CASE導入事例

西武ライオンズが挑むデータドリブンマーケティング 顧客理解によるファン拡大戦略

データ解析 Googleアナリティクス BI・データ統合
株式会社西武ライオンズ

株式会社西武ライオンズ

株式会社西武ライオンズ

課題

  • おおまかなユーザー傾向しか把握できていなかった
  • 顧客との適切なコミュニケーション設計ができていなかった
  • ファンとの接点強化のためのアプリ活用を強化したい

効果

  • 顧客の解像度を向上させるデータ取得の基盤を整えた
  • 部門横断のスピーディな意思決定ができるダッシュボードを構築
  • コミュニケーションを強化するアプリとCRM活用プロジェクトの始動

株式会社西武ライオンズについて


株式会社西武ライオンズは、「共に強く。共に熱く。」をスローガンに、埼玉県所沢市に本拠地を置くプロ野球球団「埼玉西武ライオンズ」の運営とベルーナドームの管理・運営を主軸に、地域密着の経営を重視しています。近年では、デジタル技術の進化に対応し、データドリブンなマーケティング戦略を積極的に推進し、顧客理解を深め、よりパーソナライズされたファン体験の創造に取り組んでいます。

お話を伺った方

株式会社西武ライオンズ
事業部
アシスタントマネージャー
事業企画グループ
村田 真奈美

長年、地域に根ざし、多くのファンに愛されてきた埼玉西武ライオンズでは、デジタルマーケティングの重要性が高まる中、データ活用を本格化させています。本記事では、データに基づいた意思決定、部門を超えた連携、そしてファンとのより深い繋がりを目指す同社の取り組みについて、事業企画グループの村田様にお話を伺いました。

ファンとのより深いつながりを図るためデータドリブンな組織が発足

― 部門のミッションと業務内容について教えてください。

取り組み当時、私はコンシューマー部門であるプロモーショングループに所属し、広告やキュレーションメディアの出稿など、デジタルプロモーション活動全体を担当していました。私のミッションは、デジタルプロモーション領域において効果的な販売促進活動を行い、売上を拡大することでした。

一方で、こうしたプロモーションに限らず、より広範に全社のデータを活用した議論が必要とされていました。そこで、社内から選抜されたメンバーが集まり、タスクフォース的に活動するチームが立ち上がりました。私もそのチームに所属し、「イベントごとのチケット購入者属性」や「ファンクラブ会員の方の特徴」、「一回の平均購入金額」などのデータを確認しながら、新たな戦略の検討といった活動に携わっていました。

プロモーショングループとタスクフォースで扱うデータはそれぞれ異なる観点を持っていましたが、双方を合わせて検証することで、多面的にプロモーションの現状を捉え、効果的な施策を講じることができていたと思います。(村田氏)

― デジタルマーケティングの重要性が増し、現状は専門部署になったのですね。

タスクフォースでの取り組みを踏まえ、より本格的にデータドリブンなマーケティング戦略を展開していくべきだという認識が部内で高まりました。その結果、現在私が所属する事業企画グループの役割に、正式に「マーケティング戦略」が追加され、これまでタスクフォースで対応していた領域を事業企画グループが主体的に推進する体制へ移行しています。これにより、データドリブンなアプローチを核とした専門性の高いマーケティング活動が実施できるようになりました。(村田氏)

多部門の視点をそろえるためにデータ活用が必須だった

― データ活用にあたり、当時はどのような課題があったのでしょうか。

コンシューマー部門の中には多くのグループがあり、EC部門のほか、イベント企画を担うエンターテインメント部門、試合運営を担当するゲームオペレーション部門、チケット運営部門、ファンクラブ運営部門、プロモーショングループ(現在は広報部門に異動)など、多岐にわたります。そうなると、やはり観点をすり合わせるだけでも労力がかかることがしばしばあります。

よくあるケースとして、経験則や個人的な課題認識を中心に話を進めるうちに、同じ論点について話しているつもりでも実際は観点が異なり、議論が平行線をたどってしまうシーンです。そのような場合、データという客観的でわかりやすい根拠があれば、話す視点をそろえつつ建設的な議論を進められるのではないかと考えていました。

また、現場では、チームの試合状況が感情に大きく影響することが特徴です。「チームの勝率が来場者数に影響を与えているのではないか?」など、現場の肌感覚が重視されるケースもあります。
一般的な消費財とは違うビジネスだからこその面白さがある反面、意思決定の場面で意見がバラバラのまま施策に進んでしまうこともあります。そういうときこそ、客観的なデータを活用することで、より納得感のある方針を打ち出せるのではないかと期待していました。(村田氏)

GA4モニタリングダッシュボードで事業の意思決定を加速

― web上のユーザー行動を可視化するダッシュボードによって、どのような変化がありましたか。

これまで3カ月ごとに報告レポートをまとめても、施策検討時には状況が変化しており、せっかくまとめたデータが使えないという課題もありましたが、2、3日以内にサイト上のデータが反映されるダッシュボードを構築いただいたことで、意思決定や施策実行のスピードも向上しました。

日々データを活用しながら意思決定している企業もあると思いますが、現状の弊社ではデータを活用している領域はまだ部分的です。将来的には、この取り組みを通じて、社員が当たり前のようにデータを活用できる環境を整えたいと考えています。(村田氏)

メディックスの決め手は「踏み込んだ提案力」と「対応姿勢」

― お取引のきっかけはGA4でした。数ある企業の中からメディックスを選んでいただいた理由をお聞かせください。

もともとGA4の導入設計だけでなく、マーケティングデータを「すぐに見て判断できる」基盤づくりを重視していました。マーケティング施策を進めるうえで、都度自分で複雑なレポートを作成する手間を避けたかったのです。さらに、関係者間のデータ認識を統一したいという課題もあったため、ゆくゆくは他のメンバーも使えるような拡張性を求めていました。

他にも数社にお話を伺っていましたが、「こういう目的がある」という弊社からの漠然とした要望に対して、貴社からは環境構築や拡張性も備えた適切なプランが提案されたこと、そのスピード感と的確さが決め手になりました。(村田氏)

― メディックスの評価ポイントはどのような点でしょうか。

一つ目は、一歩踏み込んだ提案や実行を行ってくれる点です。
他社では「対応が難しい」と判断されるような相談に対しても、メディックスはそこで終わらせず、相談の目的を掘り下げ、実現のために考慮すべき点や必要な調査、追うべき数値や項目を明確に設計し、分かりやすく可視化してくれます。専門的な知見がなく、こちらが要件を詰めきれないときにも、メディックスが不足分を補いながら進めてくれるので、「こちらが考えていた範囲以上のことを、より深く検討して提案してくれる」という安心感があります。

二つ目は、レスポンスがとにかく速いことです。
単に回答が迅速なだけでなく、同じスピード感で実行面でもサポートしてくれています。必要に応じて、別部門や協力会社とも直接やり取りをしたり、ミーティングではファシリテーションまで担ってくださる。その丁寧かつ柔軟な対応力は、他社ではなかなか見られないと感じています。(村田氏)

CRM強化とアプリデータ活用で顧客体験を向上

― 新たに取り組まれているデータ活用プロジェクトについて教えてください。

一つ目は、現在進行中のAmplitudeの導入によるアプリデータ活用プロジェクトです。
埼玉西武ライオンズ公式アプリは、ユーザーの来場促進ツールとして、最新ニュース、試合情報、選手データなどの情報に加え、チケット・グッズ購入、球場マップなど来場を促進する多彩な機能を搭載しています。
しかし現状はアプリ内のクリック数くらいしか取得できず、アプリの有効性を十分に判断できていません。そのため、まずは必要なデータを取得すると同時に、関係者間でデータを共有できるよう、データの可視化を進めていきたいと考えています。
ただ、私たち事業企画グループのミッションは、来場数の最大化や売上拡大にあります。そのため、単にアプリデータを整備するだけでなく、購買や来場など具体的なユーザ行動に結びつける取り組みも強化する必要があります。

その具体的な取り組みとして、二つ目のプロジェクトがCRM強化になります。
これまでは、お客さまの傾向を年代や来場回数、ファンクラブ会員さまか否かのような大雑把な指標で捉えていました。しかし、今後はお客さまのニーズや行動に合わせた分析を行っていく予定です。例えば、オンライン・オフラインの行動、利用している媒体、興味のある情報などをもとにファンの方とコミュニケーションを想定しています。

さらに、アプリデータを含めたCRMデータの活用によって、顧客セグメンテーションの分析から施策実行までのプロセスを改善できると期待しています。

結果的にアプリプロジェクトを含めたCRMデータの活用についても、これまでのやりとりを通して信頼していたことと、提案内容も納得のいくものだったことから、メディックスにお任せすることに決めました。

これらの構想は、メディックスに伴走していただくことで具体化されていく面が大きいと感じています。こちらから「こういうことをやりたい」という目的だけをお伝えすると、すぐに「ではこの方法でいきましょう」と具体的な提案が返ってきて、当時から変わらずスピード感を持って対応していただけている点は本当に頼もしいです。(村田氏)

地域とファンに愛される球団づくりへ

― 最後に、企業としての今後の展望をお聞かせください。

地域の皆様にも愛される球団になりたいという強い思いを持っています。これまで応援していただいたファンの方に引き続き選ばれ続けるだけでなく、野球にあまり関心がなかった方にも「ライオンズの試合に行ってみよう」と思ってもらえるような魅力づくりを大切にしています。

そのためには、データを活用し、ファンの皆さまとより良い関係を築くことが不可欠だと考えています。その実現手段としてデータ分析やCRMの取り組みをさらに推進しながら、ファンの皆様に喜んでいただける体験を生み出していきたいと思っています。(村田氏)

 

 

データドリブンな視点を軸に、部門を横断した連携や、アプリ・CRMの活用を進める西武ライオンズは、今後さらに地域に愛される球団を目指しデータ活用を推進しています。メディックスは今後もデータ戦略パートナーとして、その挑戦を力強く支援してまいります。

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