CASE導入事例

スカイツアーズが、メディックスによる「KARTE」活用支援を導入 4ヵ月間の伴走で実感した、顧客体験価値向上のポテンシャル

データ解析 CRM KARTE
株式会社スカイツアーズ

株式会社スカイツアーズ

株式会社スカイツアーズ

課題

  • お客様に最適かつタイムリーに接客できる施策を行いたい
  • KARTEの活用や統計データ分析の技術的限界があり、効果的な施策が実行できていなかった
  • 施策の効果を継続的に検証することが難しかった

効果

  • KARTE機能を使ったスピーディな施策のローンチができた
  • 作業リソースの削減ができた
  • 分析結果に基づいた仮説や施策アイデアの考え方が分かった
  • フロントエンド開発に関するノウハウを習得し、自社でも高度な施策を作成できるようになった

株式会社スカイツアーズ(以下、スカイツアーズ)は、1973年に沖縄で創業し、全日空(ANA)の専売店として国内旅行を中心に企画・販売を展開する旅行会社です。現在は東京・大阪にも拠点を構え、航空便・宿泊・オプション・保険などを一括手配できる利便性ときめ細やかなサービスを強みに、多くの顧客や販売代理店から厚い支持を得ています。近年では、オンライン予約サイト「e-myholiday」や、全国各地の特産品・ギフト商品を取り扱う通販サイト「Sky Shopping」など、デジタル事業にも注力。さらに、旅行の体験価値を高めることを目的とした、シェアサイクル事業「Hi! Cycling(ハイサイクリング)」などの新領域にも積極的に取り組んでいます。

お話を伺った方

株式会社スカイツアーズ
取締役 営業本部長/EC事業担当
篠田 太助氏

株式会社スカイツアーズ
企画旅行支店 販売計画部 課長/メディア・EC事業担当
兼重 裕亮氏

株式会社スカイツアーズ
企画旅行支店 販売計画部 メディア・EC事業担当
柴田 雅紳氏

旅行業界は、社会構造の変化や技術の進展に伴い、ライフスタイルや価値観の変化に応じて大きく変化してきました。環境変化に対応すべく、スカイツアーズではインターネット戦略の一環として、国内旅行商品の販売サイト「e-myholiday(イーマイホリデー)」を“攻め”のツールとして位置づけ、2023年にCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE(カルテ)」を導入。約2年間の試行錯誤を経て、メディックスによる支援を受けることとなりました。今回はその導入の背景や成果、今後の展望について、取締役・営業本部長でありEC事業の統括責任者も務める篠田太助氏、販売計画部の兼重裕亮氏、柴田雅紳氏にお話を伺いました。

多様化が進む旅行ニーズに的確かつ柔軟に応える

― スカイツアーズの事業やミッションについてお話ください。

スカイツアーズは、ANAの資本参入を受け、ANAの国内線航空券販売を軸に旅行商品を提供する戦略会社です。現在は主に、自社Webサイト「e-myholiday」での国内パッケージツアー販売と、全国の旅行会社向けホールセール事業に注力しています。ANAにとって重要なパートナーであり、企画提案など多様な役割を担いながら、多くのお客様に「安全・簡単・便利」な旅を提供することを重視しています。

一方で旅行業界を取り巻く環境は大きく変化しており、大きな行動変容が求められる重要な時期となっています。とりわけインターネット活用による利便性や柔軟性の向上が進んでいますが、それが必ずしもすべてのお客様にとって最適とは限りません。スカイツアーズのお客様は、40〜60代を中心に、70代以上のアクティブシニアの方々も多くいらっしゃいます。そうした方々でも安心して快適に旅を楽しんでいただけるよう、私たちは常に最適なサービスのあり方を模索し続けています。(篠田氏)

― 事業を取り巻く環境変化や課題感に対して、どのように捉え、対応してこられたのですか。

インターネット社会の到来とともに、スカイツアーズは2003年に国内旅行商品の販売サイト「e-myholiday」を立ち上げ、2007年にはオンライン予約販売も開始しました。当時、多くの旅行会社がオンライン化を進め、顧客対応もデジタル化しましたが、デジタルデバイド(情報格差)やセキュリティの問題もあると考え、スカイツアーズでは電話窓口によるきめ細やかな対応を継続しています。その結果、リアルチャネルの対応はお客様に安心感をもたらし、口コミでも高く評価されるなど、当社の大きな強みとなっています。ただし、対応時間には限りがあるため、オンラインでの情報提供や対応の質向上も並行して取り組んできました。
そしてもう一つ、施策を考える上で強く危機感を抱いてきたのが、旅行業界における「ダイナミックプライシング」の一般化です。リアルタイムで変動する料金体系が主流となり、航空券やホテルが時価の料金で計算され、旅行商品の購入ルートが大きく変化しました。このような状況下では、旅行会社ごとのカラーや強みを打ち出したり、商品やサービスの特徴を明確に示したりすることが困難になり、業界内の競争が激化しつつあります。スカイツアーズとしても新たな工夫や対応が求められていることを強く感じています。それがまさに、私たちの強みである「きめ細やかな顧客対応」を「e-myholiday」で実現させることであり、他社との差別化にもつながると考えています。(篠田氏)

オンラインでも「安全・簡単・便利な旅行の提供」を実現するために

― Webサイトの運営・改善については、どのような課題をお持ちだったのでしょうか。

「e-myholiday」のコンセプトは、オンラインでありながらリアルな接客と同様に、「安全・簡単・便利」な旅を提供することにあります。そのため、お客様が「旅行に行きたい」と思った瞬間に、最適な情報や商品をメルマガでタイムリーにお届けし、オンラインでご来訪いただいた際にもきめ細やかな接客ができるよう、工夫や施策を重ねてきました。どのような画面や構造が望ましいのか、トップページの要素やポップアップの内容は何が最適か、どのように見せればお客様にとって分かりやすいか――こうした課題に対して、施策を企画・実践し、検証・改善するというサイクルを繰り返しながら、より良いサービスの提供を目指して模索を続けています。

まず取り組んだのは、基幹システムに蓄積されたオフライン顧客の過去購入データをもとにセグメントし、メルマガやSNSでエンゲージメント向上を図ることでした。しかし、こうした情報配信は、顧客の「欲しいタイミング」で届かなければ効果が薄く、メルマガも他のメールに埋もれて開封や問い合わせにつながりにくいという課題がありました。

そこで、本丸であるWebサイトの改善に注力することにしました。Webサイトに訪問されるお客様は、既存・新規を問わず、まさに「今」旅行を探しているタイミングです。こうしたお客様に対しては、タイムリーな情報提供や適切な動線設計など、ウェブ接客を強化することで、UI/UXを最適化し、効果的にエンゲージメントとコンバージョンの向上を目指しています。そこでGoogleアナリティクスなどのツールを活用し、統計的なデータ分析を行い、施策に反映しようとしましたが、個々のユーザー行動に着目した分析では限界がありました。また、もともとオフライン顧客が多く、その情報を肌感覚で知る企画・販売担当者が仮説を立てる方が、現実的だったということもあります。

しかしながら、どちらにしても仮説や改善案を想起しても、Webサイトに反映するには、その都度、システム担当や外部のシステム会社に依頼する必要があり、費用面やスピード感の面でどうしても遅れが生じていました。また、ある仮説をもって施策を実施しても、その効果について継続的に検証することが難しく、なかなか明確な成果に結びつけることができずにいました。(篠田氏)

― そのために具体的にはどのような施策を実施されたのでしょうか。

まずは足元からと考え、オンラインでのお客様のふるまいに特化して分析やセグメントを行い、「e-myholiday」のUI/UXの改善、メルマガも含めたWeb接客のオートメーション化を図ろうと考えました。

そこで、2023年からCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE(カルテ)」を導入して、ユーザー単位での行動解析による対応の改善を図り、ウェブ接客の最適化および自動化を進めることを目標としました。導入直後は、顧客との接点が多い担当者に運用を任せていましたが、他業務との兼務ということもあり、なかなか学習や活用が進まず、十分に使いこなすことができずにいました。テンプレートを活用して画面やポップアップの文字や画像を差し替える作業は比較的容易にできたものの、さらに踏み込んだ施策を実現しようとすると、フロントエンド開発の知識という壁に突き当たってしまう。人的リソースも技術力も必ずしも潤沢とは言えず、より高度な施策に取り組むには限界を感じていました。(篠田氏)

「KARTE」の可能性を見極めるため、“プロの手法”をお試し

― メディックスにご相談されたご経緯や、ご依頼を決断されたポイントについてお聞かせください。

KARTEを導入したもののサイトの部分的な改善にとどまっており、社内の内製での運用に限界を感じつつも、定量的な効果を出したい。そんなふうに考えていた頃、メディックスさんが「KARTE」の運用支援をされていることを知り、相談したことがきっかけです。以前、当社のWeb広告運用の自走にあたってご支援いただいたことがあり、その縁で会社のこともよく存じていました。その後も、メールやウェブマーケティングに関する情報提供をいただいたり、私自身も興味のあるWebセミナーを聴講したり、継続的な交流がありました。そうしたことから、安心してご相談することができました。

基本的には長期的・恒常的な外部委託を続けるつもりはなく、いずれは自社で運用したいという思いがありました。そこで、まずはプロの方に運用していただき、どれほど効果があるのか、「KARTE」のポテンシャルを見極めたいと考えたわけです。そうした意図のもと、他社についても資料を取り寄せて比較検討しましたが、相談する際には多少の躊躇もありました。しかし、「KARTE」の提供元であるプレイドさんに「メディックスさんならOfficial Partner※で安心だし、柔軟に対応してもらえるはず」と太鼓判をいただき、取引実績もあるメディックスさんにお願いするのが最適だと判断しました。そして、2025年6月からご支援をいただくことにしたのです。(篠田氏)
※KARTEを活用したCX向上を目的とした事業支援を加速し、共創するパートナー企業向け公式プログラム。2025年11月時点で17社が登録。https://partner.karte.io/

― プロジェクトの体制や参画メンバーの構成について教えてください。

プロジェクトは販売計画部が中心となって推進しています。当部では、Webマーケティング全般に加え、自社オウンドメディアの運用も担っており、今回のプロジェクトにはオウンドメディアの管理やコンテンツマーケティングを担当するメンバーとして、兼重と柴田も加わりました。なお、Webサイトの管理やSNS関連業務は別の担当が担っていますが、部署としてはそれらを横断的に統括し、全体の戦略設計と実行を行っています。(篠田氏)

4ヵ月間で「あたり前」を見直す重要性を実感

― メディックスによるサポートでは、具体的にどのようなことを実施されたのですか。

実際にご依頼するにあたり、課題としては二つありました。まず一つは技術面で、運用メンバーにフロントエンド開発の知識がなかったために、タグの書き換えやテンプレート以外の細かな設定ができず、「KARTE」のカスタム施策を活用できずにいました。そこで、そのキャッチアップを図りたいということ。そしてもう一つは、施策のアイデア出しです。属人的・感覚的に施策を考えていたところから、どのようなデータをどのように分析し、そこからどのような施策が考えられるのか、考え方の道筋を知りたいと考えました。そこで、具体的な改善施策をとにかくたくさん出してほしいと依頼しました。

そのご依頼に対して、メディックスさんにはメンバーへの直接支援でリソースやノウハウの不足を補っていただき、自社で「KARTE」上でのクリエイティブやキャンペーンなどをスピーディかつ的確に実施できるようになりました。そして、施策提案については「KARTE」による分析だけでなく、ヒューリスティック分析やGA4などのツールを用いて様々な角度から分析を行い、「KARTE」でどのようなことができるのか、具体案を多数いただきました。(篠田氏)

― 実際の施策提案の内容について、どのように評価されていますか。

これはもう、いろいろと目からウロコが落ちました。ユーザー視点からのアドバイスもありましたが、実際にサイトのアクセスデータを分析した結果に基づいて、「この場所にこういった情報を配置すれば、会員登録につながるのでは」といった具体的な仮説と提案が興味深く、様々な気付きにつながりました。いや、なんとなくは気づいていても、毎日見ていると「それが当たり前」になってしまうことを痛感しました。

たとえば、分析の結果、「お気に入り機能」を使う方は成約率が高いことがわかったため、この機能のPRを強化したところ、コンバージョンが向上しました。また、沖縄旅行の台風シーズンにはFAQを確認し、キャンセル料を気にして申し込みを迷う方がいることに気づいたことから、台風による欠航時は全額返金されることを分かりやすく伝えることで、購入を後押しできました。さらに、CTAボタンの文言が予約を強制する印象を与えているとの指摘を受け、A/Bテストで文言を変更し改善しました。

これらは提案いただいた施策の一部です。プランニングから実装、効果検証までを一気通貫で行っていただき、そのスピード感には驚きました。いずれも漠然と感じていたことでも、実際に分析して施策を考え、改善することで成果につながることを、改めて気づかされ、非常にプラスになったと感じています。そして、こうした分析や施策への展開、A/Bテストなどが「KARTE」で手軽にできることがわかり、自分たちでお客様に提供する体験価値を高めていけるという確信が持てたことは大きな収穫となりました。(篠田氏)

― メディックスのサポートのもと、実際に施策設定やクリエイティブ作成をされていかがでしたか。

それまでは既存のテンプレートを前任者が加工し、それを流用して加工しようとしていたので、却って構造がわからなくなっていました。フロントエンド開発へのサポートは、ゼロからのレクチャーではなく、メディックスさんが実際に作成されたクリエイティブについて解説してもらい、具体的な操作を実践的に学ぶという方法でした。以前はポップアップの表示など基本的な操作はできても、色やフォントの変更など、CSSの知識が必要な部分はプレイドさんにレクチャーを受けてもなかなかできなかったのですが、「完成品」から逆引きでやり方を知り、自分で再現することで一気に理解が進みました。得られた知識はオウンドメディアなどにも活かしていきたいと考えています。(兼重氏)

作業効率が上がり、キャンペーンなど急ぎの案件があるときでも対応できるようになったので、大変助かりました。また、メディックスさんとのやり取りを通じて、実際にクリエイティブを作成する方法だけでなく、効果を出すためにはどう工夫すべきか、戦略や施策に紐づいて考える必要があることを感じました。また、かつて代理店の営業を担当し、商品のニーズや付加価値に注目してきた私にとって、伝え方や届け方によって成果が大きく変わることは新鮮な驚きでした。例えば、ボタンひとつの違いでコンバージョン率が変わるという事実は、非常に印象的でした。こうした視点をオフライン側のメンバーも持つことで、オンラインとオフラインの連携が進み、相乗効果によって事業全体が大きく変わっていくのではないかという期待感を持つことができました。(柴田氏)

事業全体への波及効果を意識し、体制を整えて挑む

― スカイツアーズのWebサイト運営および情報戦略についての展望をお聞かせください。

「とにかくたくさんの施策案を出してほしい」とのリクエストにしっかりと応じてくださり、本当にたくさんの分析やアドバイスをいただきました。いくつか実施している施策については、成果が見えたものもありますが、設定したばかりでデータの蓄積を待っているものや、施策の実装に至っていないものもまだあります。現場の担当者もキャンペーンなどの施策設計やクリエイティブ作成で「KARTE」の使い方にも慣れてきましたし、さらに勉強を重ねながら試行錯誤していければと思っています。特に行動履歴に応じたセグメント分けによって、パーソナライズされた接客が必要だという実感が得られたので、できるだけ早いタイミングで実現させていきたいと考えています。

とはいえ、焦る気持ちを抑えて、まずは優先順位をつけて足元から取り組んでいきたいと思っています。具体的に優先度の高いものとして認識しているのは、ロイヤルカスタマー向けに個別最適化されたサービスの提供です。購入回数や累計購入金額が多い方々に対して、ポイント制度の重み付けや限定ツアーのご案内、さらに半年以上ぶりにサイトへご来訪いただいた際の個別アプローチなど、「KARTE」で状況を把握しながら、よりパーソナライズされたサービスを充実させていきたいと考えています。(篠田氏)

― メディックスに対する期待や要望などがあればお聞かせください。

リクエストにはしっかりと応えていただき、期待以上の成果もいくつか検証できたことで、オンラインでの顧客体験価値を高めることの意義や効果の手応えを得ることができました。ただ、課題としてあらためて実感したのは、オンライン施策で成功させるためには、情報収集からご利用、リピート、ロイヤルカスタマー化に至るまで、あらゆるタッチポイントを改善する必要があるということ。そして、オンライン以外の部分、たとえば企画・商材やリアル営業との連携体制などについても整える必要があると強く感じました。メディックスさんには引き続き相談役やアドバイザーとしてサポートしていただき、盤石の体制でサイト改善に臨んでいければと考えています。(篠田氏)

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