昨今流行りのキーワード「UX」や「UX評価手法」について、UXとは何なのか?どんなUX評価手法があるのか?そして「定量分析」と絡めると何がよいのか?評価するタイミングはいつなのか?
実施フローなどを色々お話したいと思います。
目次
UX評価と定量分析、併用をおススメする理由
普段から皆さんの身近な存在であろう、Googleアナリティクスで行っているような定量分析と、ユーザ体験=UX(ユーザエクスペリエンス)を鑑みた評価(UX評価)、
実は併用することで、サイトの改善点が見つけやすくなります。
例えば、サイトリニューアル後、定常的に数値をみている「モニタリングレポート」でTOPページの直帰率について悪化傾向がみられたとします。モニタリングレポートは基本的にサイトの健康診断をするものですので、「直帰率が悪化した」事実しかわかりません。
そこで、どうして悪化したのかを考えていきます。(仮説をたててみる)
・リニューアル後、TOPページがターゲットユーザにとって、期待値よりも低いページになったのか。
・広告流入が増加して、全体的に直帰率が低くなったのか・・・などになります。
では、定量分析データから広告流入からの流入数や直帰率には変化がなかったとします。
「TOPページに何かが起こっている」として、定量分析では見えない課題部分を、UX評価で具現化する検証が必要ですよね。
つまり手順として
1.定量分析では数値データをみて「重点的にみるべきポイント」や「サイトの現状の課題点」を
みつけ、仮説を立てます。
2.その定量分析から導いた仮説を、UX評価を用いて検証します
(効率的に、具体的に仮説検証ができる)。
3.そこから改善施策を導き出して実施します。
4.改善施策実施後の検証をします。
このように、定量分析にUX評価を絡ませていくことでPDCAサイクルをまわせるきっかけが自然に発生します。
コストや手間から考えてもすぐにできるものがありますので、この機会に貴社サイトにあったUX評価手法を考えてみてはいかがでしょうか。
UXとは?
UXとは「User Experience(ユーザエクスペリエンス)」の略語、日本語に訳せば「ユーザ体験」です。
「こんなの言われたとしてもピンとこないよ!」という方には。例えば、
・メーカーであれば・・・・・
自社製品を使った時の「この掃除機、軽いけどよく吸うし部屋の空気も汚れないね。」
・ホテル事業者であれば・・・・・
「レストランを利用したら、接客も丁寧で料理もとても美味しかった。」
というような、顧客が企業の商品やサービスを利用した時の体験(経験)、満足度、感想などのことを言います。
では、「WebサイトのUXを評価する」とはどういうことでしょうか。
私たちは、「体験」を”ユーザ”または”潜在顧客”に提供しています。
Webサイトで言えば、リスティング広告から貴社のLP(ランディングページ)を訪れ、そこから離脱する、もしくはサイト内を回遊してコンバージョンする。
その間に・・・
・Webサイトに来訪したユーザに「体験してほしいコンテンツ」は、閲覧されたのでしょうか。
・届けたいメッセージやコンセプトは届いたのでしょうか。
つまり、UX評価とは、「ユーザ側の視点や感覚でサイトを検証する」ことと言えます。
自社内で、または外部サービスを使ってUXを評価検証することは非常に重要で価値があります。
活用できる3つのUX評価手法
UXの評価手法はたくさんありますが、まずは皆さんが活用できる
おススメの3つの評価手法と簡単な実施フローをご紹介します。
(日本国内には優秀なツールベンダーやサービス事業者がたくさん存在します。
最初は自力でやるより、パートナー企業の力をお借りして実施するのがよいと思います。)
☆ユーザテスト(ユーザビリティテスト)
一言でいうと、公募したユーザに評価したい対象を実際に使ってもらい、意見をもらう方法です。
定量データから導いた仮説検証や、Webサイトのコンセプト検証、Webサイトバグ検証まで幅広く活用できる手法です。
最近はオンラインでデスクトップ、スマートフォンなどのデバイスに関係なく実施してくれるサービスがあり、簡単に利用できるようになりました。使い方を分けるとすれば下の2つに分けられます。
・コンセプト検証…Webサイトのコンセプトやシナリオを確認する
・UI検証…コンテンツやページ遷移、レイアウト・デザイン等の使い勝手を検証する
☆A/Bテスト
一言でいうと、複数種類用意したWEBサイト案の中から、より効果的なものを選ぶ方法です。
皆さんご存知であろうA/Bテスト。自社でとても簡単にできるUXの評価手法だと思います。
異なるデザインやレイアウトのWebサイトを複数種類用意して、利用状況を比較するテストです。
実際にユーザにデザインやレイアウトの異なるWEBサイトを見てもらい、どちらのページがより好まれているかを調べるものです。
最近流行りのグロースハッカーがよく使う手法とも言われています。身近なところでは、皆さんのサイトに設定しているであろうGoogleアナリティクスにもWebテスト機能がありますので、タグをカスタマイズすることで実施することができます。
また、他のツールを使う場合でも、フリープランや低コストで実施できるものもありますので、まずは小さい規模でお試ししてみてはいかがでしょうか?
※導入時は、複数のツールを利用し各ツールの整合性を確認する、まったく同条件のコンテンツを使った「A/Aテスト」をするなど、各ツールの特長をとらえた上で実際に導入することをおススメします。
☆グループインタビュー
一言でいうと、ユーザにテーマに沿ったディスカッションを自由にしてもらい、意見をもらう方法です。
調査したい条件にあった対象者を会場に集めて少人数のグループを作ります。司会者の進行で様々な話題をふって、対象者同士で自由に意見交換してもらう調査手法です。
この手法は対象者の生の声からアイディアのヒントをもらえることがあり、リアリティのある調査となります。
その上、Webサイトを立ち上げる前のコンセプト検証など、モノがなくても意見交換ができることに大きなメリットがあると思います。
ただし、調査設計はしっかりしないと(質問項目、質問の順番など)コストや時間がかかるので注意が必要です。
UXを評価する4つのタイミング
私は下の4つのタイミングでUXの評価をすることをおススメしています。
1.Webサイトを新規で立ち上げる時。
2.Webサイトをリニューアルする時。
3.問題が発生した時。(KPI指標が著しく低下するなど)
4.定期的にモニタリングする時。(健康診断)
また、各フェーズによって適切な評価の手法が異なります。
ざっくりPDCAの枠に当てはめて考えてみると、下の画像2のようなタイミングで各評価手法を使えば効果的だと思われます。
まとめ
「UX」とその活用手法について、ご理解いただけるよう少しはお手伝いできたでしょうか。
今回紹介した3つの手法以外にも、個人やツール導入でUXを評価できる手法はたくさんあります。
- ユーザの行動を旅行のプロセスに見立てて可視化した「カスタマージャーニーマップ」
- サイトコンテンツを各コンセプトに当てはめて図説した「コンセプトダイアグラム」、
- ユーザのリンクをクリックや滞在時の閲覧状況が可視化できる「ヒートマップツール」
いつも実施されている定量分析に、できるところからUXの評価を簡単に始めてみてはいかがでしょう。