CASE導入事例

GA4が支えるデータ活用マーケティングとMIMARUの成長戦略とは

Googleアナリティクス データ分析 データ解析
株式会社コスモスホテルマネジメント

株式会社コスモスホテルマネジメント

株式会社コスモスホテルマネジメント

目的

  • 自社サイトでの宿泊予約数の最大化
  • データに基づいたマーケティング戦略の立案

課題

  • 利益率の高い自社サイト経由の宿泊予約を増大させる必要があった
  • サイトの課題に対する仮説を裏付ける分析ができていなかった
  • データが分散しており、顧客とのコミュニケーションが分断されていた

効果

  • 施策の効果確認がスムーズになるなど、マーケティング活動の促進につながった
  • レポートの自動化や、GA4スキルアップ支援によるマーケティング課の業務負荷削減
  • GA4データ分析により、サイトの課題を客観的に把握することができた

ホテルブランド「MIMARU」について



「MIMARU」は、大和ハウスグループのコスモスイニシアの子会社であるコスモスホテルマネジメントによって運営されるホテルブランドです。世界中のゲストが家族や仲間と一緒に泊まるという理念から生まれた、中長期の滞在に最適な都市型アパートメントホテルとして2019年に誕生し、2024年現在東京、京都、大阪に27施設を営業しています。
世界最大級の旅行プラットフォーム「トリップアドバイザー」が発表する「トラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベスト ホテル」を2019年から5年連続で受賞※するなど、顧客からの高い評価を誇っています。


※『MIMARU東京 上野NORTH』「2023 トラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベスト」 ホテル 旅館(B&B、イン)部門 日本9位に選出
MIMARUサイトはこちら

お話を伺った方

株式会社コスモスホテルマネジメント
マーケティング部
デジタルマーケティング課
竹村 雅弘

株式会社コスモスホテルマネジメント
マーケティング部
デジタルマーケティング課
キャウィット マージョリ

目的は 自社サイトでの宿泊予約の最大化

海外顧客が9割を占める同社は、昨今のインバウンド市場の変化を受けながら、より自社サイトの売上向上を図るため、Google アナリティクス 4(GA4)を導入しました。

本記事では、GA4導入の背景、データ分析から得られたサイトの課題、そして「アパートメントホテル」の先駆けとしての今後の展望について、同社にお話を伺いました。

 

― はじめに、貴社サイトのアクセス解析の目的を教えてください

まず、自社サイトでの売上を最大化することが会社の重要戦略の一つになっています。販売手数料がかかるオンライン旅行代理店、いわゆるOTA経由の宿泊予約ではなく、自社サイトからの宿泊予約を増やすことで、利益率の向上を目指しています。このため、自社サイトの課題を発見し、予約数を増やすためにGA4を活用しています。(竹村氏)

これまでどのようにGA4やLooker Studioを活用されていたのでしょうか

ユニバーサルアナリティクス(以下UA)の時は、自分でデータをLooker Studioにつないで、必要なデータ作成や報告レポートを作成していました。もっとこんなのが欲しい、こんなのが見たい、と思えばその都度調べて、自分なりに見やすいように工夫していました。

前職が広告代理店だったため、レポート作成業務には慣れていました。しかし、Excelでローデータをダウンロードして、集計して、といった作業は手間がかかりました。さらに、日々データは蓄積されてファイルも重くなり、作業工数は増していきます。そんな時にLooker Studioに興味を持ち、レポートの作成の効率化を求めて手探りで使い始めました。(竹村氏)

外注するきっかけとなった、当時の一番の課題は何でしたか

UAからGA4への移行が始まり、データの取り方やレポートの領域が大きく変わったので、自力でまた学習して使いこなすのは難しいと感じていました。さらに、会社としてもこれまで以上にアクセス解析によるサイト改善の重要性が高まったこともあり、プロの力を借りることにしました。(竹村氏)

 そんな中、メディックスに声をかけてくださったきっかけがあったのでしょうか

元々は、自社サイトやメディアサイト経由の売上データなどが全て集約されている別のBIツールにGA4データも統合しようという方針が持ち上がったことが発端でした。

そのBIには自社サイトのGA4データが連携されていないため、報告サポートもGA4データだけ別途作成する必要があって手間でしたし、例えば売上データと広告データが連携していないので、広告の影響度やサイトのアクセス状況との関連が見えないなどの課題がありました。
メディックスさんには、そういった複数のデータ統合・可視化が可能かを問い合わせたことがお取引のきっかけです。

データがバラバラに蓄積されているという課題は以前からありました。しかし、CRMやECシステムも利用しているため、まずどこにデータを集約するべきかといった議論も必要でした。とはいえ、自社サイトによる売上の最大化という大目的を進めるために、まずはアクセスデータの活用基盤を整えようということで、今回GA4の活用を切り出して推進することにしました。(竹村氏)

 

マーケティングの成果をダッシュボードで明らかに

<メディックスとのプロジェクト概要>
自社サイトでの予約数を最大化し、データに基づいたマーケティング戦略を立案できる環境を構築するため、メディックスは以下のGA4活用支援を行いました。

<メディックスとのお取引内容>
・GA4追加設定
・GA4データをBigQuery・Looker Studioへ連携する「GA4モニタリングダッシュボード」
・データ分析・改善提案
・GA4講習会

 

GA4モニタリングダッシュボードは普段どのように活用していますか

経営陣向けの週次報告用レポートや月次報告用レポートに使っています。ダッシュボードができる前はGA4の管理画面を使って一つずつ作成していたので、その業務がなくなり時間が短縮されました。それと、普段のマーケティングに活かせるデータを見るためにも使っています。(竹村氏)

マーケティングのために、例えばどのようなデータを見ているのでしょうか

やはり一番は、サイトの目的でもある予約件数を把握することです。他には、ユーザーのページ遷移の状況がわかるファネルレポートや、国籍別のデータを見ています。商品を選択した後に、どこで離脱しているのかを把握することが重要です。また、サイトの検索システムがうまく使われているのかや、フォームの離脱状況を確認しています。(竹村氏)

私は、国籍別、流入元別という切り口で見ることが多いです。ウェブ広告も運用しているので、流入元データから広告経由とオーガニック経由のどちらがより良いパフォーマンスを出しているのかを確認しています。また、国籍別のアクセスや予約数は、広告出稿の関連性を確認したり、広告戦略の参考にしたり、国ごとの繁忙期分析に役立てています。(マージョリ氏)

参照元別のセッション数、CVR、予約単価の推移を週次で追えるレポートを、モニタリングダッシュボードに追加してもらいました。フィルターをかけて一つ一つデータを見るのとは別に、国籍別に並べて、かつ週次で変化を把握できるようにしたかったためです。結果として、見たいものがどんどん増えていきますが、マーケティングにおいて、より細分化したレポートを見ていくべきだと感じたので、追加実装しました。(竹村氏)

 

実際に、サイトの課題発見に役立っていると感じますか

サイトの課題箇所の特定に非常に役立っています。さらに、条件フィルター機能が充実しているので、仮説が浮かんだ際にフィルターを適用してデータを確認し、課題を明確にすることができます。また、施策を行った際にはその数値変化がすぐに見られることが非常に重要です。施策の前後を比較するために、期間比較でデータを簡単に出せるので大変ありがたいです。(竹村氏)

BIツールのフィルター機能例

【補足】Looker Studioのフィルター機能:
流入数の推移を示すグラフに対して、参照元情報でフィルターをかけることで、どの経路が寄与したのか、キャンペーン毎のフィルターをかけることで、広告訴求ごとの影響が把握できます。フィルターを使って、より細分化したデータを確認できます。(サンプル図版)

 

薄々思っていた課題」をデータで裏付ける重要性

分析結果から、どのような発見がありましたか

分析支援をお願いしたのは、『客観的に見て自社のサイトがどうなのか』を知りたかったからです。メディックスから指摘された課題箇所は、当時、別の部署が計画していたブランディングサイトのリニューアルに際して、依頼した会社から提出されたコンサルティングレポートで指摘された箇所と全く同じでした。そのため、やはりここが課題なのだという納得感がありました。(竹村氏)

実は自分たちも、薄々課題に感じていた箇所だったので、今回たまたま2社から指摘され、『やっぱりそうだよね』と確認できました。客観的な意見が欲しいという目的に対して、納得のいく結果を得られました。(マージョリ氏)

「薄々思っていた課題」とはどのようなものだったのでしょうか

例えば、予約ページに関しては課題を感じていましたが、予約フォームはCMSを使用していたため、実際に改修ができていませんでした。そこで、提案していただいた項目の並び順やクリックボタンの配置は、接客ツールを活用してポップアップ表示や離脱防止策として利用しました。

ページ遷移データを分析して初めて、ユーザーが商品リストと予約フォームを行ったり来たりしていることを知りました。それまでは、入り口ページから予約完了までの遷移を見るだけで十分だと思っていました。しかし、多くのユーザーが行ったり来たりする迷い行動をしていたことは、このような分析をしないと分からない点でした。(竹村氏)

これまでは、ページの遷移データを見ても流入元がほぼすべてノンダイレクトであり、次にどのページに行ったのかといったデータをうまく分析できていませんでした。なぜなら、サイトでは予約商品ごとにパラメータが動的に生成され、パラメータ違いの同一URLが無限に生成されるからです。それらがバラバラにデータとして存在し、本来は一つのURLページとして成果を見たいのに見られない状況でした。これはUAを使用していた時も同様で、このレポートは使いこなせていませんでした。(マージョリ氏)

メディックスの分析サービスフロー

【補足】メディックスの分析支援
概況レポートでサイトの健康診断を行い、課題の種を特定します。その課題の種の中から、改善インパクトが大きいものを深堀分析し、考察と共に具体的な改善施策に落とし込んでいきます。

 

今回のようなデータ活用の経験は、ほかの課題に活かせそうですか

CRMの話になりますが、セールスフォースを導入しているものの、マーケティングメールは別の予約システムのCRM機能を使用し、さらに自社サイト以外の予約経路の顧客データが網羅されていない現状です。現在、限られた顧客にしかプッシュでアプローチできていないため、ビジネス全体でのデータ活用はまだこれからと言えます。(竹村氏)

活用もそうですし、そもそも取得できていないデータもたくさんありますね。
MIMARUは順調に拡大し、現在27施設を運営しています。さらなる展開を目指すには、データを漏れなく収集し、サイトの仕組みを考慮していく必要があります。
これにより、現状顧客の9割を占める海外のお客様に対して、リピート施策の効果やその施策にチャレンジする価値を判断できるようになると思っています。(竹村氏)

 

 他にも、GA4講習会も実施させていただきました。その後、社内で変化はありましたか

講習会には、マーケティング課の他にダッシュボードの利用を予定している他の部署のメンバーも参加しました。これまで、各部署が独自に行う集客施策の効果に関する問い合わせが非常に多かったため、講習会を通じてダッシュボードの見方を各部署のメンバーが習得し、必要なデータを自分たちで確認できるようにすることを意図していました。(竹村氏)

結果的に、講習会後にはこれらの問い合わせが少なくなりました。基礎的なGA4講習も行ったので、GA4の操作が分からなかった方々からも「自分たちで管理画面を使ってデータを確認できるようになった」といった声をいただきました。また、探索レポートを自分で作成できるようになった方もいます。(マージョリ氏)

 

【補足】メディックスの講習会内容:
事前に受講対象者へヒアリングし、現在困っていることや作成したいレポートのニーズを確認し、それに応える形で講習会を実施します。
コスモスホテルマネジメント様の場合は、GA4管理画面などの基礎編と、ニーズに合わせたレポートに重点を置いた応用編を実施しました。

 

スムーズなコミュニケーションと的確なアドバイス

 メディックスへの評価をお聞かせください

様々な案件について相談していますが、メディックスは本当に『話がわかる』と感じます。我々の要望に対して、とてもスムーズにコミュニケーションを取ることができます。たとえば、GA4の設定に関する相談では、Zoom越しに画面を共有しながら即座に対応していただき、技術面の強さも感じます。その結果、話がスムーズに進むため、MTGも予定より早く終わることも多いです。(竹村氏)

 今後、メディックスにはどのようなことを期待いただけそうでしょうか

経営陣も『客観的な評価を受けたい』と常々言っており、内部の者だけでは気づけない部分があるのも事実です。今回の分析レポートのように、今後も積極的にサイトの課題を指摘していただきたいです。(竹村氏)

 

アパートメントホテルのナンバーワンを目指す

 会社としての今後の展望についてお聞かせください

全社的にCRMに力を入れていく方針です。将来的にはデータを統合することで顧客とのコミュニケーション設計を進めていきたいと考えています。現状はデータがバラバラに蓄積されており、加えて、弊社の顧客の9割が外国人であるため、LTV(ライフタイムバリュー)の向上を目的としたリピート施策が難しい状況です。特に、彼らがどの程度の頻度で訪日するのか、どのようなきっかけでリピートにつながるのかといった点について、まだ分析が十分でないため、コミュニケーション設計の難易度は高いです。(竹村氏)

最後に、ホテル業界における今後の展望についてお聞かせください

MIMARUとしては、『国内アパートメントホテルのナンバーワン』を目指しています。アパートメントホテルというジャンルの認知度が海外の方を含め、これまではあまり高くありませんでした。「日本のアパートメントホテルといえばMIMARU」と思い浮かべていただけるような存在になりたいと考えています。(竹村氏)

 

 

MIMARUは、データ分析を通じて、自社サイトの課題を明確にし、改善に繋げています。今後も、データ分析をさらに深化させ、顧客満足度の向上と事業成長に繋げていくことが期待されます。ホテル業界におけるデータ活用の重要性が再認識される中、メディックスとしても、MIMARUの今後の飛躍に貢献できるようデータ活用支援を続けていきます。

 

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