現在のデジタルマーケティング業界において、数値を分析し上司や顧客へ説明する必要のない人はいないでしょう。
さらに、アクセス解析ツールや広告効果測定ツール、データ分析ツールの進歩によって、高度な分析が可能になり、様々な分析が行えるようになってきました。
今日では、様々な分析手法が用いられ、デジタルマーケティングの意思決定が行われています。
このような状況を背景に、多くの組織が高度な統計的分析をはじめとした分析手法に興味を示し、数多くの研修などが行われています。
しかし、分析手法と同等以上に大切なものがあります。それは、分析結果を伝える方法です。
この記事では、分析結果を伝える方法としてデータをどのようにビジュアライズすればよいかについて説明します。
目次
分析よりも大切なこと=データ可視化(データビジュアライズ)
どれだけ高度な分析を行ったとしても、それを上司や同僚、あるいはクライアントに理解してもらえなければ意味はありません。
分析結果を相手にわかるように伝え、相手を動かして初めて、ビジネスでは分析が意味を持ちます。
このように分析結果を資料に落とし込み、相手に伝えて動かすことをドキュメントコミュニケーションと呼びます。
今回はこのドキュメントコミュニケーションにおいて重要となる、データのわかりやすい可視化(データビジュアライズ)について、基本的な考え方といくつかの実例を紹介します。
なお、データビジュアライズの大前提として、ドキュメントコミュニケーションの基本中の基本を理解している必要があります。
それは、その資料(ドキュメント)で何を伝えたいかです。
資料の中のあらゆるデータは、そのメッセージを伝えるために存在します。
この「伝えたいこと」が明確になっていないと、どれだけ高度な分析を行い、どれだけ資料を綺麗に作っても、分かりやすいものにはなりません。
データ可視化(データビジュアライズ)の基本的な考え方
PowerPointの資料やWordの文章など様々な資料の中でデータを表やグラフの形で使用しますが、データ可視化(データビジュアライズ)の基本がまだまだ広まっていないせいか、見にくい(見難い)資料が大量に存在します。
こうした資料は、内容を理解するのに時間がかかるという意味で読み手の負担をかけますし、同時にせっかく分析を行い資料作成に時間をかけたのに組織の意思決定に活かされないなど、組織の生産性に大きな負担をかけています。
それでは、まずはデータ可視化(データビジュアライズ)の基本的な考え方を紹介したいと思います。
それは、「大切な部分がすぐわかるようにする」ということです。
当たり前のことに聞こえますが、このあたり前のことがきっちり実践できていないと、どんなに内容が優れていても見にくい資料となってしまいます。
ただ、いくつかのテクニックを用いることで容易にわかりやすい資料を作成することが可能になります。
また、ここで紹介するテクニックは、人間の認知の仕組みを応用して理解しやすくするもので、この多くはデータ可視化(データビジュアライズ)のみにとどまらず、資料作成全般に応用がきくものです。
今回は、基本的な2つのテクニックを紹介します。
- テクニック1 必要なものに絞る(=不要なものを削る)
- テクニック2 重要でないものを目立たせない
データ分析やデータ可視化(データビジュアライズ)のためのツールは様々ありますが、まずは誰もが使っているExcelでのテクニックの実践例を紹介します。
実践! Excel表でデータ可視化(データビジュアライズ)を実現した改善事例
では、下記の表を見て、どのように修正すれば見やすくわかりやすい表になるか考えてみましょう。
こ
こ
は
考
え
る
時
間
で
す。
先ほど紹介した2つのテクニックを適用すると、次のようになります。
まず、「テクニック1 必要なものに絞る(=不要なものを削る)」について考えてみると、下の点で改善の余地がありそうです。
- 「新規セッション率」などでは小数点第2位まで必要か?
→小数点第1位で充分 - 不要な罫線を削ることはできないか?
→余白を適切に取ることで縦の罫線は省略可能(余白が見えない線として機能する) - 不要な指標はないか?
→「新規ユーザ」と「平均セッション時間」はほかの指標で代用可能で不要
さらに、「テクニック2 重要でないものを目立たせない」については、下のような修正ができそうです。
- 見出し強調は必要か?
→背景色は不要。また、見出しよりもデータのほうが重要なので、文字サイズをデータよりも小さくし、指標名も読み手の理解できるシンプルなものに変更 - 罫線はできるだけ目立たせないほうがいいのではないか?
→削らずに残した罫線についても、データの区切り線は薄いグレイにして目立たなくする
いかがでしょうか。
上記の改善案の表をベースに、必要な部分を枠線で囲ったり、データの違いをわかりやすくするために条件付き書式でデータバーを追加してもいいかもしれません。
ただし、必要な部分がすぐにわかるように色の無駄使いをしないことが重要です。
データ可視化(データビジュアライズ)のためのExcel特選ショートカット5選
今回紹介した表現のテクニックを実践しようとすると、慣れないうちは作成に時間がかかってしまうかもしれません。
そこで意識して欲しいのは、Excelを操作する際はなるべくキーボードから手を離さないことです。
つまり、マウスをできるかぎり使わずに、Excelを操作するということです。
Excelのほとんどの操作は、キーボードのみで可能です。
最後に、筆者が新入社員研修で教えている、Excelショートカットを5つ紹介します。
それぞれのショートカットの動作についての説明は、ここでは行いません。
実際にExcelを開いて試してみてください。
それぞれよく使う動作を素早く行うことのできるショートカットです。ぜひ、活用してみてください。
- CTRL + 1
- SHIFT + スペース
- CTRL + スペース
- ALT → H → V
- ALT + SHIFT + =