025年には1兆465億円に達する見通しです。
また最近は、従来のCMをウェブに流す方法だけでなく、動画で売上げ貢献をするニーズや事例が徐々に出てきています。この記事では、動画が直接売上につながる販促広告として効果を発揮することができるのか?効果を出すためにはどのような施策が必要?解説します。
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目次
動画広告の特長~販促に使えるのか?~
本題に入る前に、動画広告は販促に使えるのか?を特長とともに説明します。
動画広告は、静止画広告に比べて多くの情報を提供することができるため、一般的にコンバージョン率が高くなりやすい傾向にあります。動画をきちんと見て商品を理解し、購買意欲の高まったユーザがクリックするため、購入率も高くなるのです。その一方で、「見て満足する」ユーザも多いため、クリック率は低く、クリック単価が高騰する傾向にあります。
※一般的に「クリック率」と「クリック単価(CPC)」は相関関係にあり、クリック率が向上するとクリック単価は下がる傾向にあります。
このような効果を見て、コンバージョン率は確かに高いけど、クリック単価が見合わないので販促に動画広告は向かないのでは?と実施を躊躇される方も多いのではないかと思います。しかし、見方を変えれば、コンバージョン率の上昇率に対して、クリック率の下落率を抑え、クリック単価の高騰を防げれば動画広告は販促としても十分使えるのではないでしょうか。
つまり、動画広告を販促広告として活用するには動画広告の「クリック率(CTR)」を高めることが重要となります。
動画広告のABテスト方法~効果につなげるには~
それでは、実際どのようにして動画広告のクリック率をあげるのでしょうか。動画広告も静止画(バナー)広告と基本は同じです。
ABテストを繰り返す形で、効果の良い(クリック率の高い)クリエイティブを創出していくことです。長期的に効果を安定させるために、複数創出することができれば最善です。
弊社のお客様の実績でも、ABテストを3カ月繰り返し行った結果、クリック率、クリック単価ともに改善され、結果的にコンバージョン単価の低下につながった結果が出ています。
ただし、静止画(バナー)広告と比べ、動画広告は制作に時間がかかるので、ABテストを実施する前にきっちりと準備・設計をしておく必要があります。
その設計において気をつける点を3つ紹介します。
【ABテスト前の準備・設計1】事前に新規動画を複数制作しておく
効果のよいクリエイティブを見つけるにはABテストを繰り返し行うことが必要になります。あらかじめ動画を複数(理想は1カ月分)制作して、テストをスムーズに行えるようにしておきましょう。
まずは、対象サービスの訴求したい点を洗い出します。
(例)
・商材の特長の内容
・LPに即した内容
・CMに連動した内容
・キャンペーン内容
・既存の静止画バナーの内容
そして、訴求点を洗い出したうえで、それぞれの動画制作を進めていきましょう。
【ABテスト前の準備・設計2】実際に効果の出た動画広告は、次にどこを変えてみるか、ABテストする項目を決めておく
ABテストでは、テスト結果の勝った方のクリエイティブに、さらなる効果を求めてコピーや画像を変えてみて再度テストを実施。それを繰り返していくことで、より効果の高いクリエイティブを探していきます。このやり方は静止画(バナー)広告と同じです。
しかし、テスト項目が画像とコピーのみである静止画(バナー)広告と比較すると、動画広告の場合は、テスト項目の選択肢が多いのです。
例えば、比較的効果が出やすいテスト項目だけでも
- 冒頭部分のコピー
- BGM
- 画像素材
- 冒頭数秒の流れ
- オファー内容
などがあります。
ABテストの結果、どの部分を変えて動画を作り直すのか、事前にテスト項目をきちんと決めておきましょう。それを決めておくことで、制作もスピーディーに進めることができます。
【ABテスト前の準備・設計3】事前に動画広告のABテスト内容をロードマップ化する
あらかじめ複数動画を制作し、テストする項目も決めたら、テスト内容をロードマップ化しましょう。一例を紹介します。
※対象企業:教育系
※対象メニュー:YDN動画
※テスト期間:1月~3月(繁忙期シーズン)
※テスト周期:1週間ごと
※同時テスト本数:2本
※KPI:クリック率
※方式:勝ち残り方式
<手順>
- テスト実施前に7本の動画を作成
- 1週ごとに7本の内2本の動画を実際に配信し、ABテストで効果を比較
- クリック率の高い動画を「勝ち動画」として残し、負けた動画を新規の動画と入れ替える。これを5週間繰り返す。
- ③と並行して、「勝ち動画」の派生パターンを制作。
- ④で作成した派生パターンの動画と、現状の「勝ち動画」とABテストで効果を比較
- 3月2週目までのABテストで勝ち残った動画のいくつかを掲載。
このように、行き当たりばったりではなく、様々な準備をしておくことで、動画の制作に時間がかかるという懸念が減ります。その結果、ABテストをスムーズに行えるので、効果のよいクリエイティブを探し出すことも無理なくできるでしょう。
販促向き動画広告のセオリー・成功パターン
ここまで、失敗しない動画広告のABテスト方法について説明しました。
しかし、実際にABテストを繰り返し行うのは時間も労力もかかります。
そこで、最後の章では、すぐにでも実践できる動画広告のセオリー・成功パターンについていくつか紹介します。
【動画サイズ】優先すべきは正方形
動画のサイズは、大きく3パターンあります。
- フルスクリーン
- 正方形
- 長方形
この3つのうちフルスクリーンは、配信面が少ない(Instagramストーリーズ 等)ので、最初に作るとするなら正方形か長方形がよいでしょう。どちらが効果がよいかと比較すると正方形がクリック率、コンバージョン率ともに高く出やすいです。
一般的に視認性が長方形より正方形が高く、ユーザの目に情報が入ってきやすいため、このような傾向が見られます。なので、長方形より正方形を優先して動画を制作するとよいでしょう。
効果につながりやすい動画パターン例
LP内容を動画化する
すでにプロモーションに活用しているランディングページ(以下LP)をベースにして動画を作成するやり方です。LPの内容に即しているので、動画からLPに遷移しても情報のかい離が少ないためコンバージョンにつながりやすいです。
※弊社ではLPの情報だけをいただければそれを動画化してお戻しするサービスもございますので、作成も非常に手軽です。
レコメンド風動画
ユーザに1つのバナー内で複数の選択肢を提示するダイナミック広告は、クリック率が非常に高いのですが、それを動画で擬似的に表現することでクリック率を高めることができます。案件など素材があれば、時間もそれほどかからず制作可能です。
アニメ動画
実際のフィード面やニュース面は実写動画が多く、そんな中でアニメが出てくるとユーザの目が向きやすく、注意喚起できるためクリック率が高まる傾向があります。また、表現の幅が広がる点もメリットです。イラスト(アニメ)については一から書き起こさなくても、ありものの素材などでも作ることができます。
まとめ
販促向けのオリジナル動画の制作はハードルが高く、効果が出るのか不安な方も多いかと思います。ただ、弊社実績ではテストしたほとんどの業界で静止画広告よりも高いコンバージョン率を出せています。いかにクリック率をあげていくかは工夫次第ですが、まずはこちらの記事で取り上げた方法を試してみてはいかがでしょうか?
これから動画広告の市場は伸びると言われており、動画広告はより一般的になっていき、対策は必要になるでしょう。その前に手を打って、ABテストを通して、オリジナルの勝ちパターンを見つけていきましょう。